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俺は、冒険がしたい 10
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次の街に着くまでに、三日ほどかかったが、不思議な事に魔物や盗賊などの外敵に一度も遭遇しなかった。
移動中、妹と陽子が俺にべったりくっついて、柔らかいやら良い匂いやら年頃の男の子には、刺激が強すぎる場面が多々あった。
俺は、理性を保つ為、源太に話しかけた。
「そろそろお前の事を詳しく教えてくれ。 源太様と呼ばれていた事、そして、その汚い袋は何なんだ。」
「じょ……。」
俺の質問に源太は、明らかに困った顔をしている。
沈黙がその場の空気を重くする。
しばらく黙っていた源太の重い口が開き、話し始めた。
「おらにも良くわからないんだじょ。 あんな危ないおっさん見たのも初めてだったじょ。でもこの袋は説明出来るじょ。 散歩してたら落ちてたから拾ったんだじょ。」
「おま……。」
俺は、呆れてこれ以上、何も言えなくなった。
思い返せば源太は、昔から物事を深く考えないで行動する様なヤツで、俺はそんな源太を見ていて面白いから親友になったのだと、改めて思った。
「悪かったな。 これ以上の追求はしない。 でも、何か話せる事があったらいつでも話してくれ。 これでも、親友だからな。」
「わかったじょ。 必ず話すじょ。」
「本当かよ。 源太の返事が軽すぎて信用にかけて笑えてくる。」
「その言い方は、ひどいじょ。 あっ! それなら、信頼の証しに一つ思い出した事を言うじょ。」
「おっ! 何だ? ここでつまらない事言ったら信頼、がた落ちだぞ?」
「大丈夫だじょ。 きっとつまらなくないじょ。」
源太と冗談混じりに楽しく話を進める。
「昨夜ジュンがどこか行ったあと、朝方凄くうなされてたからクッ……。」
「クッ? どしたんだよ。 途中で話し止めると気になるだろ。」
源太は、突然言葉を詰まらせる。
尋常じゃない汗と鼻水を垂れ流しにしながら、話しを続けた。
「凄くうなされてたから、クツを脱がして足をマッサージしたじょ。」
またもや、呆れてしまった。
やはり、源太は、源太なのだと思った。
「えっ? それだけ? 源太……。 足をマッサージしてくれた事には感謝するが、今言う事でもないと思うぞ。」
「ごめんじょ……。」
源太との会話も終わり、のんびり馬車に揺られる。
俺にべったりくっついてる二人は、ぐっすり寝てるようで、寝顔は天使のようだ。
この天使二人を見て源太が震えている。
震える程、見とれてしまうとは、情けない。
そう思えるがこの可愛さは、並の男が一目見たら直ぐにプロポーズして玉砕するレベルだ。
だから、誰も源太を笑うことはできないだろう。
天使のような寝顔を見て思わず、うっとりしていると、あっという間に時間が過ぎて前方に街が見えて来た。
次の街は、ダンジョンが街の中に有り、ダンジョン産の魔石や魔物のドロップアイテムで栄えてる街だ。
冒険と一獲千金の夢と希望が詰まった冒険者の街。
「トランジェント・シティ」
街の外壁は、高くとても頑丈に見える。
おそらくだが、ダンジョン産の魔石やドロップアイテム目当てに、盗賊や他国の軍勢に狙われにくくする為だろう。
ジュンは、村からあまり出た事が無い為、ワクワクが止まらない。
はしゃぎ回りたい気持ちを抑え鼓動が高鳴る。
「冒険者の街……。 俺の冒険がここにある。」
俺の声に二人が起きた。
「お兄ちゃん、もう着いたの? わぁー! すっごーい!」
「冒険者の街って事は、魔物がいるのね。 ジュン、私怖いわ……。」
「俺が着いてるから大丈夫だ。 安心しろ!」
源太がまた、震えている。
今度は、可愛さじゃなくて、冒険者の街に対して武者震いしているようだ。
俺も源太もやる気満々、この街で最高の冒険を楽しもうじゃないか!
震えて険しい顔をする源太が俺達に背を向け、袋から何かを取り出し口へと運ぶ。
震えが止まり、険しい顔からいつもの源太に戻った。
移動中、妹と陽子が俺にべったりくっついて、柔らかいやら良い匂いやら年頃の男の子には、刺激が強すぎる場面が多々あった。
俺は、理性を保つ為、源太に話しかけた。
「そろそろお前の事を詳しく教えてくれ。 源太様と呼ばれていた事、そして、その汚い袋は何なんだ。」
「じょ……。」
俺の質問に源太は、明らかに困った顔をしている。
沈黙がその場の空気を重くする。
しばらく黙っていた源太の重い口が開き、話し始めた。
「おらにも良くわからないんだじょ。 あんな危ないおっさん見たのも初めてだったじょ。でもこの袋は説明出来るじょ。 散歩してたら落ちてたから拾ったんだじょ。」
「おま……。」
俺は、呆れてこれ以上、何も言えなくなった。
思い返せば源太は、昔から物事を深く考えないで行動する様なヤツで、俺はそんな源太を見ていて面白いから親友になったのだと、改めて思った。
「悪かったな。 これ以上の追求はしない。 でも、何か話せる事があったらいつでも話してくれ。 これでも、親友だからな。」
「わかったじょ。 必ず話すじょ。」
「本当かよ。 源太の返事が軽すぎて信用にかけて笑えてくる。」
「その言い方は、ひどいじょ。 あっ! それなら、信頼の証しに一つ思い出した事を言うじょ。」
「おっ! 何だ? ここでつまらない事言ったら信頼、がた落ちだぞ?」
「大丈夫だじょ。 きっとつまらなくないじょ。」
源太と冗談混じりに楽しく話を進める。
「昨夜ジュンがどこか行ったあと、朝方凄くうなされてたからクッ……。」
「クッ? どしたんだよ。 途中で話し止めると気になるだろ。」
源太は、突然言葉を詰まらせる。
尋常じゃない汗と鼻水を垂れ流しにしながら、話しを続けた。
「凄くうなされてたから、クツを脱がして足をマッサージしたじょ。」
またもや、呆れてしまった。
やはり、源太は、源太なのだと思った。
「えっ? それだけ? 源太……。 足をマッサージしてくれた事には感謝するが、今言う事でもないと思うぞ。」
「ごめんじょ……。」
源太との会話も終わり、のんびり馬車に揺られる。
俺にべったりくっついてる二人は、ぐっすり寝てるようで、寝顔は天使のようだ。
この天使二人を見て源太が震えている。
震える程、見とれてしまうとは、情けない。
そう思えるがこの可愛さは、並の男が一目見たら直ぐにプロポーズして玉砕するレベルだ。
だから、誰も源太を笑うことはできないだろう。
天使のような寝顔を見て思わず、うっとりしていると、あっという間に時間が過ぎて前方に街が見えて来た。
次の街は、ダンジョンが街の中に有り、ダンジョン産の魔石や魔物のドロップアイテムで栄えてる街だ。
冒険と一獲千金の夢と希望が詰まった冒険者の街。
「トランジェント・シティ」
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おそらくだが、ダンジョン産の魔石やドロップアイテム目当てに、盗賊や他国の軍勢に狙われにくくする為だろう。
ジュンは、村からあまり出た事が無い為、ワクワクが止まらない。
はしゃぎ回りたい気持ちを抑え鼓動が高鳴る。
「冒険者の街……。 俺の冒険がここにある。」
俺の声に二人が起きた。
「お兄ちゃん、もう着いたの? わぁー! すっごーい!」
「冒険者の街って事は、魔物がいるのね。 ジュン、私怖いわ……。」
「俺が着いてるから大丈夫だ。 安心しろ!」
源太がまた、震えている。
今度は、可愛さじゃなくて、冒険者の街に対して武者震いしているようだ。
俺も源太もやる気満々、この街で最高の冒険を楽しもうじゃないか!
震えて険しい顔をする源太が俺達に背を向け、袋から何かを取り出し口へと運ぶ。
震えが止まり、険しい顔からいつもの源太に戻った。
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