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序章 〜各国の転生者たち〜

権田⑥

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集落を出て、兄たちから聞いた山のふもとをゴンズと目指しながら、
ゴンダは自身のステータスについて確認をすることにした。




《ゴンダの所持スキル一覧》
 ※スキルレベルは1~5の5段階あり、イメージは
      3で一流、5は超一流。

〈交渉〉LV5
他社との交渉を有利に運ぶことが出来る。レベルが高くなればより相手に応じた話法、こちらに有利な落としどころへの道筋を予測するなども可能となる。

〈偽装〉LV3
自身ならびに周囲の物を別の物に見せかけることが出来る。スキルレベルが高くなればより多くの物を対象に本物に近い品質を出すことが可能となる。

〈話術〉LV3
他者に警戒心を持たせず会話が出来るようになる。スキルレベルが高くなれば関係性を強化することが可能になるほか、多くの対象に耳を傾けさせることが出来る。

〈隠蔽〉LV4
自身ならびに周囲の物を隠すことが出来る。スキルレベルが高くなればより見つかりづらくなる。

〈格闘術〉LV3
武器を持たない時の格闘能力が向上する。

〈カリスマ〉LV3
その能力・魅力で他者を引き付けることが出来る。スキルレベルが高くなればより心酔させることが出来る他、影響下にある相手の能力を向上させる。

〈翻訳〉LV5
 異国の言葉も理解でき、話す事が出来る。

〈魔法〉
土:攻撃よりも補助に長けた系統。建築、守備の魔法が豊富。
闇:攻撃、状態異常に長けた系統。麻痺・毒・魅了などの状態異常に加え、闇を用いた攻撃魔法もある。
※魔法のレベルは1~5。レベルが上がるにつれて魔法の範囲と威力が上昇していく。LV5の魔法を行使出来る人間は極々限られている。

〈その他〉
貪食神グラットの加護
この世界において信仰されている神の1人。自身の欲望に貪欲であり、欲望を叶えるための野心が力になるとの教えがある。


(スキルの説明についてもなんとなくは理解できるが、貪食神というのは今まで聞いたことが無い。この世界の神なのだろうが、欲深い自分にはある意味ふさわしい加護かもしれないな。)

ステータスを確認しながらそんなことを考えていた。

ゴンズのステータスも見せてもらうが、能力値は腕力・敏捷などはゴンダとそう変わりはないが、
スキルは〈薪割り〉LV2、〈斧術〉LV2があるのみで、貪食神の加護なども持ってはいなかった。
ゴンズが言うにはゴンズが普通で、これだけ多くのスキルを保持しているオークなど見たことが無いとのことだ。

また、魔法を使えるオークはほんの一握りであることについても触れ、
「アニキハジツハスゴイオークダッタンダナ!ゴンガニイサンタチモコノコトヲシッタラオドロクヨ!」
としきりに感心していた。

と、ゴンズとそんな話をしながら人間の集落のあるというミゾハチ山のふもとを目指すが、オークの足でもなかなかの距離である。深い山の中であり、虫の類や小動物を見かけることがあったが、元の世界の常識外の大きさのバッタみたいな虫や、イタチに近い見た目の動物などを見かけることが出来た。

(こういったところでも、ここが元居た日本とは違うことを実感させられるな…。)
そのようなことを実感しながら2時間ほど歩いたが、そろそろ休憩をすることにした。
オークの身体は人間よりも1.5倍ほどあるため、2時間も歩けば相当の距離を進んでいるかとは思っているが、
まだ付く気配はなさそうだ。

「コノアタリハマダニイサンタチトキタコトガアルヨ。モクテキノバショマデハンブンクライジャナイカナ。」
と、ゴンズが教えてくれた。
近くに泉があることも教えてもらい、そこで休憩をすることにした。

森の中を泉に近づき始めた時、遠くからなにやら声が聞こえ、ゴンダとゴンズは歩みを止める。
(…なにやら話をしているようだが、オークではなさそうだな。もしかしたら目的の集落の人間たちかもしれない。)

ゴンズにも聞こえているようで、
「アニキ、タブンニンゲンダヨ!カズモオオイカモシレナイシドウシヨウカ…。」
小声でゴンダに話しかけてくる。

(これから集落に向かおうというのに、人間たちに見つかって争いになることはあまり得策では無いな…。先ほど確認したスキルが使えるか…?)
そのようなことを思案しながら、ゴンズにもとりあえず見つからないように様子を見ようと提案する。

(この場合に使えそうなスキルは〈隠蔽〉か〈偽装〉か。もしくは〈交渉〉で見逃してもらう方が良いのかもしれないな。ただ、オークと人間は敵対しているという話だし、〈交渉〉が通用するか…。いや、人間たちの口封じをすることも考えた方がよいのか?)
ゴンズは自身のスキルを考え思案した結果、一つの案を考え出した。

(人間たちを倒すことは可能かもしれないが、戻ってこないとなると騒ぎになって結局は良い結果にはならないだろう。ここは逆に人間たちを利用することにしよう。)
ゴンダはそう決意し、ゴンズにもこの案を伝える。

「エ!アニキソンナコトガデキルノカイ?デモコノママダッタラミツカルカモシレナイシ、ヤッテミヨウカ…。」
ゴンズは驚きつつも、ゴンダの案に合意をしてくれた。

(さて、あとはスキルの効果が思い通りにいくかだな。ワシの考える通りであればおそらくうまくいくはずだが…。)

自身の試みがうまくいくか、確証はないもののゴンダの前世での経験からこういう賭けには大概勝ってきた。
きっとうまくいくはずだ、ゴンダはそう考えながら計画を実行に移すのだった。
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