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臨時放送、明日の犠牲者

第四話:調査、NNN臨時放送

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 紙に書かれていた内容は、要約するとこのようなものだった。
『深夜の視聴覚室で、不気味な映像が流れる。たくさんの人の名前を読み上げるだけの映像でとても不気味だから、なんとかして原因を突き止めてほしい』
「これは……不思議ですね」
 内容を把握すると、不思議に思った僕は口を開いた。
「ふむ、どこがだい?」
 月華先輩はどこもおかしいところはないとでも言うように、きょとんと首を傾げた。
 先輩は気づいていないのだろうか。この紙では深夜の視聴覚室について言及されている。しかし、普通に考えて生徒が深夜に学校にいるなんてことは考えづらいのだ。だから考えられるのは、この紙を置いていったのは大人の仕業だということだ。だが、わざわざ大人がこんなイタズラをするのだろうか。
 俺が頭を悩ましていると、先輩は困ったようにガシガシと頭を掻いた。
「うーん、これは大人の仕業だとは考えにくいね。わざわざ大人が生徒にイタズラをする必要がない。教師も用務員も、犯人だとは考えにくい」
「逆に生徒の仕業ってのも考えにくくないですか? 生徒が深夜の学校にいるなんて非現実的ですよ。漫画の世界じゃないんですから」
「ふむ、じゃあ私たちの知らない世界の住人の仕業かもしれないね」
 月華先輩は顎に手を当てながらそう呟いた。
「まさか、そんなオカルトチックな話……あるわけないじゃないですか」
 俺の言葉を聞いた月華先輩は一瞬キョトンとすると、何かがツボにハマったのか爆笑し始めた。笑いすぎるあまり、目尻には涙が浮かんでいる。
「クハハハ! 君は何を言っているんだい? 私たちは不思議部だぜ? お化けや幽霊と同じ、不思議と名のつく存在だ。その存在を否定するのかい?」
「お化けとか幽霊は存在は確かではありません。でも、この部活は確かに存在するじゃないですか!」
 俺が反論すると、月華先輩は笑い疲れたのか息を乱していた。
「まあ、自身の認識は他者の認識ではないということだ。それより、日向くん? この話、どこかで聞いたことがないかい?」
 月華先輩はまるで俺を試しているかのように足を組むと、ニヤリと骨格を釣り上げた。
 どこかで聞いたことがあるということは有名な話なのか? しかし、深夜の視聴覚室に関する階段に心当たりはない。
「おや、心当たりがないのかい? 少し意外だな?」
 月華先輩は俺を挑発するかのように、嘲笑した。その態度に少しイラついた俺は語気を強めた。
「じゃあ、教えてくださいよ。深夜の視聴覚室で起きる有名な話ってなんですか?」
「ふふふ、重要なポイントはそっちじゃないよ。深夜にたくさんの人の名前が読まれるという部分だ。知らないかい? 昔あるテレビ番組があっただろう? 確か番組名は『明日の犠牲者』とか言ったか」
 俺は思わずハッとした。そう、確かに深夜に人の名前が読まれる番組については心当たりがある。
「NNN臨時放送、ですね?」
「ああ、その通りだ」
 NNN臨時放送。それは不気味な背景と音楽が特徴的な番組で、明日の犠牲者となる人物の名前が画面の下から上へ流れていくといったものだ。だが、あの番組は単なる誰かの創作物だったと記憶している。
 そのことを伝えると、月華先輩は口角を釣り上げた。
「そうだな、悪ふざけの可能性が高いな。だから、今夜調べようじゃないか」
「えーと……今夜ですか?」
「ああ、今夜は忙しくなるぞ?」
「はい……わかりまし……え? えーーーーっ!?」
 俺があまりの衝撃に驚いているのをよそに、月華先輩はケラケラと笑っていた。
 この女……許せねえ!
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