公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優

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42話

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     「そういえば、お父様から聞いたのですけど、エリー嬢と違いティアナ嬢は勉強全般が出来ないだとか。」

 周りのご令嬢が私をを褒めるのに対して、アイビーは挑発してきた。

    「それ、私も聞いたことあります。自分の勝手で家庭教師を不当に解雇したとかですよね。」

 アンナもその話に乗っかった。

    「それは有名な話ですわよね。私も聞いたことがあります。」

 リカまでもが加担した。なるほど、この場に呼ばれているリカとアンナはアイビーの一味ってことか。

    「ましてや、公爵家であるアステール家の者なのにそのような事があっていいのでしょうか。学を身につけるのは当然のことですよね。」

 さらに、アイビーは強く迫る言い方をした。心做しか、笑っているようにも見える。

    「っそれは、」
    「マリアナ。」

 マリアナが反論しようとしたが私ははそれを止めた。一侍女であるマリアナが反論したところで、どうにかなることでは無い。逆に、公女付きの侍女が貴族の令嬢の会話に入り込むことは問題になる。さらに批判されるだろう。

 私より年上のはずなのに、年下の子を虐めて楽しいのか。

 私が、転生してから何も勉強してないとでも?自分がいるこの世界について知識を入れておくのは必要事項だ。

    「皆様はそこまで進んだのですね。私は社会学理論は上巻の途中まで進めましたわ。歴史学については、全て学びました。」

    「は?」

 急な私の知識に、アイビーは驚いていた。

     「2代目のナセリア皇帝陛下の農民のための政策がとても興味がありまして、その他にも多言語も習得しようと思い、リディア語やセシア語、最近では隣国の歴史学も学んでおります。皆様はどの政策、またどんな功績を残した偉人がお好きなのですか。」

 さらに、ティアナは知識を披露した。

    「自分が住んでいる場所の学をつけるのは、アイビー嬢が仰るように当然です。ましてや、私達は貴族ですから。それに、私達の生活は民に支えて貰っているため、知識を持ち、民が生きやすいようにするのは当たり前の事ですよね。」

   ただ、こちらを見て無言になっている。

    「     【   無知は罪である⠀】     」

    「...っ。」

    「皆様は、どこまでお考えですか。」

 アイビーや他の挑発していた二人も、何も言い返せずただこちらを睨んでいる。
 隣では、ミシェルが俯いている。その表情は髪の毛でよく見えないが、笑っている?

    「ふふっ。ティアナ嬢の言うように、知識を入れておくことは必要ですよね。先程の様に、学のない人の発言は言動で分かりますもの。」

 ミシェルが私を擁護するように言った。ミシェルは、どうやらここに呼ばれただけのようね。アイビーに加担しているのかと思っていたけれど違うみたい。

    「あなた方とは違い、ティアナはよく読書をしておりますし、自ら進んで勉強しています。ですので、教養はしっかりと身についていますよ。それに今の言い方ですと侮辱にあたります。」

 お、お姉様?他者にそんな事を言うのは始めて見たし、それに何だか言い方が…少し怒っているのかな。

    「あー。なるほど。なら、性格が悪いのかな。家族から除け者にされているくらいですし、なんと呼ばれているか、知っていますか。お父様から聞いたのですが【汚点】と呼ばれているのですよ。」

 笑いながらアイビーが罵ってきた。 

    「それに、良いのですか?エリー嬢はティアナ嬢に長らく嫌がらせを受けていたとか。」

 そこまで、面と向かって言ってくるなんて。でも、事実だから何も言い返せない。悔しい。

    『バシャっ』

 ぽたぽた、水が滴った。   

「は?」

 アイビーは何が起こったか、分からない様子だ。

 お、お姉様?

 その場にいた人達は、皆驚いて声を出せなかった。

 ティアナの事を罵っていたアイビーに怒りが押さえられず、お姉様は自分が飲んでいた紅茶を瞬時にかけた。

   「な、なな、何するんですかっ!」

   『ガタッ』

 アイビーは現状を把握すると立ち上がり、お姉様に詰め寄り、平手打ちをしようとした。

 しかし、ニコラスがアイビーの前に立ちはだかり上げていた腕を握った。

   「ちょっと離しなさいよっ!ただの護衛風情がっ!」

   「私は、お嬢様を危険からお守りする事が仕事ですので。」

 アイビーの怒りが頂点に達した。

    「何してんのよっ!ただ、私はこの名ばかりの令嬢に分からせようとしているだけじゃない!」

    「アイビー・クインツェル。」

 お姉様は静かにアイビーの名前の呼んだ。 その声は、小さいながらも深く重く響いていた。アイビーも、驚いたのかその場にいた人全員がピタリと動きを止めた。

    「誰にものを言っているのか分かっているのですか。私達よりも劣っている何も出来ない、ただ罵るだけのあなたの方が【汚点】という言葉が合っていますよ。」

    「な、なんですってっ!」

    「そんな言い方はないじゃないですかっ。」

 アンナとリカも言い出した。

    「先程、あなた方が仰った言葉しっかりと胸に刻みましたので。金輪際、私達に関わらないように。」

 お姉様はキッパリと言い切った。私が言いたかった言葉全部言ってくれた。

     「私は、ティアナからの嫌がらせを受けたことなど、一度もありません。」

  だからか、私が今までの行いに謝罪した時も自分のせいでもあると言ったのは。私が行った嫌がらせを、お姉様は嫌がらせだと思っていなかった。

    「ティア、行こう。学のない人達と話していると気分が悪くなる。」

    「う、うん。」

 そう言うと、私ととお姉様はすぐに立ち上がった。

     「それでは、私も失礼致しますね。」
 
ミシェルも退席した。

     「ちょっと待ちなさいよっ!」

 後ろでは、アイビーの怒りが収まらず何やらずっと怒鳴っている。アイビーの侍女と護衛がなだめているが収まる気配がない。


 そんな事は気にせず、私達は馬車の方に戻って行った。









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