7 / 14
わたくし、負けませんわ
しおりを挟む
「クラウディア様? 私に倣ってどうするのですか。
クプスリスト殿下は、あなたが良いと私との婚約を破棄されたのですよ? きっとあなたのままが良いのです」
決まったわ。
「そうだぞ、ディア。私は癒しをくれるそなたが良いのだ。いつも側に居てくれるディアが」
クプスリスト殿下がクラウディア嬢の手を取り、慰めます。
クプスリスト殿下は、寂しがり屋の甘えん坊ですものねぇ。
だから、しっかり者の妻をと私は教育されてきたのだけれど、裏目に出ました。
「…でも、それではクプス様にご迷惑が…」
「迷惑などではない。私が守ってみせる」
あ、二人の世界に入りましたわ。
この二人、瞬時に二人の世界に入って周りが見えなくなるのです。
まぁ、お陰でクプスリスト殿下が賭けに気づかなかったのですが。
「クプス、」
皇太子様が、オイオイ!という感じで声をかけて続けます。
「さすがに今のままでは少し困る」
「では、やはり、お姉さまっ…!」
クラウディア様の声を制するために、左手を胸の前に挙げました。
「クラウディア様のご卒業まで、まだ2年ありますわ。あとは学園で学ばれれば充分です。
本学園には大変優秀な先生方が揃っておられますわ。出来るまで教えてくれましてよ?」
ええ、出来るまで教えてくれますわ。逃げたくても逃がしてくれません。何度、溜め息をついたことか。
微笑みながら、先生方を見つめます。
「私はお姉さまにっ」
「私は、お姉さまではありません」
先ほどより少し低い声で強めに言います。
一途と空気読まないのは紙一重かしら。
「ロランダ、懐かれておるではないか。今しばらく面倒を見てくれぬか?」
「皇太子殿下、婚約破棄までとのお約束ですわ」
「まだ正式な婚約破棄ではないぞ」
ニヤッと笑う皇太子殿下。さすがに痛いところをついてきますわ。
賭けは「婚約破棄を言い渡されるかどうか」が基準でしたが、クラウディア様への教育は「婚約破棄されるまで」とオトフリート皇太子殿下と約束したのです。
この先、正式な婚約破棄が交わされなければ、私はクラウディア様の子守りを続けねばなりません。
クラウディア様が私を慕ってくるなんて思いませんでしたから、婚約破棄を言い渡されればそれで終わりと思って承諾したのでした。
私もまだまだ甘いですわ。
でも、負けません。私には私の夢がございますもの。
2年間もクラウディア様のために皇都に残る訳にはいきませんわ。たとえ、皇家のためでも。
クプスリスト殿下は、あなたが良いと私との婚約を破棄されたのですよ? きっとあなたのままが良いのです」
決まったわ。
「そうだぞ、ディア。私は癒しをくれるそなたが良いのだ。いつも側に居てくれるディアが」
クプスリスト殿下がクラウディア嬢の手を取り、慰めます。
クプスリスト殿下は、寂しがり屋の甘えん坊ですものねぇ。
だから、しっかり者の妻をと私は教育されてきたのだけれど、裏目に出ました。
「…でも、それではクプス様にご迷惑が…」
「迷惑などではない。私が守ってみせる」
あ、二人の世界に入りましたわ。
この二人、瞬時に二人の世界に入って周りが見えなくなるのです。
まぁ、お陰でクプスリスト殿下が賭けに気づかなかったのですが。
「クプス、」
皇太子様が、オイオイ!という感じで声をかけて続けます。
「さすがに今のままでは少し困る」
「では、やはり、お姉さまっ…!」
クラウディア様の声を制するために、左手を胸の前に挙げました。
「クラウディア様のご卒業まで、まだ2年ありますわ。あとは学園で学ばれれば充分です。
本学園には大変優秀な先生方が揃っておられますわ。出来るまで教えてくれましてよ?」
ええ、出来るまで教えてくれますわ。逃げたくても逃がしてくれません。何度、溜め息をついたことか。
微笑みながら、先生方を見つめます。
「私はお姉さまにっ」
「私は、お姉さまではありません」
先ほどより少し低い声で強めに言います。
一途と空気読まないのは紙一重かしら。
「ロランダ、懐かれておるではないか。今しばらく面倒を見てくれぬか?」
「皇太子殿下、婚約破棄までとのお約束ですわ」
「まだ正式な婚約破棄ではないぞ」
ニヤッと笑う皇太子殿下。さすがに痛いところをついてきますわ。
賭けは「婚約破棄を言い渡されるかどうか」が基準でしたが、クラウディア様への教育は「婚約破棄されるまで」とオトフリート皇太子殿下と約束したのです。
この先、正式な婚約破棄が交わされなければ、私はクラウディア様の子守りを続けねばなりません。
クラウディア様が私を慕ってくるなんて思いませんでしたから、婚約破棄を言い渡されればそれで終わりと思って承諾したのでした。
私もまだまだ甘いですわ。
でも、負けません。私には私の夢がございますもの。
2年間もクラウディア様のために皇都に残る訳にはいきませんわ。たとえ、皇家のためでも。
0
あなたにおすすめの小説
地味で役に立たないと言われて捨てられましたが、王弟殿下のお相手としては最適だったようです
有賀冬馬
恋愛
「君は地味で、将来の役に立たない」
そう言われ、幼なじみの婚約者にあっさり捨てられた侯爵令嬢の私。
社交界でも忘れ去られ、同情だけを向けられる日々の中、私は王宮の文官補佐として働き始める。
そこで出会ったのは、権力争いを嫌う変わり者の王弟殿下。
過去も噂も問わず、ただ仕事だけを見て評価してくれる彼の隣で、私は静かに居場所を見つけていく。
そして暴かれる不正。転落していく元婚約者。
「君が隣にいない宮廷は退屈だ」
これは、選ばれなかった私が、必要とされる私になる物語。
ワザとダサくしてたら婚約破棄されたので隣国に行きます!
satomi
恋愛
ワザと瓶底メガネで三つ編みで、生活をしていたら、「自分の隣に相応しくない」という理由でこのフッラクション王国の王太子であられます、ダミアン殿下であらせられます、ダミアン殿下に婚約破棄をされました。
私はホウショウ公爵家の次女でコリーナと申します。
私の容姿で婚約破棄をされたことに対して私付きの侍女のルナは大激怒。
お父様は「結婚前に王太子が人を見てくれだけで判断していることが分かって良かった」と。
眼鏡をやめただけで、学園内での手の平返しが酷かったので、私は父の妹、叔母様を頼りに隣国のリーク帝国に留学することとしました!
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
婚約破棄された伯爵令嬢は隣国の将軍に求婚され、前世の記憶を取り戻す
nacat
恋愛
婚約者である王太子に身に覚えのない罪を着せられ、婚約破棄された伯爵令嬢エリシア。
廷臣たちの嘲笑の中、隣国の若き将軍ライナルトが現れ、「ならば、俺が君を妻にしよう」と求婚する。
彼はただの救い手ではなかった。エリシアの“前世の記憶”と深く結びついた存在だったのだ——。
かつてすべてを失った令嬢が、今世では誰より強く、愛され、そしてざまぁを下す。
溺愛と逆転の物語、ここに開幕。
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
悪役令嬢の逆襲
すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る!
前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。
素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる