乙女ゲームは始まらない〜闇魔法使いの私はヒロインを降ります〜

えんな

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ドラゴンさんとジークさんと呪い

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「で、私の闇属性とドラゴンさんの呪いが、どう関係あるんですか?」



ドラゴンさんの事に全く気付いていなかったのが何となく恥ずかしくて、私は話を早く戻したかった。

ドラゴンさんは一度目を伏せてから、綺麗な金眼を私に向けて口を開いた。



「そもそも、俺に協力する気になったのか?」

「ジークさんには協力したくありませんが、ドラゴンさんなら別です」

「・・・この姿ドラゴンも俺ジークだが?」

「いえ、全く違います!ジークさんは美人さんですが、世界で一番性格が悪いです。ですが、ドラゴンさんは、困っている私に救いの手を差し伸べてくださった優しい竜なのです」

「・・・」

「それに、ドラゴンさんは私に言いましたよね?私を『命の恩人』だと」

「・・・」

「ジークさんは私の命など何とも思っていませんが、ドラゴンさんは大切にしてくれます。だからドラゴンさんには協力します!」



ドラゴンさんは暫し無言で私を見つめたが、やがて彼もやってしまいました。

そう、溜息です。

しまった!と言うような表情のドラゴンさんが可愛らしくて、思わず笑ってしまった。



「ドラゴンさんになら溜息吐かれても、お前って言われても平気ですよ?ジークさんだったら全力でぶちのめします」



ドラゴンさんは少し力を抜いた様子で続けた。



「・・・お前は本当に変わっている」



ドラゴンさんが笑った気がした。

それは褒め言葉ですよね?

ドラゴンさんに言われると、何となく嬉しい。

出会って話をしたあの時みたいに、楽しい気持ちになってきた。



「それで、ドラゴンさんと私の闇魔法がどう関係するんですか?」



ドラゴンさんは一瞬の間を空けてから話始めた。



「太古の昔、世界を支配していたのは竜族だった。だが彼らの世も永くは続かず、子孫の数が減っていった。そこへ新たに台頭してきたのが人族だ。繁殖力が強く、適応力の高い種族。世界の支配者は人族にとって変わられた。種の存続のために、竜族は人族の血脈を取り入れたのだ。それが終わらぬ負の連鎖の始まりだった」



ドラゴンさんの金眼が少し悲しそうに伏せられる。



「竜族と人族は血の盟約を交わし、竜族は繁殖力を、人族は魔力を手に入れた。だが、互いにそれで事は終わらなかった。竜族は繁殖力を得たのと引き換えに再生治癒力を失い、人族は魔力を手に入れたが狂人化するという宿命を受け継いでいく事になったのだ」



伏せた目を再び私に向け、ドラゴンさんは自虐的に言った。



「その両方の謂わば『呪い』を受け継いだのがこの俺だ」



何ですと?!

ふたつの呪いとな?

治りにくいのと、狂っちゃうのと?

何だかめっちゃ重いんですけど・・・。

ここ本当に乙女ゲーか?



「だが、ひとつはお前の力で呪いが解けた」



え?

そうなの?

そりゃ良かった。

それってどっちの?



「あの時、お前の闇魔法で、竜族として封じられた治癒力は復活し翼が再生した」



おう、竜族の受けた再生治癒力の欠落って呪いですね。

いやー、ドラゴンさんのお役に立ててドラゴンさんファン冥利に尽きるってもんです。

で、もう一つの呪いはどうなの?



「狂人化の呪いについても、光魔法で緩和させる事はできる。だが、単なる先延ばしに過ぎん。解呪の方法については未だに分かっていない。だから光魔法で日々狂人化の呪いを封じ込めているのだ。『封印』と言ったのは、狂人化を封印するという意味だ」



どうやら私が解くと意気込んでいたのは、せっかく封じていた狂人化を解いちゃえーっという意味だったのかー。

ははは、大勘違い。

真逆じゃんー、汗。

聖剣引っこ抜かなくて良かったー。



要は、ドランゴンさんにもなれるジークさんは、ドラゴンさんの時は再生治癒力の欠落する呪いを受けて、人であるジークさんの時は狂人化の呪いを受けてしまうということですね。

封印と言ったのは、狂人化を封じるってことだったわけで、じゃあ例の聖剣とやらは今もジークさんの狂人化を抑えるために役に立っているのかな?

抑えるだけで、根本的な解呪には役に立たないような事言っているけれど。

そんでもって、再生治癒力欠如の呪いは私が解いてあげたと。

うーん、複雑すぎる・・・。

脳みそのシワが少ない私には理解が難しい。

しかし、脳みそツルツルの私でもわかった事がある。



「なるほど。で、闇魔法により再生治癒力が戻ったのなら、もう私がここに居る必要はありませんよね?」



闇魔法が役立つ方の呪いはもう解けたんでしょう?

なーんだ、無事ミッション終了じゃん。

お役御免じゃん。

楽勝、楽勝。



「無事、もう一つの呪いが解呪されることをお祈りします。では、ご機嫌よう!」

「おい、話は終わっとらん。お前は本当に相変わらずだな」

「ドラゴンさんと闇魔法の関りは理解しましたよ。他に何かあるんですか?」

「ルナ、お前は竜眼持ち『ヴァルテン』だ」

「は?リュウガン?ばるてん?何ですかそれ?」



??

薬?食べ物?



「竜の眼をもつ者のことだ」

「竜の眼?」

「竜族の危機を察知する能力をもつ者のことだ。他種族の中で、特に竜族と魔力が近しい者が選ばれることが多い」



ドラゴンさんの危機に駆け付ける、ヒーローみたいな存在ってこと?

ドラゴンさんファンには、なかなか美味しいシチュエーションですね。



「それって、ドラゴンさんと私の波長が合うって意味ですか?」

「波長?」

「お互い初めて会って、こうビビビーっとキター!みたいな?」

「・・・時々、お前の話す言葉が理解できないのは、俺が馬鹿なのか?」

「そこは雰囲気で賢く理解してください」

「・・・」



ドラゴンさんは複雑そうな表情を見せた。

お?

ドラゴンさんの表情が分かる私って、やっぱりドラゴンさんとの波長が抜群なのでは?

ふふふ、見たかこのドラゴンさん愛!



竜眼持ちヴァルテンと呼ばれる存在は、太古の昔からも度々伝承に登場している。竜族以外の獣族であったり精霊であったり・・・。人族であったこともあるらしい。彼らは竜族の危機をその眼で見通すことが出来るのだという」



ほう、千里眼みたいなものか?

でも、そんなの経験ないぞ?



「人違いじゃないですか?そんなの見た事ないですよ?」

「お前を試すと言っただろう?あの神殿でお前は何を見た?」

「何って・・・」



なんだっけ?

強風に煽られて、ああ、デカい虹色の竜の顔を見た気がする。

何か言っていたような気が・・・。



「お前は始祖竜に選ばれた竜眼持ちヴァルテンだ。あの神殿で行った遡竜の儀で現れたのは始祖竜だ。彼はお前に何と言った?」

「・・・覚えていません」

「・・・」

「私のすぐ後ろにいたジークさんなら聞こえていましたよね?」

「彼はお前にしか話しかけていない」



え?

そうだったの?



「始祖竜はお前に竜眼を与えた、お前を選んだんだ」

「なぜ私なのですか?」



別に私でなくても良さそうなものを。

あ、でも私以上にドラゴンさん愛溢れる人がいなかったのなら仕方がない。



「伝承の竜眼持ちヴァルテンは、皆、闇属性の魔力を操ったとされている」



あ、違った。

まずいな、これ、フラグでしょ?



「・・・選ばれた私は何をすればいいんですか?」

「俺の側にいろ」

「危険を察知する能力ってやつがあるからですか?」

「そうだ。だが、それだけではない」

「他に何があるんです?」

「・・・闇魔法使いは世界から根絶された存在だ。帝国の虐殺によって」



!!

キターーーーーーっ!!

まさかの死亡フラグーーーー!!



「竜族と争っていた時代、竜族の再生治癒力が闇魔法で回復できると分かると、ルシュカン皇族は彼らを保護するという名目で囲い、人知れず闇に葬ってきた。そして竜族が絶えたとされる今、この俺の力を知った者達が俺を消そうと躍起になっている。そんな中、闇魔法使いは邪魔でしかない」

「つまり、私が今帝国内をフラフラすれば、捕まって殺されると?」



ドラゴンさんは私の眼を見据え、ゆっくり首肯した。

私の馬鹿!!

なんで帝国になんて来ちゃったのよ。

まだセルバンに残って、逆ハーにブリブリ怒っている方が楽だったじゃないか・・・泣。



「ドラゴンさんの危機は私が察知したとして、私の危機は誰が察知してくれるんですか?」

「日頃の行いが試されるな」



ドラゴンさんは、ジークさんを彷彿とさせるような悪い笑みを浮かべた。



「そこは、俺に任せておけって言う場面ですよ」



新たに頭に突き刺さった死亡フラグが痛い。

私は今、バッドエンドを爆進中なのか?

リセットボタンは何処だっ?!

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