俺は、冒険がしたい。

ミノル

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俺は、冒険がしたい 3

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俺達は、薬草採取を諦めパーフェクトポーションを持って村へ帰る事にした。

「かなり遅くなってしまった。 早く帰ってみんなを助けないと!」
「もっと早く助けられたんじゃないかしら……。」

 辺りは、真っ暗で灯りが無いから、道を進むのも手探り状態、思い通りに走れないのがもどかしい。
 この道が帰り道で合ってるのかもわからない。

 このまま村へ帰り着けないんじゃないかと不安になっていた時、遠くに灯りが見えた。
 灯りに向かって走ると、妹が村の入口付近で焚き火をしてくれている。

「お兄ちゃん達が帰って来ないから迎えに行こうと思ったけど、怖かったから行くの止めて焚火をしたの!」
「あ、ありがとう! お陰で無事に帰り付けたよ!」

 村に着くなり四人で手分けして、パーフェクトポーションを村の人達に飲ませて行く。

「な、なんだこれは! 病にかかる前より元気になった気がするぞ!」
「折れた腕が元に戻ってる!」
「目が、目が~……。 見えるようになったぁぁ。」
「うおおおおおおお! 俺は、最強だ!」

 あちらこちらから大人達の歓喜の声が村中に響き渡る。

「子供達よ! 良くやった! お前達は、この村を救った小さな英雄だ! 本当にありがとう。」
「困った時は、助け合うのは当たり前です! 元気になって良かったです。」

「「「うおおおおおおお! ありがとうぅぅ!」」」

 村中の大人達から感謝された。

「何かお礼をしたいと思ってる。 お前達は、まだ子供なのに遊びもしないで良く働いているのを知っている。 そんなお前達にちょっとしたお小遣いと、隣の商業の盛んな街で遊んで来る時間をプレゼントしたい。」

「えっ! でも、畑仕事やらないといけないから休んでる暇はないよ。」

 たたでさえ、兄妹二人でいっぱいいっぱいの中、やっとやって行けてる畑を休んでしまっては、収穫の時期に間に合わなくなる。
 今は、良くても後々ご飯が食べられなくなるのだ。

「そこは、ワシらに任せて遊びに行きなさいと言う事だ。」
「それだと、みんなの仕事が……。」
「そんな事は、気にしなくて良い! なぜかわからんが、昨夜飲んだ薬のお陰で元気がみなぎって、いくら働いても疲れないんだ!」

 俺は、その話を聞いて小さく呟く。

「源太……。」

 大人達の好意に甘え、俺達四人は、商業で有名な街へ繰り広げる事にした。
 村長が馬車まで用意してくれ、初めて乗る馬車に興奮した。
 馬車の中で渡してくれたお小遣いを確認すると、子供の俺達には見たことのない大金が入っており、道中みんなではしゃぎ回った。

 そうこうしている内に、商業の街にたどり着いた。
 村では、見たことのない建物が建ち並び、道も綺麗に整地され、たくさんの人が往き来し、その活気に心が踊る。
 観るもの全てが驚きの連続、まるで夢の国に来たようだ。

 馬車から降りて、今夜の宿を探す。
 街の中央より街外れの方が圧倒的に安かったから、そこに今夜泊まる事にした。
 チェックインが終わった頃、源太が居ないことに気づく。

「全く、源太のやついつの間にいなくなったんだ? 知らない街だからしばらくしたら戻ってくるだろう。」

 妹と陽子を連れて街を見て回る事にした。
 少し歩いて人気のない所に差し掛かった時、不意に声をかけられ道を塞がれた。

「ヒャッハー! ここは、通さねぇぜぇ。」

 チンピラ三人に囲まれ逃げ場がない。

「女の子連れて良い御身分だな! 持ち物と女の子置いてとっとと失せな!」
「くっ……。」

 多勢に無勢、戦って勝てる見込みがない。
 だが、ここで俺だけ逃げるわけには行かない。

「これが、俺の冒険の第一歩だ!」

 負けるとわかっていても、男には引けない時がある。
 せめて、二人だけでも逃がさないと。

「「キャー! 誰か助けてー!」」

 二人が声を上げ助けを求めたが、誰も助けに来る気配がない。

「ここは、俺達の縄張り、誰も気やしねぇよ!」

「おらが助けるじょ!」

「「「源太!」」」

 頼もしい言葉と大きな声の方向に誰もが顔を向けた。
 思えば、俺達が絶対絶命のピンチの時、いつもあの鼻水袋で助けてくれた。
 何を考えてるかわからないが、いざという時に頼りになる源太の声に安堵したが、声の主を見るとその場にいる全員が硬直た。

 半笑いの源太が警備兵の方々に連行されている途中だった。

「げ、源太ー!」
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