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健太の…
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「あ、健太くん、おかえり」
健太が宿舎に帰り、キッチンを覗き込むと、ボランティア仲間の拓海が声をかけた。
隣では同じくボランティア仲間の隼人が腕組みをして笑っている。
「健太、待っちょったよ」
2人の前には、おにぎりの山。
「え、また?」
「そうなんだよ。なんか、炊き出しで余ったらしくてさ。そうたくさんもないから、ボランティアさんで…」
「まっこ、ありがたいっちゃけど…」
「断れなくって…申し訳ない」
健太の驚きの声に2人が代わる代わるに説明する。
「けど、そろそろ考えながら食材減らさんと。夏休み終わったら帰るやん。冷凍庫にもご飯は入ってるし」
「そうだよね」
と呟いた拓海は東京に、
「じゃぁよ」
と相槌を打った隼人は宮崎に帰る。
「で、健太を待っちょったとよ」
「俺?」
「そう。チャーハン作ってもらおうと思って。一杯食べれるし」
健太はボランティア仲間が帰る時には必ず焼き飯を作っていた。それが、仲間たちには評判が良かった。
(焼き飯か…ええかもしれん…)
「いつもとはちょっと違てもええ?」
「もちろんです。健太様」
健太は冷蔵庫の中を確認する。
「ほんじゃぁ、卵…玉ねぎ、レタス…はスープかな…あとは…」
健太はバックから缶詰とチーズを取り出す。
「ん?何か作ろうと思ちょったと?」
「あ、うん。ピザトースト」
「この缶詰で?」
「そう。けど、焼き飯にするわ」
「これだったら、ご飯温めただけでよくない?」
拓海が缶詰を手にとって言う。
「焼き飯、食べたいんやろ?」
「はい!」
健太が野菜室のピーマンやニンジンを刻み始めると、拓海は卵をとき、隼人はおにぎりを温める。
手際よく焼き飯を作っていく健太は、最後に缶詰の魚をほぐしていれ、鍋肌から煮汁を回し入れた。
醤油の香りが一気に漂う。
「う~ん。良か匂い!」
隼人が鼻をヒクヒクさせる。
「ちょっと今日はしっとり系な。先に食べてええよ」
「「おう!いただきます」」
健太は、2人の声を聞きながら、炒飯を作ったあとのフライパンにざく切りレタスとトマトを入れる。使った缶詰で水をはかり、入れていく。
煮立ったら、粉末の昆布茶を少し。
「最後はスープ。俺もこれから真似しよう」
「まさにライフハック!」
「塩分だけは気を付けてや」
隼人と拓海の声に、健太がすかさず返し、笑い声が起こる。
「いや、マジで、こういうとは、平時に慣れておかないと」
「まだ平時にはほど遠いけどな…」
「なかなか進まないものねぇ…」
三人が黙って炒飯を口に運ぶ。
「おかわり、おかわり。健太くん、おいしい!ありがとう!」
「じゃ。ちょっとしょっぱいぐらいが俺等には良か」
「いっぱい食べてや」
「お前もな」
「チーズかけて、味変してみて」
「おう!」
「明日も働くぞ~!」
「「「おー!!!!!!」」」
三人が日焼けした顔に満面の笑みを浮かべた。
健太が宿舎に帰り、キッチンを覗き込むと、ボランティア仲間の拓海が声をかけた。
隣では同じくボランティア仲間の隼人が腕組みをして笑っている。
「健太、待っちょったよ」
2人の前には、おにぎりの山。
「え、また?」
「そうなんだよ。なんか、炊き出しで余ったらしくてさ。そうたくさんもないから、ボランティアさんで…」
「まっこ、ありがたいっちゃけど…」
「断れなくって…申し訳ない」
健太の驚きの声に2人が代わる代わるに説明する。
「けど、そろそろ考えながら食材減らさんと。夏休み終わったら帰るやん。冷凍庫にもご飯は入ってるし」
「そうだよね」
と呟いた拓海は東京に、
「じゃぁよ」
と相槌を打った隼人は宮崎に帰る。
「で、健太を待っちょったとよ」
「俺?」
「そう。チャーハン作ってもらおうと思って。一杯食べれるし」
健太はボランティア仲間が帰る時には必ず焼き飯を作っていた。それが、仲間たちには評判が良かった。
(焼き飯か…ええかもしれん…)
「いつもとはちょっと違てもええ?」
「もちろんです。健太様」
健太は冷蔵庫の中を確認する。
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健太はバックから缶詰とチーズを取り出す。
「ん?何か作ろうと思ちょったと?」
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「この缶詰で?」
「そう。けど、焼き飯にするわ」
「これだったら、ご飯温めただけでよくない?」
拓海が缶詰を手にとって言う。
「焼き飯、食べたいんやろ?」
「はい!」
健太が野菜室のピーマンやニンジンを刻み始めると、拓海は卵をとき、隼人はおにぎりを温める。
手際よく焼き飯を作っていく健太は、最後に缶詰の魚をほぐしていれ、鍋肌から煮汁を回し入れた。
醤油の香りが一気に漂う。
「う~ん。良か匂い!」
隼人が鼻をヒクヒクさせる。
「ちょっと今日はしっとり系な。先に食べてええよ」
「「おう!いただきます」」
健太は、2人の声を聞きながら、炒飯を作ったあとのフライパンにざく切りレタスとトマトを入れる。使った缶詰で水をはかり、入れていく。
煮立ったら、粉末の昆布茶を少し。
「最後はスープ。俺もこれから真似しよう」
「まさにライフハック!」
「塩分だけは気を付けてや」
隼人と拓海の声に、健太がすかさず返し、笑い声が起こる。
「いや、マジで、こういうとは、平時に慣れておかないと」
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「じゃ。ちょっとしょっぱいぐらいが俺等には良か」
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「お前もな」
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「明日も働くぞ~!」
「「「おー!!!!!!」」」
三人が日焼けした顔に満面の笑みを浮かべた。
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