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思い出からのサンドイッチ
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「カナガシラか…」
市場に流通させにくい魚だけれど、よく獲れるので、漁師の常連客が祖父に時々持ってきてくれていた。
(たくさん手に入った時は、おばあちゃんがそぼろを作ってたっけ…)
茹でて、骨を取って、身をほぐして、茹でた時の出汁と砂糖と醤油で味付け。
ふわふわのそぼろだった。
(ん?そういえば、お父さんが変な食べ方してた…)
「なにそれ、お父さん」
といったのはいつだったっけ。
「えぇ?おいしいぞぉ?美咲は意外と頭がかてぇな」
そう言われたのは。
(お父さん、そぼろをサラダの上においてドレッシングかけてたんだかな…)
父の笑顔が美咲の頭に浮かぶ。(おいしい)というのが分かる満面の笑み。
「うめぇ~。かぁちゃんのそぼろは絶品だ」
「褒めても何も出ねぇよ」
父と祖母の掛け合いにみんなが笑う、そんな食卓の風景。
あの時、どうして真似しなかったんだろう…。
ピザトーストを食べ終わって、2度目の薄いコーヒーを口に含みながら、美咲は考える。
冷蔵庫のレタスをちぎり、缶詰に残っていた煮汁少量をフレンチドレッシングに合わせてかけてみた。
(あ!おいしい! お父さん、おいしいね! けど、これって、煮汁をちょっこし入れただけ…あの身も入れたらやっぱり醤油が強いべ…)
祖母のそぼろはやさしい甘辛味だった。缶詰はしっかりした甘辛。
(缶詰からそぼろもできるけど、サンドイッチにそぼろは食べにくいべ…)
美咲は考え込んだ。
ピザトーストの中身をサンドイッチにスライドさせてもいいけれど、食べにくそうだし、ピザトーストより味が劣るはず。
(あれは、マヨネーズやらを焼くからおいしいんだもの…)
美咲は目を閉じて、首をゆっくり回した。
(焼く…焼く…)
『美咲さん、関西の玉子サンドは2種類あんねん。ゆで卵パターンと玉子焼きパターン。俺、玉子焼きのが好きやねん』
不意に健太の声を思い出した。
玉子焼きのもほんのりマヨネーズの味がすると聞いて、
(玉子焼きにマヨネーズ?)
と眉にシワを寄せてしまい、
「だめ?美咲さんって、意外と頭が固くない?」
と苦笑いされてしまった。
その言葉が父の言葉と同じだったことに気付き、美咲は顔を手で覆う。
(玉子焼き…か…明日、やってみよう……)
美咲は思いついたことをメモし、明日の買い物メモに「缶詰」を書き加えた。
市場に流通させにくい魚だけれど、よく獲れるので、漁師の常連客が祖父に時々持ってきてくれていた。
(たくさん手に入った時は、おばあちゃんがそぼろを作ってたっけ…)
茹でて、骨を取って、身をほぐして、茹でた時の出汁と砂糖と醤油で味付け。
ふわふわのそぼろだった。
(ん?そういえば、お父さんが変な食べ方してた…)
「なにそれ、お父さん」
といったのはいつだったっけ。
「えぇ?おいしいぞぉ?美咲は意外と頭がかてぇな」
そう言われたのは。
(お父さん、そぼろをサラダの上においてドレッシングかけてたんだかな…)
父の笑顔が美咲の頭に浮かぶ。(おいしい)というのが分かる満面の笑み。
「うめぇ~。かぁちゃんのそぼろは絶品だ」
「褒めても何も出ねぇよ」
父と祖母の掛け合いにみんなが笑う、そんな食卓の風景。
あの時、どうして真似しなかったんだろう…。
ピザトーストを食べ終わって、2度目の薄いコーヒーを口に含みながら、美咲は考える。
冷蔵庫のレタスをちぎり、缶詰に残っていた煮汁少量をフレンチドレッシングに合わせてかけてみた。
(あ!おいしい! お父さん、おいしいね! けど、これって、煮汁をちょっこし入れただけ…あの身も入れたらやっぱり醤油が強いべ…)
祖母のそぼろはやさしい甘辛味だった。缶詰はしっかりした甘辛。
(缶詰からそぼろもできるけど、サンドイッチにそぼろは食べにくいべ…)
美咲は考え込んだ。
ピザトーストの中身をサンドイッチにスライドさせてもいいけれど、食べにくそうだし、ピザトーストより味が劣るはず。
(あれは、マヨネーズやらを焼くからおいしいんだもの…)
美咲は目を閉じて、首をゆっくり回した。
(焼く…焼く…)
『美咲さん、関西の玉子サンドは2種類あんねん。ゆで卵パターンと玉子焼きパターン。俺、玉子焼きのが好きやねん』
不意に健太の声を思い出した。
玉子焼きのもほんのりマヨネーズの味がすると聞いて、
(玉子焼きにマヨネーズ?)
と眉にシワを寄せてしまい、
「だめ?美咲さんって、意外と頭が固くない?」
と苦笑いされてしまった。
その言葉が父の言葉と同じだったことに気付き、美咲は顔を手で覆う。
(玉子焼き…か…明日、やってみよう……)
美咲は思いついたことをメモし、明日の買い物メモに「缶詰」を書き加えた。
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