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それぞれの思い
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(ピザトースト、できんかったな…。まぁ、焼き飯も美味しかったけど…)
炒飯の画像を見ながら、健太は思う。
スクロールすると、いろいろな場所でいろいろな人と撮った写真。
地元の人もいるし、ボランティア仲間もいる。
少しずつしか進まない復興。苛立ちを感じながら、希望も感じて、皆は笑顔を見せてくれる。
「けどなぁ…」
(美咲さんと撮ったのがまだないねんな…)
誰にでもでも「写真撮ってええですか?」と言える健太だが、なぜか美咲には声をかけられないでいる。
(なんかな……。いや…まぁ…ヘタレやわ…)
健太は、頬をパチンと叩くとボランティアのレポートをまとめていった。
❖❖❖❖❖
美咲は、缶詰の魚を入れた玉子焼きを作っていた。
(婆さま、元気そうで良かった…)
缶詰を買いに行ったら、大喜びで迎えてくれた。
祖母を思い出すので、ちょっと避けていたのを申し訳なく思う。
小さな頃のように、キャラメルを握らせてくれた。
婆様の笑顔は少し泣き顔が混ざっていた。きっと私もそんな顔をしてたんだろうな…
美咲はそんなことをつらつら考えながら、焼き上げた玉子焼きを、パンに乗せて一口食べる。
(う~ん。やっぱり、ちぃっと醤油が強いかなぁ…)
口に入れた瞬間はいいけれど、あとに醤油味が残る。
(健太さんはマヨネーズって言ってたけど…)
ピザトーストは、玉ねぎやチーズの組み合わせや焼き目があるからマヨネーズで良かった。
(婆様も食べてくれるようなのがいいな…)
ふと、目についたのが、摘果したリンゴ。婆様に「持ってけ」と持たされた。
「ジャムにすっぺども思ったげど、気ぃが足らねぐて」
婆様のジャムが大好きだったひ孫は、波にさらわれたらしい。
(婆様のジャム、うめかったんだよね…。今度、教えてもらおう…)
美咲はごく薄く切った未熟なリンゴを卵焼きの上に置く。
柔らかな中に、サクッとした食感がいい。
そして、酸味が口の中をさっぱりさせる。
(けんど、こうなると玉子焼きが弱い…)
美咲は、いつの間にか健太がおいしそうに食べる顔を思い浮かべて、食材と向かい合っていた。
炒飯の画像を見ながら、健太は思う。
スクロールすると、いろいろな場所でいろいろな人と撮った写真。
地元の人もいるし、ボランティア仲間もいる。
少しずつしか進まない復興。苛立ちを感じながら、希望も感じて、皆は笑顔を見せてくれる。
「けどなぁ…」
(美咲さんと撮ったのがまだないねんな…)
誰にでもでも「写真撮ってええですか?」と言える健太だが、なぜか美咲には声をかけられないでいる。
(なんかな……。いや…まぁ…ヘタレやわ…)
健太は、頬をパチンと叩くとボランティアのレポートをまとめていった。
❖❖❖❖❖
美咲は、缶詰の魚を入れた玉子焼きを作っていた。
(婆さま、元気そうで良かった…)
缶詰を買いに行ったら、大喜びで迎えてくれた。
祖母を思い出すので、ちょっと避けていたのを申し訳なく思う。
小さな頃のように、キャラメルを握らせてくれた。
婆様の笑顔は少し泣き顔が混ざっていた。きっと私もそんな顔をしてたんだろうな…
美咲はそんなことをつらつら考えながら、焼き上げた玉子焼きを、パンに乗せて一口食べる。
(う~ん。やっぱり、ちぃっと醤油が強いかなぁ…)
口に入れた瞬間はいいけれど、あとに醤油味が残る。
(健太さんはマヨネーズって言ってたけど…)
ピザトーストは、玉ねぎやチーズの組み合わせや焼き目があるからマヨネーズで良かった。
(婆様も食べてくれるようなのがいいな…)
ふと、目についたのが、摘果したリンゴ。婆様に「持ってけ」と持たされた。
「ジャムにすっぺども思ったげど、気ぃが足らねぐて」
婆様のジャムが大好きだったひ孫は、波にさらわれたらしい。
(婆様のジャム、うめかったんだよね…。今度、教えてもらおう…)
美咲はごく薄く切った未熟なリンゴを卵焼きの上に置く。
柔らかな中に、サクッとした食感がいい。
そして、酸味が口の中をさっぱりさせる。
(けんど、こうなると玉子焼きが弱い…)
美咲は、いつの間にか健太がおいしそうに食べる顔を思い浮かべて、食材と向かい合っていた。
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