俺は、冒険がしたい。

ミノル

文字の大きさ
11 / 13

俺は、冒険がしたい 11

しおりを挟む
 冒険と一獲千金の夢と希望の街

「トランジェント・シティ」

 街の入口に大きな看板が立て掛けてある。
 夢と希望の街
「トランジェント・シティ」へようこそ。
 この街に入る前の注意事項を良く読んでからお入り下さい。

1.力こそが全て、力こそが正義。
2.稼がざる者、食うべからず。
3.一度入ると、特定の条件を満たすまで出れません。
※入場する人により条件が変化します。
4.ダンジョンの攻略を目指して下さい。
※100階層まであると言われ、現在の最高到達点44階層です。
5.ダンジョンを攻略すると、素敵な特典もらえます。
6.人間同士の殺し合いは、なべくしないでください。
7.上記、注意事項を守ってみんなで楽しく冒険だ!

 尚、全てが自己責任となっております。
 ご了承の上、冒険をお楽しみ下さい。

 注意事項を読んで後退りする。
 なんだか、思っていたのと違う気がする。
 でも、せっかくここまで来たのに何もしないで帰るのは嫌だ。
 ここで村に逃げ帰ってしまったら、兄妹二人で永遠に畑仕事をして生きて行かなければならなくなる。

 夢を掴むチャンスが目の前にある。
 俺は、一人じゃない。 頼りになる仲間が側にいる。

「よし、行くぞ! 夢と冒険の街へ!」
「「「おー!」」」


 門番が入場者を待ち構えている。
 俺達が素通りしようとすると、しかめっ面になり話しかけて来た。

「お前達は、まだ子供だろ! ここは、観光気分で来て良い場所じゃない! 帰れ」
「でも、楽しく冒険だ! って書いてるじゃないですか。 入る権利は有ると思います。」
「確かに権利は有るが……。」
「それなら良いじゃない。 ジュンは、強いのよ! ジュンがいれば大丈夫なんだから。」
「わかった。 だが、困ったらここへ来なさい。 条件をクリアしないと外へ出せないが、助ける事は出来るかも知れん。」
「お兄ちゃんが居れば、そんなの必要ないです。 早く行きましょ。」

 無愛想だが、親切な門番の言葉を無視して門をくぐり街へと入る。
 門をくぐる時に光を浴びて、門を抜けた時には、手元にカードがあった。
 カードを見ると俺の名前と性別そして、街を出る条件が記入してあった。

 ジュン 
 街を出る条件
 1.ダンジョンの攻略。
 2.ダンジョンコアに触れて下さい。
 3.ダンジョン内のモンスター全ての殲滅。

 いずれか一つの条件を満たして下さい。

 源太
 街を出る条件
 1.そのにやけ面を辞めろ。
 2.汚いから鼻水を止めろ。
 3.生命活動の停止。

 いずれか一つの条件を満たして下さい。

 妹様、陽子様
 Congratulations!
 
 この街の入出を自由に許可します。
 むしろ、積極的に出たり入ったりして下さい。
 力より、可愛いが正義。


 なんだこの差別社会は……。
 明らかに俺だけ、難易度が高過ぎだろ。
 1と2の意味が同じようなものだし、3に関しては、絶対不可能な話しじゃないか!
 いやいや、現段階で44階層までしか攻略されていないものを、どうやったら初心者のしかも、子供の俺が突破出来るんだよ。
 この街から出るのに何十年ってかかりそうだ。
 それよりも、生きて出られるのか?

 俺は、早速門番のおじさんの所に助けを求め、カードに書かれた条件を見せた。

「うわっ……! ボウズ、諦めな……。」
「えっ。 助けてくれるんじゃないの?」
「こんな条件を見たのは、初めてだ。 普通は、ドロップアイテムの入手、固有種の討伐、階層突破など、それぞれの人間に課せられる壁を乗り越える試練の様な物なんだが……。 これは、ひどい。」
「このおっさん、使えないわ! 早く行きましょ。」
「お兄ちゃんには、私達が着いてるから大丈夫だよ。」

 去り際に陽子が「この使い物にならない駄犬が!」と罵ったらおっさんは、嬉しそうにしていた。
 妹と陽子が蔑んだ目で見ながら離れて行くと、後方から「ご、ごちしょうしゃまでしゅた!」と、歓喜の声が響き渡った。

 おっさんどんだけ喜んでんだよ。 そう思い振り返ると、その声の主はおっさんではなかった。

 源太が女冒険者に踏みつけられほころんでいた。

「源太ー!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

処理中です...