27 / 28
ダンジョン編
危ない小悪魔
しおりを挟む
彼女が三年間過ごしたマイホームで横になり、出された食事(豆一粒)を少し、ほんの少しだけ戸惑う。
「これを食べると不思議と力が湧いて元気になりますよ!」
不思議と力が湧いて? お前の頭が涌いてるんじゃないのか? やっぱり、こいつアホなんじゃないか?
「もしかして、私を疑ってるんですか? そう言うの印象が悪くなりますよ? せっかく私の家に招待して介抱しているのに疑いの目で見るのは、良くないと思います。」
「ん? あ、ああ。 別に疑ってる訳じゃないんだが、不快な思いをさせてすまない。 身体中がボロボロで痛みに耐えてるだけなんだ。」
釈明するがなかなか聞いて貰えず、彼女は頬っぺたを膨らませプイッと、そっぽ向いてしまった。
その顔も又、可愛いものだ。
俺は、渡されたご飯(豆一粒)を手に取り食べる事にした。
もちろん、彼女が言うような効果が有るとは一切思わず、少しでも栄養を摂取し、早く回復するようにと思ったからだ。
「うぁぁぁぁぁぁぁ?!! うえっ?! ぐ、が、あか、か、かぷこっん……。」
豆を食べた瞬間、身体中から悲鳴が上がり体温が一気に上昇する。
汗が吹き出し、訳のわからない言葉も飛び出る。
(くそっ! やられたか!)
豆を食わせた張本人を見ると、先程までそっぽ向いていたはずなのに、楽しそうにめちゃくちゃ笑顔で俺を見ている。
まるで、悪魔そのものだ。
(ちくしょー! こんなオチで死ぬなら見捨てときゃ良かった。 もし、生き延びれてたら絶対にぶっ殺してやる。)
闘志と殺意だけを残して俺は、冷たく暗い闇の中へと意識を失い消えて行った。
―――――――――――
「知ってる土天井だ。」
俺は、柔らかい土の上で目を覚ますと、体の異変に気付く。
「痛みが……ない? それどころか足も元に戻ってる。」
まさか、本当にあの豆一粒でこの驚異的な回復を果たすとは、夢にも思わなかった。
疑ったり、敵意を向けた事をこっそり謝らなければならないな。
「あっ! 起きましたか? 無事に意識を取り戻せたようで良かったです! 運が良いんですね!」
もの凄い笑顔で女の子が駆け寄る。
それよりも最後の言葉が何か、引っ掛かる。
「運が良いんですね……? どう言うことだ? 運が悪かったらどうかなっていたのか?」
「えっ! あ、あー……。 あの豆を食べると体の回復が以上に高過ぎる為、回復力と新陳代謝を上げすぎて、自分の体温に脳がヤられるから、三人に一人くらい頭がパーになる事があるんですよ。」
「パーが何だって?」
「それくらい助かったんだから、良いじゃないですか! それよりも、私に感謝の言葉とかないんですか?」
「てめえ! 三人に一人の確率ってかなり、高確率でパーになるじゃねーか!」
口喧嘩が続いたが、結局助かったからよしとすることになった。
命を助けあった中なのに、まだお互いの名前も知らないから、自己紹介する事にした。
「俺は、水無月 純だ。 せっかく助けてくれたんだ。 気を使わなくて良いから親しみを込めて水無月さんと読んでくれ。」
「貴方、絶対性格悪いですよね。 どんどん最初の好印象が悪くなってますよ。」
出会ってから彼女を怒らせてばかりな気がする。
少し不機嫌ながらも、彼女は自己紹介を始める。
「名前は、カリン。 私は小悪魔、あなたのこと好きだけど嫌い。 出身は、鹿児島と言う所らしいです。」
プンプンしながらちゃんと自己紹介する所がまた、可愛い。
殺伐としたダンジョンの中でこの女の子は、癒しをくれる唯一の存在なのかも知れない。
ちょっと、うっとりしてしまい聞き逃す所だったが、今鹿児島出身って言わなかったか?
まさか、この子も俺の世界からの転移者なのか?
事情が気になり聞いてみる事にした。
「今、鹿児島出身と言ったがお前も日本から転移して来たのか?」
「日本? 転移? なんですかそれ? 豆の効果で脳が沸いちゃいましたか?」
「いや、今鹿児島出身と言ったじゃないか!」
「はぁ、言いましたけど、それが何か? 豆、もう一粒食べときますか?」
そう言うと、おもむろに取り出した豆を俺の口元に近付ける。
「危ねぇ! 危ねぇよこの小悪魔。 その豆を俺に近づけんな!」
「これを食べると不思議と力が湧いて元気になりますよ!」
不思議と力が湧いて? お前の頭が涌いてるんじゃないのか? やっぱり、こいつアホなんじゃないか?
「もしかして、私を疑ってるんですか? そう言うの印象が悪くなりますよ? せっかく私の家に招待して介抱しているのに疑いの目で見るのは、良くないと思います。」
「ん? あ、ああ。 別に疑ってる訳じゃないんだが、不快な思いをさせてすまない。 身体中がボロボロで痛みに耐えてるだけなんだ。」
釈明するがなかなか聞いて貰えず、彼女は頬っぺたを膨らませプイッと、そっぽ向いてしまった。
その顔も又、可愛いものだ。
俺は、渡されたご飯(豆一粒)を手に取り食べる事にした。
もちろん、彼女が言うような効果が有るとは一切思わず、少しでも栄養を摂取し、早く回復するようにと思ったからだ。
「うぁぁぁぁぁぁぁ?!! うえっ?! ぐ、が、あか、か、かぷこっん……。」
豆を食べた瞬間、身体中から悲鳴が上がり体温が一気に上昇する。
汗が吹き出し、訳のわからない言葉も飛び出る。
(くそっ! やられたか!)
豆を食わせた張本人を見ると、先程までそっぽ向いていたはずなのに、楽しそうにめちゃくちゃ笑顔で俺を見ている。
まるで、悪魔そのものだ。
(ちくしょー! こんなオチで死ぬなら見捨てときゃ良かった。 もし、生き延びれてたら絶対にぶっ殺してやる。)
闘志と殺意だけを残して俺は、冷たく暗い闇の中へと意識を失い消えて行った。
―――――――――――
「知ってる土天井だ。」
俺は、柔らかい土の上で目を覚ますと、体の異変に気付く。
「痛みが……ない? それどころか足も元に戻ってる。」
まさか、本当にあの豆一粒でこの驚異的な回復を果たすとは、夢にも思わなかった。
疑ったり、敵意を向けた事をこっそり謝らなければならないな。
「あっ! 起きましたか? 無事に意識を取り戻せたようで良かったです! 運が良いんですね!」
もの凄い笑顔で女の子が駆け寄る。
それよりも最後の言葉が何か、引っ掛かる。
「運が良いんですね……? どう言うことだ? 運が悪かったらどうかなっていたのか?」
「えっ! あ、あー……。 あの豆を食べると体の回復が以上に高過ぎる為、回復力と新陳代謝を上げすぎて、自分の体温に脳がヤられるから、三人に一人くらい頭がパーになる事があるんですよ。」
「パーが何だって?」
「それくらい助かったんだから、良いじゃないですか! それよりも、私に感謝の言葉とかないんですか?」
「てめえ! 三人に一人の確率ってかなり、高確率でパーになるじゃねーか!」
口喧嘩が続いたが、結局助かったからよしとすることになった。
命を助けあった中なのに、まだお互いの名前も知らないから、自己紹介する事にした。
「俺は、水無月 純だ。 せっかく助けてくれたんだ。 気を使わなくて良いから親しみを込めて水無月さんと読んでくれ。」
「貴方、絶対性格悪いですよね。 どんどん最初の好印象が悪くなってますよ。」
出会ってから彼女を怒らせてばかりな気がする。
少し不機嫌ながらも、彼女は自己紹介を始める。
「名前は、カリン。 私は小悪魔、あなたのこと好きだけど嫌い。 出身は、鹿児島と言う所らしいです。」
プンプンしながらちゃんと自己紹介する所がまた、可愛い。
殺伐としたダンジョンの中でこの女の子は、癒しをくれる唯一の存在なのかも知れない。
ちょっと、うっとりしてしまい聞き逃す所だったが、今鹿児島出身って言わなかったか?
まさか、この子も俺の世界からの転移者なのか?
事情が気になり聞いてみる事にした。
「今、鹿児島出身と言ったがお前も日本から転移して来たのか?」
「日本? 転移? なんですかそれ? 豆の効果で脳が沸いちゃいましたか?」
「いや、今鹿児島出身と言ったじゃないか!」
「はぁ、言いましたけど、それが何か? 豆、もう一粒食べときますか?」
そう言うと、おもむろに取り出した豆を俺の口元に近付ける。
「危ねぇ! 危ねぇよこの小悪魔。 その豆を俺に近づけんな!」
0
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
Re:コード・ブレイカー ~落ちこぼれと嘲られた少年、世界最強の異能で全てをねじ伏せる~
たまごころ
ファンタジー
高校生・篠宮レンは、異能が当然の時代に“無能”として蔑まれていた。
だがある日、封印された最古の力【再構築(Rewrite)】が覚醒。
世界の理(コード)を上書きする力を手に入れた彼は、かつて自分を見下した者たちに逆襲し、隠された古代組織と激突していく。
「最弱」から「神域」へ――現代異能バトル成り上がり譚が幕を開ける。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
異世界帰りの最強勇者、久しぶりに会ったいじめっ子を泣かせる
枯井戸
ファンタジー
学校でイジメを受けて死んだ〝高橋誠〟は異世界〝カイゼルフィール〟にて転生を果たした。
艱難辛苦、七転八倒、鬼哭啾啾の日々を経てカイゼルフィールの危機を救った誠であったが、事件の元凶であった〝サターン〟が誠の元いた世界へと逃げ果せる。
誠はそれを追って元いた世界へと戻るのだが、そこで待っていたのは自身のトラウマと言うべき存在いじめっ子たちであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる