小さな貴族は色々最強!?

谷 優

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56話

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  「それで、ウィリアムが連れていたそこの者達は?」

 お父様は、抱き上げたまま僕に向けていた視線をルーナとアクアに向けた。お父様のルーナ達を見る目からは、真剣な様子が伺えた。

  「あの、この子達は僕のお友達です。お父様と離れちゃって彷徨っていたらルーナとアクアに会いました」

  「お友達か……?」

 お父様は、不思議に思ったのか眉間にシワをよせた。

  (この精霊、アクアと言ったか。先程の様子を見るに、単に友達という訳ではなさそうだが。使役しているようにも見えた。それに、精霊というとまた悩みの種が…)

   「あっ、僕のお友達を紹介します!」

  「この大きいわんちゃんは、ルーナでこっちの精霊さんが水の精霊アクアです!」

ウィリアムは、侯爵の腕の中から離れると走ってルーナに抱きつき紹介した。
 
   「我は、神獣ルーナである。」
   「僕は、水を司る精霊アクア!」

 アクアは、僕の近くに来るとふわっと肩に座った。足をブラブラさせとても楽しそう。さっきまで、怒っていたのが嘘みたい。

  「神獣に精霊なんて、この目で初めて見た。生きているうちにお目にかかれるなんて…」

 ベリルは、高位の存在を見て驚き圧倒していた。

  「えぇ、同じく。神獣…あちらの方はフェンリル様でしょう。それに、水を司る精霊…あれは八柱の精霊だ。ひとりでひとつの国を破滅できると言われている、圧倒的な力を持つ高貴な存在…」

  サイラスは、伝承や書物を多く読むため2人のことを理解していた。驚異的な力を持つ2人の存在に臆さず、ただ目を離さず見つめていた。

   「私の名はギルベルト・ヴェスターだ。改めて、この度はウィリアムを助けてくれて感謝する。ありがとう」

 お父様は、2人に頭を下げて感謝の意を表した。

   「あぁ。ウィリアムがひとりでも探そうとしていたからな。手助けせずにはいられなかった。それに、原因もこちらにあるしな」

   「原因……と、いうと?」

 お父様は、下げていた頭を上げ疑問に思っていた。

  ルーナは、視線を僕に移した。と、いうよりも肩に乗ってるアクアを見ている。それと同時に、みんなの視線もこっちに向いた。

  「アクア?」

アクアは、みんなの視線が一気に集まると気まづくなったのか僕の背中に隠れた。

   「ごめんなさい。僕が……ウィルを呼び寄せた」

   「お前今は我が言わなかったら、そのまま流すつもりであっただろう!」

   「だってぇ、」

   「ほぅ、ではウィリアムの行方不明は意図的であったと」

    「ごべんなざい」

  なんかどこからか、ビリビリと圧を感じる。あ、これ多分お兄様だ。めっちゃこっちみてる。無言の圧力を感じるよ。

僕は、背中にいるアクアの姿が見えるように横にずれた。

 アクアは、怒られて口をもごもごさせている。何も反論できないのだろう。

   「だってっ!"エレン様の加護持ち"なんて久しぶりに見たから!」

   アクアは、溜めていたものを一気に吐き出すようにウィリアムの秘密を暴露した。それは、家族間で知っていたものだが、侯爵が外部に知られまいと必死に隠そうとしていた秘密でもある。
  




    
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