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序章 始まりの町
第12話 忘れてませんか?
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俺が目を覚ますと、空はもうすでに赤く染まっており、気温もやや低くなっていた。俺が寝ていたベットの横では、マリアが姿勢正しく座っていた。
「おはようございます。」
「おはよう。もう夕方?」
「はい。まだ皆さんは戻られていませんけれど。」
マリアは少し顔をぷくっと膨らませながら言った。
「何か忘れていませんか?」
「んー?あぁ、契約するっていう話の途中だったね。聞きそびれてたけど、契約をすることでどんなことが起こるの?」
俺はいまいち知らないことばかりなので、素直に聞いてみることにした。
「そうですね。まずは、お互いの現在位置を把握することができます。あとは、強制的に私を呼び出すこともできます。」
「強制的にってことは、召喚魔法みたいな感じ?」
「まさにその通りです。そして、一番の恩恵は、主人になった人は、私の能力を得ることができます。」
マリアはしれっととんでもないことを言った。それはつまり、ヴァルハラの一族と契約してしまえば、誰もがヴァルハラの一族と同じ強さを手に入れることができると言うことだ。
そのことをマリアに聞いてみると、彼女は首を横に振った。
「たしかに能力は得られますが、そもそも私たちの能力を扱うためには、類稀なる魔力量と、竜族の血が体に流れている必要があります、普通の人たちは、魔力量は増やせても、竜族の血は後天的に足すことは出来ないので、能力を扱うことができません。しかし、アルト様は違います。」
彼女は顔をキラキラと輝かせながら語り続ける。
「アルト様の体の中には竜族の血が何故かはわかりませんが僅かに流れています。他にも精霊族、神族、魔族の血が流れています。」
「はえ?」
「この世界で特殊な個体として扱われる種族の血が混ざった、優秀な混血であるのがアルト様です。私私たち一族は、そう言った種族の融和をなすことができるお方に仕えることが一番の名誉と言われていました。是非、私と契約していただけませんか?」
「ちょっと待って、情報量がとんでもなく多すぎて整理が追いついてない。」
つまり、俺は人間でありながら、竜族、精霊族、神族、魔族の血が少しずつ流れていると言うことになる。しかし、両親からはそう言ったことは一切聞かされていない。
もし知っていたらこんなに大事なことを黙っているだろうか?両親はロゼンタール家はもともと貴族で、失脚してしまったせいでどんどん身分を落とされて今の身分になってしまったと言っていた。
もしかしたらその失脚した原因とこの血統は何か関係があるのではないかと思った。
「まだまだわからないことばかりだな…」
「アルト様?」
「あ、あとそのアルト様は禁止ね。堅苦しくてこっちも居心地が悪くなっちゃうから。普通に友達みたいに接してくれると嬉しい。」
「分かりました。善処します。」
「じゃあ、早速で申し訳ないんだけど、契約をしようか。」
「分かりました!」
マリアはそう言って右手の甲に刻まれた家紋を差し出した。俺はナイフで自分の手を切り、その血を家紋に落とした。
血の雫が家紋に触れた途端、二人の間に魔法陣が出現し、俺とマリアの間に魂の繋がりが構築される。
「なんか変な気分だな…」
「そうですね、なんだか体の奥から今まで以上の力が湧き出してくるような…」
俺とマリアは変化した自分の体の感覚を確かめながら能力の把握を行うのだった。
------
一方その頃、ライムたちはアルトがいた町、メナードの町へとやってきていた。彼らが受けた依頼は、王立騎士団からの「違法な営業を行なっている奴隷商の取締」と言うものだった。本来このような依頼は冒険者にはされないのだが、ドラゴンナイツというパーティーは他の冒険者パーティーとは少し事情があった。
裏路地の奥へと進んでいくと、一見するとただのボロ屋敷のような建物が建っていた。ライムたちはその中に躊躇なく入っていく。
メリッカだけは少し離れたところに建つ、その建物がよく見える高台で身を隠しながらランページを構えていた。
3人が取り押さえ損なった残党を撃ち殺すためだ。今回はもうすでに王立騎士団が証拠を全ておさえているため、問答無用で殺しても構わない。むしろ逃してはならないと言われている。
ライムたちとしても、あまり殺したくは無いため全力で捕獲するつもりである。
ライムが強引にボロ家のドアを蹴破り、中へと入る。中も外の見た目と変わらずボロボロで、一見すると誰も住んでいないように見えた。だが、ライムたちはあらかじめ地下室で奴隷を売り捌いていると言う情報を聞いていたので、迷わず奥まで進む。
応接間らしき部屋まで来ると、ライムは床に敷かれたカーペットを無造作に取り払う。その下にあったのは鉄でできた頑丈なハッチだった。
ギッツとアイラはその間周囲を警戒していたが、ライムが地下室へと入っていくまでの間、なにものの襲撃も無かった。
地下室へと入っていくと、長い通路が続いており、蝋燭の火が唯一の光源となっていた。
その僅かな明かりを頼りに3人は地下室の奥へと進んでいった。ある程度進んでいくと、少し大きめの空間が広がっており、その空間を囲うように奴隷たちの檻が雑に並べられていた。
「シンニュウシャ・カクニン ハイジョスル」
突然3人の頭上から蜘蛛の形をした契約獣が襲いかかってきた。3人は素早く散開し、蜘蛛の攻撃を躱す。ギッツは背中に背負っている大盾で蜘蛛の脚の攻撃を捌き続ける。
その間、アイラは少しずつ傷ついてくるギッツの体を回復していき、ライムは魔力を練っていた。
「おい!ライム、あとどのくらいだ!?」
「あと15秒だ!」
ライムの体に雷の魔力がまとわりついていき、地下室中に稲妻が走り出す。
「よし!下がってくれ!」
「おう!」
ライムの掛け声と同時にギッツが下がり、ライムが前進する。
「雷魔法 ハイ・パラライズ!」
ライムが魔法を唱えると、小さな雷が蜘蛛に纏わりつき蜘蛛の動きを完全に停止させた。動けない状態のまま雷を流され続けた蜘蛛はどんどん内部から焼かれていき、魔力の霧となって消えた。
「おはようございます。」
「おはよう。もう夕方?」
「はい。まだ皆さんは戻られていませんけれど。」
マリアは少し顔をぷくっと膨らませながら言った。
「何か忘れていませんか?」
「んー?あぁ、契約するっていう話の途中だったね。聞きそびれてたけど、契約をすることでどんなことが起こるの?」
俺はいまいち知らないことばかりなので、素直に聞いてみることにした。
「そうですね。まずは、お互いの現在位置を把握することができます。あとは、強制的に私を呼び出すこともできます。」
「強制的にってことは、召喚魔法みたいな感じ?」
「まさにその通りです。そして、一番の恩恵は、主人になった人は、私の能力を得ることができます。」
マリアはしれっととんでもないことを言った。それはつまり、ヴァルハラの一族と契約してしまえば、誰もがヴァルハラの一族と同じ強さを手に入れることができると言うことだ。
そのことをマリアに聞いてみると、彼女は首を横に振った。
「たしかに能力は得られますが、そもそも私たちの能力を扱うためには、類稀なる魔力量と、竜族の血が体に流れている必要があります、普通の人たちは、魔力量は増やせても、竜族の血は後天的に足すことは出来ないので、能力を扱うことができません。しかし、アルト様は違います。」
彼女は顔をキラキラと輝かせながら語り続ける。
「アルト様の体の中には竜族の血が何故かはわかりませんが僅かに流れています。他にも精霊族、神族、魔族の血が流れています。」
「はえ?」
「この世界で特殊な個体として扱われる種族の血が混ざった、優秀な混血であるのがアルト様です。私私たち一族は、そう言った種族の融和をなすことができるお方に仕えることが一番の名誉と言われていました。是非、私と契約していただけませんか?」
「ちょっと待って、情報量がとんでもなく多すぎて整理が追いついてない。」
つまり、俺は人間でありながら、竜族、精霊族、神族、魔族の血が少しずつ流れていると言うことになる。しかし、両親からはそう言ったことは一切聞かされていない。
もし知っていたらこんなに大事なことを黙っているだろうか?両親はロゼンタール家はもともと貴族で、失脚してしまったせいでどんどん身分を落とされて今の身分になってしまったと言っていた。
もしかしたらその失脚した原因とこの血統は何か関係があるのではないかと思った。
「まだまだわからないことばかりだな…」
「アルト様?」
「あ、あとそのアルト様は禁止ね。堅苦しくてこっちも居心地が悪くなっちゃうから。普通に友達みたいに接してくれると嬉しい。」
「分かりました。善処します。」
「じゃあ、早速で申し訳ないんだけど、契約をしようか。」
「分かりました!」
マリアはそう言って右手の甲に刻まれた家紋を差し出した。俺はナイフで自分の手を切り、その血を家紋に落とした。
血の雫が家紋に触れた途端、二人の間に魔法陣が出現し、俺とマリアの間に魂の繋がりが構築される。
「なんか変な気分だな…」
「そうですね、なんだか体の奥から今まで以上の力が湧き出してくるような…」
俺とマリアは変化した自分の体の感覚を確かめながら能力の把握を行うのだった。
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一方その頃、ライムたちはアルトがいた町、メナードの町へとやってきていた。彼らが受けた依頼は、王立騎士団からの「違法な営業を行なっている奴隷商の取締」と言うものだった。本来このような依頼は冒険者にはされないのだが、ドラゴンナイツというパーティーは他の冒険者パーティーとは少し事情があった。
裏路地の奥へと進んでいくと、一見するとただのボロ屋敷のような建物が建っていた。ライムたちはその中に躊躇なく入っていく。
メリッカだけは少し離れたところに建つ、その建物がよく見える高台で身を隠しながらランページを構えていた。
3人が取り押さえ損なった残党を撃ち殺すためだ。今回はもうすでに王立騎士団が証拠を全ておさえているため、問答無用で殺しても構わない。むしろ逃してはならないと言われている。
ライムたちとしても、あまり殺したくは無いため全力で捕獲するつもりである。
ライムが強引にボロ家のドアを蹴破り、中へと入る。中も外の見た目と変わらずボロボロで、一見すると誰も住んでいないように見えた。だが、ライムたちはあらかじめ地下室で奴隷を売り捌いていると言う情報を聞いていたので、迷わず奥まで進む。
応接間らしき部屋まで来ると、ライムは床に敷かれたカーペットを無造作に取り払う。その下にあったのは鉄でできた頑丈なハッチだった。
ギッツとアイラはその間周囲を警戒していたが、ライムが地下室へと入っていくまでの間、なにものの襲撃も無かった。
地下室へと入っていくと、長い通路が続いており、蝋燭の火が唯一の光源となっていた。
その僅かな明かりを頼りに3人は地下室の奥へと進んでいった。ある程度進んでいくと、少し大きめの空間が広がっており、その空間を囲うように奴隷たちの檻が雑に並べられていた。
「シンニュウシャ・カクニン ハイジョスル」
突然3人の頭上から蜘蛛の形をした契約獣が襲いかかってきた。3人は素早く散開し、蜘蛛の攻撃を躱す。ギッツは背中に背負っている大盾で蜘蛛の脚の攻撃を捌き続ける。
その間、アイラは少しずつ傷ついてくるギッツの体を回復していき、ライムは魔力を練っていた。
「おい!ライム、あとどのくらいだ!?」
「あと15秒だ!」
ライムの体に雷の魔力がまとわりついていき、地下室中に稲妻が走り出す。
「よし!下がってくれ!」
「おう!」
ライムの掛け声と同時にギッツが下がり、ライムが前進する。
「雷魔法 ハイ・パラライズ!」
ライムが魔法を唱えると、小さな雷が蜘蛛に纏わりつき蜘蛛の動きを完全に停止させた。動けない状態のまま雷を流され続けた蜘蛛はどんどん内部から焼かれていき、魔力の霧となって消えた。
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