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ギノ

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魔術

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魔術カリス』それ即ち神様からの贈り物ギフトというのが通説であると青年は言った。

この世界を作った際に“神様”ってヤツは大陸を分断し、言葉を与え、魔術カリスを人間に授けたらしい。…殊勝な事だ。人間に対して至れり尽くせりじゃないか。私たちの世界は、大陸は自然のままに、言葉は自分達で創った。ましてやー魔術カリスなんて授けられてすら無い。

そして何より、この場所はどうやら私の知っている世界でないことも、彼の魔術カリスを実演させられたせいで確定してしまった。




__そう、“青年は魔術カリスを実演してしまった”のだ。そしてその効果の所為で私はを掛けられてしまい、身動きを取るのが困難な状況だ。
恐らく、推測できる彼の能力は砂を固体化するといったところでは無いだろうか。いや全くの予想だが。
まぁ、存外頑丈な手錠は外れる気配は無いので、彼から逃げる事はできないと考えた方がいいだろう。


「私を拘束して、どうするんですか?」


「簡単な質問だな。率直に答えよう、俺は今からアンタを教会に連れて行く。アンタはとんでもねぇ田舎で育ったらしい自分の魔術カリスを知らねぇときたんだからな。」

「…教会?」
教会というと毎朝祈りを捧げるとかそう言った場所なのだろうが、彼の言っている教会と私の想像した教会にズレがある気がしてならない。

「…教会すらも知らねぇのか。本当にどっから来たんだか。教会ってのは、自分の魔術カリスを教えてもらえる所って覚えとけば間違いはねぇよ。他にも色々役割はあるんだが今回は割愛だ、なんせ関係ねぇんだからな。とりあえずは教会のある、最寄りの街に向かうぞ。」

そう言って、手錠に何処から出したのか鎖を取り付け、自分はラクダのような生物に乗り、まるで犬の散歩のように私をリードで引っ張りだす。しょうがない、歩くしかない。



歩きながら私は考えた。
そもそもの話だけども、私に魔術カリスは存在するのだろうか。この世界の人間でない以上、神様とやらが私に贈り物ギフトを授けるとはとても思えないのだ。魔術カリスが無い事が発覚してしまうと色々とヤバイ。何がヤバイって、この世界の人間じゃないことがバレるのもそうだが、売られてしまう。商人とやらに。それは非常にマズイ、とても困る。きっと馬車馬のようにこき使われて、死んでしまうだろう。
そう考えている内にどんどんマイナス思考になっていき、悪い方向の妄想に浸っていると

「着いたぞ。」という声でハッと顔を上げる。妄想に浸っていたので、時間を忘れていたが、それなりに歩いただろう、裸足の足は少し痛いがなんとか彼のいう街には着いたみたいだ。

「此処がこの街唯一の教会だ。司教さんにでも言えば見てくれるぜ。司教さんってのはそういう魔術カリスを授かっている人間だからな。」

案外、丁寧に説明してくれた彼は、「ん」と一言いって顎で司教の場所を指し、さっさと聞いてこいという目でこちらを見ている。
「俺はここで待っている。」
そういって、教会の扉の横の壁にもたれかかった。


さてと、私的にも気になる所であるのでパパッと聞いてしまおう。なければないと発覚した瞬間にダッシュで逃げよう。幸い、教会に手錠はマズイと考えたらしく手錠は今は無い。もし魔術カリスを授かっていて、その上いいものならば彼に売られずに済むし、頼むから役に立つ良い魔術カリスでありますように…。

「こんにちは、異国の娘さん。貴女も神より授かった魔術カリスを知りたいのね。いいわ、そこにお掛けになって?」

見た目70代であろう司教は目元の皺を更にくしゃりとさせて優しげに笑いながらそう言って、私を椅子に座らせた。

「私の魔術カリスを掛けるから、少しの間目を瞑っていてもらいってもいいかしら?」
「もちろんです。」

目を瞑る様に言われた為、指示に従う。その瞬間、瞼の裏には司教の魔術であろう蒼い光がのんやりと見えた。

「もう大丈夫よ。目をお開けになって?」

目を開ける様に言われ司教の目を見て、どうでしたか?と尋ねる。

「……そうねぇ、貴女は良いものを授かったのね。貴女の魔術カリスは物の転写、具現化を可能にするモノといったところでしょう。」
「物の具現化…ですか?」
「そうよ。貴女が構造を理解し、それを記憶しているのなら貴女は魔術によってそれを具現化、つまりは擬似的に創り出すことが出来るでしょう。」

まず自分に魔術カリスがあったのに驚きだが、聞いた感じ悪い能力ではなさそうだ。どこまで理解しておく必要があるのかはまだ未知数だが、そこはそれ。その内に分かる事だろう。
今はとりあえず、彼に報告しに行って……。

そういえば彼の名前を聞いていない事に今気づいた。しまったな。少し遅れたが、この報告をした時に自己紹介でもしよう。
なんで売られそうになった私が青年の名前を知ろうとしているのかや、自分が名乗ろうとしているのかは、案外単純な理由だ。
“彼は悪い人ではない”だろうという所謂直感だが、恐らくは当たっている。

それじゃあと、彼に報告に行くべく私は教会のドアを押し開けた。
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