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『こんばんは~。今日も見ていってね』
ログインと同時に、チャット画面にメッセージを表示させる。
たちまち画面左端の閲覧者数を表す数字が勢いよく跳ね上がり、同時にハートマークがピコンピコンと音を立て、カウンターを回していく。
このハートマークは、一般的な動画投稿でいわれる『投げ銭』というやつだ。
(いいねいいねー。どんどん投げ銭してくれ)
心の中で叫びつつ、花梨はカメラに向かって笑顔を向けた。
笑顔といっても顔の半分は見えない。身バレを防ぐために、バタフライマスクを着けているからだ。
さらにロングヘアの水色のウィッグに、差し色を意識した赤いピアス。
今日の衣装は可愛いボタンのついた、前開きの紺色のワンピースだ。
どこから見ても女の子だが、開けた胸元が真っ平なこととフリフリの小さな白いパンティーの前が異様に膨らんでいるところから、女の子ではないことは確かだ。
半開きの唇を指でなぞり、上半身だけ開けさせて露わになった乳首をもう片方の手で弄ってみせる。
恍惚とした表情を浮かべ、さらに乳首を弄る。
なぞって、こねて、摘まんで、ねじる。
『あっ』と声を漏らすと、あちら側に音声は聞こえていないのに、興奮した輩からハートマークを連打される。
(やっぱエロ最強!)
ビクっと身体を震わせて内股を閉じると、たちまちチャット画面に文字が飛び交う。
『脚閉じないで!』
『下も見せて』
(わーってるって。そんなに焦るなよ)
フゥと溜息をつき、唇に置いていた指をスカートの中に滑り込ませる。
閉じた脚をゆっくりと開き、短いスカートの中を見せる。
スカートの中では、膨らんだ部分をなぞるようにゆっくりと円を描いていた。
『もう濡れてるじゃん』
『えっろ。乳首だけで感じちゃってるんだ』
『もっと感じてるとこ見せて!』
続きが見たいと、次々とメッセージが送られてくる。
ここでリクエスト通り、あちこち弄って感じている姿を見せてやってもいいが、それでは多くの投げ銭は得られない。
(でもファンサービスはしないとな)
うっとりとした目をカメラに向けながら、傍らに置いたバッグの中をゴソゴソと漁った。
手触りだけでお目当ての物を探し出し、ゆっくりとバッグの中からとし出す。するとメッセージ欄が一気に沸いた。
『待ってました!』
『りんりん様! 早くイって!』
【りんりん】
それが彼のライブチャット上の名前だった。
(ボクのエロさでイってしまえ!)
りんりんは取り出した物、肌色のディルドを右手に持ち、それを唇に当てた。
ディルドの尖端をアイスキャンディーのように舌で舐めまわし、もの欲しそうにカメラを見つめる。
カメラを見つめたまま、ディルドの尖端を咥えた。
チュパッチュパッ、とわざとらしく音を立てて咥えたディルドを吸っては舐めてを繰り返すと、焦らしている筈の自分が焦らされている気分になってきた。
(やば、疼いてきた……)
このディルドをしゃぶったまま犯されたい。そんな気持ちがムクムクと湧いてくる。
もっと画面の向こうの輩を焦らしてやるつもりだったが、自分が耐えられそうになかった。
ディルドを執拗にしゃぶりながら、左手を臀部に持っていく。
犯されたい部分、普通なら排泄にしか使用しない部分に指を挿して、まだ解れていない穴の筋肉を伸ばした。
「んんっ……」
思わず声が漏れる。
乳首を弄っていた時も気持ち良かったが、あの時に発した声は半分は演技だ。でも、今漏れた声は本物だ。感じて、それに伴って出てしまった喘ぎだ。
配信中ということを忘れて、このまま下も脱いで両脚を開き、自分の唾液で濡れたディルドをぶっ挿したい状態だった。
一応アダルトサイトではあるが、配信中に性器を見せる行為は禁止事項になっていた。
ただ大勢を相手にした配信中とあって、個別チャットの配信中については文言されていなかった。つまりはそういうことだ。
(こんなになってるのに、誰も入ってこないのかよ)
パンティーは先ほどよりも濡れていて、布越しに肌色を透けさせている。
それくらい感じ、カウパーを垂らしているというのに、個別チャットの通知はなかった。
当たり前だが、ただ大勢で覗いてメッセージを送るのと、個別にチャットして覗くのでは料金が倍以上違う。風俗に行くよりは安いが、それなりに金はかかる。
性欲に負け、今日はここで配信を切ってオナニーをしようと思った矢先、ピロリンと投げ銭とは違う音が鳴った。個別チャットの申請音だ。
(きた!)
すかさずOKボタンを押すと、画面の中央に『個別チャットに移ります』という文字が大きめの文字で表示された。
これは配信者・閲覧者両方の画面に表示され、『その他大勢』の閲覧者は、五秒後に自動的に配信から追い出される。
「こんばんわ」
『こんばんわ。随分発情してるね。もう、我慢できないんじゃないの?』
「……うん。配信切って、オナニーしようと思ってたくらい」
個別チャットは文字ではなく、相手からも音声でやりとりが出来る。もちろん身バレしたくないという人間は音声ではなく、文字でチャットをしてくるが、今日の相手は音声でやりとりをするつもりらしい。
『俺に構わず、続けていいよ』
「え?」
『オナニー。俺に見せて』
返事をする代わりに、りんりんはパンティーを脱いだ。
小さなパンティーに押し込められていたモノは、解放と同時に跳ね上がり、床にカウパーをまき散らした。
『いやらしいね、あれだけでこんなになっちゃって。目の前にいたら、濡らした段階で犯していた』
「今すぐボクを犯して」
『俺に犯されていることを想像して、自分で後ろを犯してごらん』
「ボクはあなたがどんな人か知らない。どんなプレイが好きで、どんなモノを持っているのかも」
『じゃあ、俺の命令どおりに動いて。ペニスは、好きな大きさを想像するといい』
画面の向うの彼は落ち着いた声で言った。
マスクか何かで口元を隠しているっぽい声色だが、どこか聞き覚えのある、心地よい響きを持った声だった。
普段ならこんな命令は聞き入れないのだが、何故かこの声に逆らいたいと思えなかった。しかもどんな命令をされるのか、期待してしまっている自分までいる。
「なにをすればいいの?」
『服を全部脱いで。脱ぎ終わったら、持ってるディルドを床に固定して』
言われるままに脱げかかったワンピースを床に投げ出し、吸盤のついているディルドを強く床に押しつけた。
画面で行動を見ているからか、こちらから指示を仰がなくても彼から次の指示が告げられた。
『ディルドの上にローションをかけて。まだ挿れちゃダメだからな』
コクリと頷いて、用意しておいたローションをたっぷりとディルドの上から注いだ。
『まだ』と命令されたが、すっかり発情してしまった身体は、快感を欲しがって止まない。
(ディルドを挿れなければいいだけだよね?)
床に突き立てたディルドを見つめながら、モノを握り上下に扱く。しっかりとカウパーで濡れているから、ローションは必要ない。二~三往復しただけで、たちまち射精感が襲ってくる。
「んっ、ふっ、ああっ」
『誰が扱いていいと言った? 悪い子にはお仕置きが必要だね』
「だって」
『だって、じゃない。りんりん、ディルドの上に跨れ』
「え?」
『跨れ』
お仕置きというから、もっと酷いことを命令されるのかと思っていた。
不思議に思いながら、ディルドの上に跨りカメラに視線を向けると、彼は冷淡に言った。
『ゆっくりディルドを挿れて。奥までしっかりだ』
「ああっ……! きもち……いい……」
『次はカウントに合わせて上下に動いて。勝手に速度早めたりイったりしたら、ログアウトするからな』
ログアウトされれば、そこで課金が終了になる。りんりんにとっては不利益になる。
しかしこんな命令、りんりんにとってどうでもいいことだった。
命令に逆らってログアウトされて、このまま閲覧されなくなっても、金を落としてくれる人間は他にいくらでもいるのだから。
ただ、この声に逆らえなかった。本能が『従え』と訴えてくるのだ。
(なんで、この声に逆らえないんだろう……。どこかで聞いたことのあるような、知っているような……)
ぼんやりと考えていると、画面から少し大きな声がりんりんを呼んだ。
『りんりん、聞いてるか!? 分かったのか!?』
「は、はい」
ぼんやりしていて、何に対して分かったのか聞いてはいなかったが、聞いていたと判断した彼がカウントを始めてしまった。
聞き返すに聞き返せなくなってしまった。
『いーーち、にーーい、いーーち、にーーい』
「んあっ! あっ、あっ!」
『いーーち、にーーい、いーーち、にーーい』
「んんっ! あっ、あっ!」
完全に焦らしだ。
連続して与えてもらいたいと願う快感は、途切れ途切れでしか与えられず、しかもスローペースだ。
萎えるくらいのゆっくりでもなく、かといってイクにはスピードも強さも足りなかった。
「イキたいのにイケない……。もっと刺激が欲しい」
『まだイカせない。もっと蕩けた顔が見たい。こっち見てディルドの上で動いて』
「んっ、んっ、んっ……ふぅっ」
『いい顔だ。俺が先にイキそうだ』
「も、もうダメ。イカせて」
『そんなにイキたい?』
答えるのももどかしく、コクコクと首を縦に振った。
『イってもいいよ。ちゃんと約束守ってくれればね』
「約束?」
『さっき約束したよね? 聞いていなかったなんて言わせないよ』
やはりさっき、りんりんは彼と何か約束していたようだ。
強く言われて、聞いていなかったなんて言えなかったりんりんはとりあえず首を縦に振った。
『絶対だよ』
絶対と言われようが、ここの世界は現実とは違う。
個人情報を知られていない限り、現実でなにかをされる可能性は低い。約束なんてあってないようなものだ。
彼の言葉に無言の返事をすると、りんりんはハイスピードでディルドに襞を擦りつけ始めた。
カメラアングルなんて気にしないで、とにかくイクことだけに集中する。
もどかしかった快感が、一気にイク快感へと変わる。
「あああっ! イっちゃう! イクぅ!」
ディルドを双丘に咥え込んだまま、ビクビクビクッと身体を震わせる。
半勃ちになったモノからは、カウパー混じりの精液が涎のように滴り落ちる。
「あっ、あっ、あっ……」
『イキ顔もエロくていいね。約束、絶対に守ってね』
快感で脳が痺れ、意識が朦朧としてくる。
ログアウトボタンを押すことなく、りんりんはそのまま意識を失った。
「ぶぇっ、くしょん!」
屋上のベンチに寝っ転がって日向ぼっこをしていたら、いきなりくしゃみが出た。
「……昨日全裸で寝ちゃったから、風邪ひいたか?」
不可抗力、というよりは自業自得。
イった後はどうしても意識が飛んでしまう。そのまま気を失って寝落ちてしまうと分かっているのだから、その前に気力を振り絞ってベッドに行くなり、服を着るなりすればいいだけなのだ。それをしなかった自分が悪い。
「あー……、だりぃ。サボりてぇ……」
現在は昼休みの真っただ中。
満腹で眠くなっているだけに、余計に午後の授業に出席するのが気だるく感じてくる。
「本当にサボると、後々メンドクサイからなぁ」
たまに『うっかり』サボってしまうことはあったが、故意でサボることはまずなかった。
基本、真面目なのだ。真面目ゆえに、悪いことをするような勇気を持ち合わせていなかった。
「う~、それにしても眠すぎる。少しだけ、寝させてもらおう」
ベンチから起き上がって、階段を降りる。
まだ昼休みということもあって、廊下には生徒の姿が多く見られた。花梨がどこに向かおうと、昼休みゆえに誰も気にしない。
花梨が向かった先は【生徒会室】。
こんな場所、生徒会役員でなければ入ろうとは思わない。なので、当たり前だが中には誰もいなかった。
「ふぁぁ~、あったか~」
生徒会室は校舎の南側にあり、日当たりが良い。
梅雨に入り肌寒い日が続いているが、ここはエアコンが効いているかのように暖かった。
部屋に入るなりどっかりと椅子に座り、作業用の長机に顔をうつ伏せる。
「昨夜はログインするのが遅かったうえ、個チャで時間食ったからなぁ。マジ寝不足」
その分稼がせてはもらったけどな、と顔を緩ませる。
朝になって目覚めて気付いたが、あの男はログアウト時に投げ銭までしていってくれていた。
「どこの誰だか知らないけど、また入ってきてくれるといいな」
何故か逆らうことが出来ない声の持ち主。
聞いたことがあるような気はするが、花梨がこんなことをしていると知っている知り合いは誰もいない。
「しっかし、鈴木花梨だから【りんりん】とか。我ながら、だっさいネーミングセンスだよなぁ」
もっと可愛いウェブネームをつければよかった。
花梨はださいと言うが、視聴者からは意外と『かわいい名前だ』と言われる。今さら改名するのも面倒くさいので、なんだかんだずっとこの名前を使ってしまっている。
「【りんりん】じゃなければ、どんな名前がよかったのかなぁ。エロくて可愛い名前……」
あれこれ考えているうち、室内が温かいのもあって、花梨はあっという間に眠りの世界に引きずり込まれていった。
「……りん、花梨、起きろって!」
「んん~? あと五分……」
「なにがあと五分、だ。とっくに下校時間過ぎてるぞ!?」
下校時刻という言葉を聞いて、ここが自室でないことを思い出した。
「……ん? もう下校時間って、もうそんな時間!? てか、コウさん!? なんでここに!?」
「なんでって、帰ろうと思って教室にいなかったから、ここしかないだろうって思ってさ。クラスの連中も心配してたぞ? いつからここにいたんだ?」
「えー……、昼休みから?」
「花梨……」
花梨が惚けたように言うと、ゴチンと頭部に痛みが走った。
「眠いなら早く寝ろっていてるだろう? それに寝るなら教室で寝ろ」
「だってぇ……」
「『だってぇ』じゃない。ほら、施錠するから外に出ろ」
「はぁい」
気だるそうに返事をして、言われるがままに教室の外へ出た。
「施錠するなんて珍しいね、コウさん。いつも開けっ放しの入りたい放題だったのに」
「入りたい放題してるのは花梨だけだろう。普通は『関係者以外立入禁止』って書かれていたら、入ってきたりはしない」
「え~」
「施錠は、花梨のように勝手に入ってくるのを阻止するため。文化祭の準備が始まって、契約書とか置くようになったからな」
「もう準備に入るんだ」
驚いた顔でコウを見上げる。
花梨の中では、文化祭の準備は夏休み少し前からするものだと思っていたからだ。
「業者に頼むものとかは、早めにやっておかないと、直前とかでは借りれないとか数が足りないとかなり兼ねないんだ」
こんな他愛もないことを話しながら昇降口まで来ると、コウはいきなりグイと花梨の肩を抱き寄せた。
「!? コウさん!?」
「……前から思ってたんだ。花梨、家を出たくて夜遅くまでバイトしてるんだよな? それだと今日みたいに仮眠していて寝過ごすことも増えるし、体力に自信があると言っていても、花梨が壊れてしまう」
「コウさん……」
少し困惑しながらコウを見上げる。
しかし、しっかりと抱きしめられているせいで、コウの表情は見えない。
「俺、思ったんだ。花梨さえよければ、うちで一緒に住まないか? 親は花梨のことを昔からよく知っているし、俺の弟みたいに思っている。きっと話せばいいって言ってくれると思うんだ」
「それでも、コウさんのご両親の負担になってしまう。第一、ボクの親が許さない」
それはコウも分かっているのか、一瞬口ごもってしまった。だけど抱きしめていた腕を緩め、花梨を正面から見据えた。
「花梨、俺は」
コウが口を開いたとき、コウの背後にヌゥと誰かが現れた。
「お取り込み中悪いが、とっくに下校時刻は過ぎているんだが? 続きは学校を出てからにしてくれないか?」
「!? 澤田先生、なんでここに!?」
「巡回中だ。昇降口を施錠しようと思ったら、お前達がいたからな。声をかけたまでだ」
澤田と呼ばれた教師は、少しムッとした表情で二人を見た。
「金谷、国立大学受験希望だろう? こんな場所でイチャイチャしていないで、早く帰って勉強しなさい」
「……すいません、すぐに帰ります」
「ああ。気をつけて帰れよ」
コウは花梨の肩から手を放すと、素直に澤田に謝った。
花梨も澤田に一礼し、靴に履き替え外に出ようとして、背中に視線を感じて振り向いた。
「澤田先生? ボクになにか?」
「……何でもない。鈴木も気をつけて帰りなさい」
花梨とコウこと金谷紘一は幼馴染だ。
代議士の息子であるコウは、裕福な家庭で、なに不自由なく育った。
一方の花梨は、大病院の院長である父親と、その妻であることが自慢の母の間に生まれた。
コウの家と違って、忙しく家庭を顧みることのない父と、セレブ自慢とマウントに忙しく、家事どころか家のことは家政婦に任せきりの母は、花梨に愛情を注ぐことはなかった。
花梨を顧みるのは、自分の利益につながるときだけ。
そんな家庭が大嫌いだった花梨は、中学に上がる頃には家を出たいと切望していた。
だから、花梨はお金を稼ぐためにライブチャットを始めた。
高校に入ってから、放課後に普通のバイトをしていたが、それだけは当然足りない。そこで目をつけたのがライブチャットだった。
ライブチャットというものは、夜中のログイン率が高い。稼ぐなら夜中に配信するのが効率的だ。
「今日も頑張って稼ぐぞ!」
夕食を済ませシャワーを浴びると、部屋に戻って鍵をかける。誰も入ってこないとは分かっているが念のためだ。
「今日の衣装は、っと」
クローゼットの奥から赤いチャイナ服を取り出す。服に合わせてパンティーも赤を選び、穿き直す。
「あ」
ウィッグをつけようと鏡を見て、ピアスをつけっぱなしだったことに気がづいた。
「ピアス……」
たまにつけっぱなしで学校に行くこともあったので、コウはなにも言わなかったが、花梨のことをじっと見ていたはずの澤田も、なにも言わなかったことを思い出した。
「気がつかなかったのかな? でも、こんなに目立つ色なのに」
光沢のある真っ赤なピアス。夕方だったし、気付かなかった可能性もある。しかし気付かないような距離でもなかった。
「ま、いいか。見つかって怒られても面倒臭いし」
気を取り直して、花梨はパソコンのキーボードを叩き、マウスをクリックする。
『こんばんは~。今日もエロくイクよ~!』
ライブチャットにログインし、メッセージを画面に表示さる。起動したカメラに向かって、花梨は大きく手を振って愛想を振りまいた。
ログインと同時に、チャット画面にメッセージを表示させる。
たちまち画面左端の閲覧者数を表す数字が勢いよく跳ね上がり、同時にハートマークがピコンピコンと音を立て、カウンターを回していく。
このハートマークは、一般的な動画投稿でいわれる『投げ銭』というやつだ。
(いいねいいねー。どんどん投げ銭してくれ)
心の中で叫びつつ、花梨はカメラに向かって笑顔を向けた。
笑顔といっても顔の半分は見えない。身バレを防ぐために、バタフライマスクを着けているからだ。
さらにロングヘアの水色のウィッグに、差し色を意識した赤いピアス。
今日の衣装は可愛いボタンのついた、前開きの紺色のワンピースだ。
どこから見ても女の子だが、開けた胸元が真っ平なこととフリフリの小さな白いパンティーの前が異様に膨らんでいるところから、女の子ではないことは確かだ。
半開きの唇を指でなぞり、上半身だけ開けさせて露わになった乳首をもう片方の手で弄ってみせる。
恍惚とした表情を浮かべ、さらに乳首を弄る。
なぞって、こねて、摘まんで、ねじる。
『あっ』と声を漏らすと、あちら側に音声は聞こえていないのに、興奮した輩からハートマークを連打される。
(やっぱエロ最強!)
ビクっと身体を震わせて内股を閉じると、たちまちチャット画面に文字が飛び交う。
『脚閉じないで!』
『下も見せて』
(わーってるって。そんなに焦るなよ)
フゥと溜息をつき、唇に置いていた指をスカートの中に滑り込ませる。
閉じた脚をゆっくりと開き、短いスカートの中を見せる。
スカートの中では、膨らんだ部分をなぞるようにゆっくりと円を描いていた。
『もう濡れてるじゃん』
『えっろ。乳首だけで感じちゃってるんだ』
『もっと感じてるとこ見せて!』
続きが見たいと、次々とメッセージが送られてくる。
ここでリクエスト通り、あちこち弄って感じている姿を見せてやってもいいが、それでは多くの投げ銭は得られない。
(でもファンサービスはしないとな)
うっとりとした目をカメラに向けながら、傍らに置いたバッグの中をゴソゴソと漁った。
手触りだけでお目当ての物を探し出し、ゆっくりとバッグの中からとし出す。するとメッセージ欄が一気に沸いた。
『待ってました!』
『りんりん様! 早くイって!』
【りんりん】
それが彼のライブチャット上の名前だった。
(ボクのエロさでイってしまえ!)
りんりんは取り出した物、肌色のディルドを右手に持ち、それを唇に当てた。
ディルドの尖端をアイスキャンディーのように舌で舐めまわし、もの欲しそうにカメラを見つめる。
カメラを見つめたまま、ディルドの尖端を咥えた。
チュパッチュパッ、とわざとらしく音を立てて咥えたディルドを吸っては舐めてを繰り返すと、焦らしている筈の自分が焦らされている気分になってきた。
(やば、疼いてきた……)
このディルドをしゃぶったまま犯されたい。そんな気持ちがムクムクと湧いてくる。
もっと画面の向こうの輩を焦らしてやるつもりだったが、自分が耐えられそうになかった。
ディルドを執拗にしゃぶりながら、左手を臀部に持っていく。
犯されたい部分、普通なら排泄にしか使用しない部分に指を挿して、まだ解れていない穴の筋肉を伸ばした。
「んんっ……」
思わず声が漏れる。
乳首を弄っていた時も気持ち良かったが、あの時に発した声は半分は演技だ。でも、今漏れた声は本物だ。感じて、それに伴って出てしまった喘ぎだ。
配信中ということを忘れて、このまま下も脱いで両脚を開き、自分の唾液で濡れたディルドをぶっ挿したい状態だった。
一応アダルトサイトではあるが、配信中に性器を見せる行為は禁止事項になっていた。
ただ大勢を相手にした配信中とあって、個別チャットの配信中については文言されていなかった。つまりはそういうことだ。
(こんなになってるのに、誰も入ってこないのかよ)
パンティーは先ほどよりも濡れていて、布越しに肌色を透けさせている。
それくらい感じ、カウパーを垂らしているというのに、個別チャットの通知はなかった。
当たり前だが、ただ大勢で覗いてメッセージを送るのと、個別にチャットして覗くのでは料金が倍以上違う。風俗に行くよりは安いが、それなりに金はかかる。
性欲に負け、今日はここで配信を切ってオナニーをしようと思った矢先、ピロリンと投げ銭とは違う音が鳴った。個別チャットの申請音だ。
(きた!)
すかさずOKボタンを押すと、画面の中央に『個別チャットに移ります』という文字が大きめの文字で表示された。
これは配信者・閲覧者両方の画面に表示され、『その他大勢』の閲覧者は、五秒後に自動的に配信から追い出される。
「こんばんわ」
『こんばんわ。随分発情してるね。もう、我慢できないんじゃないの?』
「……うん。配信切って、オナニーしようと思ってたくらい」
個別チャットは文字ではなく、相手からも音声でやりとりが出来る。もちろん身バレしたくないという人間は音声ではなく、文字でチャットをしてくるが、今日の相手は音声でやりとりをするつもりらしい。
『俺に構わず、続けていいよ』
「え?」
『オナニー。俺に見せて』
返事をする代わりに、りんりんはパンティーを脱いだ。
小さなパンティーに押し込められていたモノは、解放と同時に跳ね上がり、床にカウパーをまき散らした。
『いやらしいね、あれだけでこんなになっちゃって。目の前にいたら、濡らした段階で犯していた』
「今すぐボクを犯して」
『俺に犯されていることを想像して、自分で後ろを犯してごらん』
「ボクはあなたがどんな人か知らない。どんなプレイが好きで、どんなモノを持っているのかも」
『じゃあ、俺の命令どおりに動いて。ペニスは、好きな大きさを想像するといい』
画面の向うの彼は落ち着いた声で言った。
マスクか何かで口元を隠しているっぽい声色だが、どこか聞き覚えのある、心地よい響きを持った声だった。
普段ならこんな命令は聞き入れないのだが、何故かこの声に逆らいたいと思えなかった。しかもどんな命令をされるのか、期待してしまっている自分までいる。
「なにをすればいいの?」
『服を全部脱いで。脱ぎ終わったら、持ってるディルドを床に固定して』
言われるままに脱げかかったワンピースを床に投げ出し、吸盤のついているディルドを強く床に押しつけた。
画面で行動を見ているからか、こちらから指示を仰がなくても彼から次の指示が告げられた。
『ディルドの上にローションをかけて。まだ挿れちゃダメだからな』
コクリと頷いて、用意しておいたローションをたっぷりとディルドの上から注いだ。
『まだ』と命令されたが、すっかり発情してしまった身体は、快感を欲しがって止まない。
(ディルドを挿れなければいいだけだよね?)
床に突き立てたディルドを見つめながら、モノを握り上下に扱く。しっかりとカウパーで濡れているから、ローションは必要ない。二~三往復しただけで、たちまち射精感が襲ってくる。
「んっ、ふっ、ああっ」
『誰が扱いていいと言った? 悪い子にはお仕置きが必要だね』
「だって」
『だって、じゃない。りんりん、ディルドの上に跨れ』
「え?」
『跨れ』
お仕置きというから、もっと酷いことを命令されるのかと思っていた。
不思議に思いながら、ディルドの上に跨りカメラに視線を向けると、彼は冷淡に言った。
『ゆっくりディルドを挿れて。奥までしっかりだ』
「ああっ……! きもち……いい……」
『次はカウントに合わせて上下に動いて。勝手に速度早めたりイったりしたら、ログアウトするからな』
ログアウトされれば、そこで課金が終了になる。りんりんにとっては不利益になる。
しかしこんな命令、りんりんにとってどうでもいいことだった。
命令に逆らってログアウトされて、このまま閲覧されなくなっても、金を落としてくれる人間は他にいくらでもいるのだから。
ただ、この声に逆らえなかった。本能が『従え』と訴えてくるのだ。
(なんで、この声に逆らえないんだろう……。どこかで聞いたことのあるような、知っているような……)
ぼんやりと考えていると、画面から少し大きな声がりんりんを呼んだ。
『りんりん、聞いてるか!? 分かったのか!?』
「は、はい」
ぼんやりしていて、何に対して分かったのか聞いてはいなかったが、聞いていたと判断した彼がカウントを始めてしまった。
聞き返すに聞き返せなくなってしまった。
『いーーち、にーーい、いーーち、にーーい』
「んあっ! あっ、あっ!」
『いーーち、にーーい、いーーち、にーーい』
「んんっ! あっ、あっ!」
完全に焦らしだ。
連続して与えてもらいたいと願う快感は、途切れ途切れでしか与えられず、しかもスローペースだ。
萎えるくらいのゆっくりでもなく、かといってイクにはスピードも強さも足りなかった。
「イキたいのにイケない……。もっと刺激が欲しい」
『まだイカせない。もっと蕩けた顔が見たい。こっち見てディルドの上で動いて』
「んっ、んっ、んっ……ふぅっ」
『いい顔だ。俺が先にイキそうだ』
「も、もうダメ。イカせて」
『そんなにイキたい?』
答えるのももどかしく、コクコクと首を縦に振った。
『イってもいいよ。ちゃんと約束守ってくれればね』
「約束?」
『さっき約束したよね? 聞いていなかったなんて言わせないよ』
やはりさっき、りんりんは彼と何か約束していたようだ。
強く言われて、聞いていなかったなんて言えなかったりんりんはとりあえず首を縦に振った。
『絶対だよ』
絶対と言われようが、ここの世界は現実とは違う。
個人情報を知られていない限り、現実でなにかをされる可能性は低い。約束なんてあってないようなものだ。
彼の言葉に無言の返事をすると、りんりんはハイスピードでディルドに襞を擦りつけ始めた。
カメラアングルなんて気にしないで、とにかくイクことだけに集中する。
もどかしかった快感が、一気にイク快感へと変わる。
「あああっ! イっちゃう! イクぅ!」
ディルドを双丘に咥え込んだまま、ビクビクビクッと身体を震わせる。
半勃ちになったモノからは、カウパー混じりの精液が涎のように滴り落ちる。
「あっ、あっ、あっ……」
『イキ顔もエロくていいね。約束、絶対に守ってね』
快感で脳が痺れ、意識が朦朧としてくる。
ログアウトボタンを押すことなく、りんりんはそのまま意識を失った。
「ぶぇっ、くしょん!」
屋上のベンチに寝っ転がって日向ぼっこをしていたら、いきなりくしゃみが出た。
「……昨日全裸で寝ちゃったから、風邪ひいたか?」
不可抗力、というよりは自業自得。
イった後はどうしても意識が飛んでしまう。そのまま気を失って寝落ちてしまうと分かっているのだから、その前に気力を振り絞ってベッドに行くなり、服を着るなりすればいいだけなのだ。それをしなかった自分が悪い。
「あー……、だりぃ。サボりてぇ……」
現在は昼休みの真っただ中。
満腹で眠くなっているだけに、余計に午後の授業に出席するのが気だるく感じてくる。
「本当にサボると、後々メンドクサイからなぁ」
たまに『うっかり』サボってしまうことはあったが、故意でサボることはまずなかった。
基本、真面目なのだ。真面目ゆえに、悪いことをするような勇気を持ち合わせていなかった。
「う~、それにしても眠すぎる。少しだけ、寝させてもらおう」
ベンチから起き上がって、階段を降りる。
まだ昼休みということもあって、廊下には生徒の姿が多く見られた。花梨がどこに向かおうと、昼休みゆえに誰も気にしない。
花梨が向かった先は【生徒会室】。
こんな場所、生徒会役員でなければ入ろうとは思わない。なので、当たり前だが中には誰もいなかった。
「ふぁぁ~、あったか~」
生徒会室は校舎の南側にあり、日当たりが良い。
梅雨に入り肌寒い日が続いているが、ここはエアコンが効いているかのように暖かった。
部屋に入るなりどっかりと椅子に座り、作業用の長机に顔をうつ伏せる。
「昨夜はログインするのが遅かったうえ、個チャで時間食ったからなぁ。マジ寝不足」
その分稼がせてはもらったけどな、と顔を緩ませる。
朝になって目覚めて気付いたが、あの男はログアウト時に投げ銭までしていってくれていた。
「どこの誰だか知らないけど、また入ってきてくれるといいな」
何故か逆らうことが出来ない声の持ち主。
聞いたことがあるような気はするが、花梨がこんなことをしていると知っている知り合いは誰もいない。
「しっかし、鈴木花梨だから【りんりん】とか。我ながら、だっさいネーミングセンスだよなぁ」
もっと可愛いウェブネームをつければよかった。
花梨はださいと言うが、視聴者からは意外と『かわいい名前だ』と言われる。今さら改名するのも面倒くさいので、なんだかんだずっとこの名前を使ってしまっている。
「【りんりん】じゃなければ、どんな名前がよかったのかなぁ。エロくて可愛い名前……」
あれこれ考えているうち、室内が温かいのもあって、花梨はあっという間に眠りの世界に引きずり込まれていった。
「……りん、花梨、起きろって!」
「んん~? あと五分……」
「なにがあと五分、だ。とっくに下校時間過ぎてるぞ!?」
下校時刻という言葉を聞いて、ここが自室でないことを思い出した。
「……ん? もう下校時間って、もうそんな時間!? てか、コウさん!? なんでここに!?」
「なんでって、帰ろうと思って教室にいなかったから、ここしかないだろうって思ってさ。クラスの連中も心配してたぞ? いつからここにいたんだ?」
「えー……、昼休みから?」
「花梨……」
花梨が惚けたように言うと、ゴチンと頭部に痛みが走った。
「眠いなら早く寝ろっていてるだろう? それに寝るなら教室で寝ろ」
「だってぇ……」
「『だってぇ』じゃない。ほら、施錠するから外に出ろ」
「はぁい」
気だるそうに返事をして、言われるがままに教室の外へ出た。
「施錠するなんて珍しいね、コウさん。いつも開けっ放しの入りたい放題だったのに」
「入りたい放題してるのは花梨だけだろう。普通は『関係者以外立入禁止』って書かれていたら、入ってきたりはしない」
「え~」
「施錠は、花梨のように勝手に入ってくるのを阻止するため。文化祭の準備が始まって、契約書とか置くようになったからな」
「もう準備に入るんだ」
驚いた顔でコウを見上げる。
花梨の中では、文化祭の準備は夏休み少し前からするものだと思っていたからだ。
「業者に頼むものとかは、早めにやっておかないと、直前とかでは借りれないとか数が足りないとかなり兼ねないんだ」
こんな他愛もないことを話しながら昇降口まで来ると、コウはいきなりグイと花梨の肩を抱き寄せた。
「!? コウさん!?」
「……前から思ってたんだ。花梨、家を出たくて夜遅くまでバイトしてるんだよな? それだと今日みたいに仮眠していて寝過ごすことも増えるし、体力に自信があると言っていても、花梨が壊れてしまう」
「コウさん……」
少し困惑しながらコウを見上げる。
しかし、しっかりと抱きしめられているせいで、コウの表情は見えない。
「俺、思ったんだ。花梨さえよければ、うちで一緒に住まないか? 親は花梨のことを昔からよく知っているし、俺の弟みたいに思っている。きっと話せばいいって言ってくれると思うんだ」
「それでも、コウさんのご両親の負担になってしまう。第一、ボクの親が許さない」
それはコウも分かっているのか、一瞬口ごもってしまった。だけど抱きしめていた腕を緩め、花梨を正面から見据えた。
「花梨、俺は」
コウが口を開いたとき、コウの背後にヌゥと誰かが現れた。
「お取り込み中悪いが、とっくに下校時刻は過ぎているんだが? 続きは学校を出てからにしてくれないか?」
「!? 澤田先生、なんでここに!?」
「巡回中だ。昇降口を施錠しようと思ったら、お前達がいたからな。声をかけたまでだ」
澤田と呼ばれた教師は、少しムッとした表情で二人を見た。
「金谷、国立大学受験希望だろう? こんな場所でイチャイチャしていないで、早く帰って勉強しなさい」
「……すいません、すぐに帰ります」
「ああ。気をつけて帰れよ」
コウは花梨の肩から手を放すと、素直に澤田に謝った。
花梨も澤田に一礼し、靴に履き替え外に出ようとして、背中に視線を感じて振り向いた。
「澤田先生? ボクになにか?」
「……何でもない。鈴木も気をつけて帰りなさい」
花梨とコウこと金谷紘一は幼馴染だ。
代議士の息子であるコウは、裕福な家庭で、なに不自由なく育った。
一方の花梨は、大病院の院長である父親と、その妻であることが自慢の母の間に生まれた。
コウの家と違って、忙しく家庭を顧みることのない父と、セレブ自慢とマウントに忙しく、家事どころか家のことは家政婦に任せきりの母は、花梨に愛情を注ぐことはなかった。
花梨を顧みるのは、自分の利益につながるときだけ。
そんな家庭が大嫌いだった花梨は、中学に上がる頃には家を出たいと切望していた。
だから、花梨はお金を稼ぐためにライブチャットを始めた。
高校に入ってから、放課後に普通のバイトをしていたが、それだけは当然足りない。そこで目をつけたのがライブチャットだった。
ライブチャットというものは、夜中のログイン率が高い。稼ぐなら夜中に配信するのが効率的だ。
「今日も頑張って稼ぐぞ!」
夕食を済ませシャワーを浴びると、部屋に戻って鍵をかける。誰も入ってこないとは分かっているが念のためだ。
「今日の衣装は、っと」
クローゼットの奥から赤いチャイナ服を取り出す。服に合わせてパンティーも赤を選び、穿き直す。
「あ」
ウィッグをつけようと鏡を見て、ピアスをつけっぱなしだったことに気がづいた。
「ピアス……」
たまにつけっぱなしで学校に行くこともあったので、コウはなにも言わなかったが、花梨のことをじっと見ていたはずの澤田も、なにも言わなかったことを思い出した。
「気がつかなかったのかな? でも、こんなに目立つ色なのに」
光沢のある真っ赤なピアス。夕方だったし、気付かなかった可能性もある。しかし気付かないような距離でもなかった。
「ま、いいか。見つかって怒られても面倒臭いし」
気を取り直して、花梨はパソコンのキーボードを叩き、マウスをクリックする。
『こんばんは~。今日もエロくイクよ~!』
ライブチャットにログインし、メッセージを画面に表示さる。起動したカメラに向かって、花梨は大きく手を振って愛想を振りまいた。
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