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20話
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大きな音が発生すると共に砂煙が舞い、何が起きたか分からない状態であった。
「ルーカス、ウィリアムを頼む。」
「お任せ下さい。」
そう言うと、侯爵はウィリアムをルーカスに預け、音の発生源に駆けて行った。
「安心してね、ウィリアム。」
「はい。でも、大丈夫なのかな。」
一体何が起きたのだろう。大きな音がして凄くびっくりしたけど、心配だよ。誰も怪我していなかったらいいけど。確か、あの砂煙が舞っているところは、弓術訓練をしていた場所だったよね。
「おい!大丈夫かっ。何があった。」
侯爵は、大きな声をあげると同時に風魔法を使い砂煙を一気に吹き飛ばした。砂煙が無くなると、手で二の腕付近を抑えた弓を持った弓使いがいた。手で傷を押さえているが、ローブが焦げ赤黒い血が滲みでている。
「っ………くそ、失敗だ。ぐっ……ッ!」
どうやら、雷矢で的を射抜こうとしたらしい。初めての挑戦ということもあって、制御が難しく自分を攻撃してしまったというところだ。
血がポタリと手を伝って床に血が落ちた。
「ギール、血が出てるぞ。直ぐに止血しないと。」
「大丈夫です。かすっただけなので。」
かすっただけとギールは言っているが、周りから見てギールは重症であった。見栄を張っての事か、あまり焦っていないようにみえた。
だが、魔力を持った矢が人間に直接当たったのだ。普通の魔力を持っていない矢よりも、明らかに損害が違う。尚且つ、魔力が安定していない状態の矢となれば、腕が切断する可能性もあったのだ。これは、一刻を争う状況であった。
侯爵は、傷の状態を鮮明にするため、傷付近の服を破いた。すると、肉がえぐれていたのだ。ただのかすり傷では無い。
「…これは、すぐに止血しなければ。救護班を呼んでこい!」
「はっ!」
数名の騎士団が、侯爵の指示を聞き救護班を呼びに行った。
「…お兄様、本当にあの方は大丈夫なのですか。」
遠目に見ていたウィリアムは、ギールの様子を見て心配をしていた。目の前の光景を受け入れながら手が震えていた。
「……。」
ルーカスは、何も言わずウィリアムの背中をさすった。"大丈夫"と、安易に口には出来なかったのだ。
侯爵は、自分のハンカチをポケットから取り出し、出血している箇所を圧迫しながらきつく結んだ。
「イっ……ッ」
「我慢しろ。もう少ししたら、救護班が来る。」
「は、はい。申し訳…ございません…っ。」
「謝る必要はない。己の力を高めようとしたのだろう。」
「ありが…っとうございます…。」
侯爵は、責める言い方はしなかった。それは、日頃から騎士団の一人一人の力を把握しているからのことだろう。普段は、笑顔の耐えない侯爵だが真剣な顔つきをしていた。
ギールは、言葉が途切れていた。大量出血により、意識が遠のいていたのだ。呼吸が浅く、顔も白くなっていた。
「ま、まずい!意識を保っていろっ目を閉じたらダメだっ!救護班はまだ来ないのか!」
「お見えになりません!」
「___っ。ならば、回復魔法を使えるものはいないか!光を出す程度でもいい!」
回復魔法を使える魔道士は極わずかしかいない。この傷を治すことの魔道士ここにはいないのだ。習得したとしても、ポーションで治せる程度の微かな傷のみ。侯爵は、それでも呼びかけた。
「ルーカス、ウィリアムを頼む。」
「お任せ下さい。」
そう言うと、侯爵はウィリアムをルーカスに預け、音の発生源に駆けて行った。
「安心してね、ウィリアム。」
「はい。でも、大丈夫なのかな。」
一体何が起きたのだろう。大きな音がして凄くびっくりしたけど、心配だよ。誰も怪我していなかったらいいけど。確か、あの砂煙が舞っているところは、弓術訓練をしていた場所だったよね。
「おい!大丈夫かっ。何があった。」
侯爵は、大きな声をあげると同時に風魔法を使い砂煙を一気に吹き飛ばした。砂煙が無くなると、手で二の腕付近を抑えた弓を持った弓使いがいた。手で傷を押さえているが、ローブが焦げ赤黒い血が滲みでている。
「っ………くそ、失敗だ。ぐっ……ッ!」
どうやら、雷矢で的を射抜こうとしたらしい。初めての挑戦ということもあって、制御が難しく自分を攻撃してしまったというところだ。
血がポタリと手を伝って床に血が落ちた。
「ギール、血が出てるぞ。直ぐに止血しないと。」
「大丈夫です。かすっただけなので。」
かすっただけとギールは言っているが、周りから見てギールは重症であった。見栄を張っての事か、あまり焦っていないようにみえた。
だが、魔力を持った矢が人間に直接当たったのだ。普通の魔力を持っていない矢よりも、明らかに損害が違う。尚且つ、魔力が安定していない状態の矢となれば、腕が切断する可能性もあったのだ。これは、一刻を争う状況であった。
侯爵は、傷の状態を鮮明にするため、傷付近の服を破いた。すると、肉がえぐれていたのだ。ただのかすり傷では無い。
「…これは、すぐに止血しなければ。救護班を呼んでこい!」
「はっ!」
数名の騎士団が、侯爵の指示を聞き救護班を呼びに行った。
「…お兄様、本当にあの方は大丈夫なのですか。」
遠目に見ていたウィリアムは、ギールの様子を見て心配をしていた。目の前の光景を受け入れながら手が震えていた。
「……。」
ルーカスは、何も言わずウィリアムの背中をさすった。"大丈夫"と、安易に口には出来なかったのだ。
侯爵は、自分のハンカチをポケットから取り出し、出血している箇所を圧迫しながらきつく結んだ。
「イっ……ッ」
「我慢しろ。もう少ししたら、救護班が来る。」
「は、はい。申し訳…ございません…っ。」
「謝る必要はない。己の力を高めようとしたのだろう。」
「ありが…っとうございます…。」
侯爵は、責める言い方はしなかった。それは、日頃から騎士団の一人一人の力を把握しているからのことだろう。普段は、笑顔の耐えない侯爵だが真剣な顔つきをしていた。
ギールは、言葉が途切れていた。大量出血により、意識が遠のいていたのだ。呼吸が浅く、顔も白くなっていた。
「ま、まずい!意識を保っていろっ目を閉じたらダメだっ!救護班はまだ来ないのか!」
「お見えになりません!」
「___っ。ならば、回復魔法を使えるものはいないか!光を出す程度でもいい!」
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