どんな目線の高さでも

スギナ

文字の大きさ
上 下
1 / 1

どんな目線の高さでも

しおりを挟む
地べたに寝そべり頬杖ついてる人がいた
「タンポポの目線なんだよ」
その人は言った
そこへ、車イスの人もやってきた
「私もそうしてみたいけど、首が生まれつき曲がらないの」
「じゃあ仰向けに寝っ転がろう」
そうしてふたりは大地の視線になった
仰向けになればどんな目線の高さでも
みな平等になると思っていたら
少し前に病気で失明した人も
友に手を引かれ寝転ぶ仲間に加わってきた

(空ってどんなだったかなあ…)
見えない空を見ようとしたら
たくさんのタンポポの綿毛たちが風に乗って運ばれてきた
それらがからだを撫でたとき
くすぐったくて思わず笑った
(これならみんな感じられるかなあ…)
そう思ったとき
光を失ったその目から一筋の涙が流れた
もしその綿毛の感触もわからない人がやって来たら
今度は何を感じてみよう

しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...