俺は、冒険がしたい。

ミノル

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俺は、冒険がしたい 6

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男女ケンカ祭り  ルール

1.男同士、女同士、男女混合どれでも、お互いの同意があれば、参加しても良い。
2.男女混合の場合、女からの誘いを断る事は出来ない。
3.気が済むまで殴って良いが殺しては、いけない。
4.凶器の持ち込みを許可する。 ※刃物は厳禁
5.ケンカが終われば、みんな友達、今年も一年仲良く暮らそう。


 あまりにも、一方的に殴られていたとわ言え、源太が女性に暴力を振るった所を初めて見た。
 何をされても、やり返さない優しい心を持ってる源太の事が俺は、好きだったのにこんな所を見てしまったら、落胆せざるおえない。

 周りは、熱気に包まれていると言うのに、なんだか俺の心が寂しい気分になり視線は、自然と下へと向いた。

 俺の心寂しさとは、裏腹に周囲が一層盛り上がりを見せ、完成が響き渡る。

「ジュン! 源太をちゃんと、見て上げて!」

 うつ向いていた顔を上げ、源太へ目を向ける。
 源太は、さっきまで殴りあっていたはずの女性と抱き合っていた。
 この光景を見た見物客は、大いに盛り上がり、実況していた司会者が驚いていた。

「さっきまで、親の仇の様に少年をボコゾコにしていた女性が、少年の一撃をくらい、何もなかったかの様に仲良く抱き合ってるじゃないですか! あの少年は、一体何をしたんだ! そして、何者なんだー!」

 源太から殴られた女性をよく見ると、殴られた顔に傷や腫れた後などは無く、むしろ源太をボコボコにしていた時よりも肌艶が良くなり、朗らかになってる様に見える。

 歓声を受けて見物客に手を振っていた源太は、俺達に気付いて走り寄ってきた。

「なんか、大変な目にあったじょ。」
「お前、一体何があったんだよ! 急に居なくなるし、見つけたと思ったら女の人にマウント取られてボコボコにされてるし、ちゃんと、説明してくれ。」
「おらもよくわかってないけど、頑張って説明するじょ。」

 源太の説明は言ってる事がちぐはぐで、要領を得ない。
 まるで、バラバラの話を繋ぎ直す、パズルのようだ。

 俺なりに源太の話をまとめると、さっきまで源太をボコボコにしていた女性は、この街に来た時に迷子になっているのを見かけ、助けた女の子の母親だったらしい。

 では、なぜ助けた女の子の母親にボコボコにされてたかと言うと、助けた女の子が源太の事を好きになり、「源太を探して結婚したい。」とずっと言って、止める母親の話を一切聞かなかった。

 迷子になってた所を助けてくれた相手だから、仕方ないとも思ったが、あまりにも言う事を聞かないからおかしいと考えた母親は、娘を落ち着かせ話を聞く事にした。

「私が泣いてたら、不思議なお菓子をくれたの。 食べたら幸せな気持ちなって笑顔になったの。 お兄ちゃんの側に居たいの。」

 何か変な物を食べさせられ、娘がおかしくなったと考えた母親は、源太を見つけてケンカ祭りに引きずり込み、ボコボコにして口を割ろうとしたらしい。
 そして、あまりにもしつこかったから、お菓子を食らわせたら仲良しになった。

「そのお菓子って大丈夫なのか? 本当は、ヤバイ薬とかじゃないだろいたな。」

「大丈夫だじょ。 元気が出るお菓子の効果は、1日で切れると思うじょ。 明日には、元に戻るはずだじょ。 多分……。」

 それなら大丈夫だろうと、その話を聞いた俺達は、どこか引っ掛かる言葉が混ざっていた気がしたが、気にせず安心していた。
 しかし、源太をもう一度見直すと、何か言いにくそうにモジモジしてる。

「どうした? 何か言いたい事があれば、ちゃんと言ってくれ。」

「お菓子を食べ過ぎたり、食べた後たまに……。 頭がパーになることがあるじょ。」

 その場の空気が凍りつく。
 俺達は、源太を見て母親を見てまた、源太に視線を戻す。

「「「源太ー!」」」
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