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第三章 目覚め
第53話 羅針
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俺のこれからの行動は決まった。父が率いる部隊が魔物と戦っている場所はここからスイレンへ向かう道の途中だったはず。
父の部隊の手助けをし、その後スイレンへと向かうのだ。そのためにもまずは母にスイレンへ向かう許可をもらい、メイとヴェルにしばしの別れを告げなくては。
まず母の説得だが、少しでも俺の状態がわかった方が安心できるだろう。ということで、昔アメリアに渡した魔道具と同じものを作ることにした。
この魔道具は、ペンダントヘッドと指輪で1セットになっており、ペンダントをつけている人の健康状態を指輪の魔石の光で確認できる。
なんの異常もなければ緑、魔力量が著しく減少したときには青、重傷を負った時は黄色、瀕死の状態になった時は赤に光る。
そして、ペンダントヘッドの方向に光の筋が伸びるので、指輪を装着している人はペンダントをつけている人を追跡することができる。
これを渡せば、母が知らない間に俺が死んでしまうということも無くなるだろう。
ペンダントヘッドは一つ作り、指輪の方は三つ作った。メイとヴェルにも渡すためだ。2人とも俺が恥ずかしくなるほどお兄ちゃんっ子だから、母にだけ渡したらなんとなくぶーたれそうな気がしたからだ。
母を説得するためのソースは作った。あとは、どんな言葉を使えば説得できるだろうか…
〝素直に自分がやりたいことを言ってみるのはどうでしょう?〟
そんなんで大丈夫なんだろうか?
〝母親の感情は予測できません。しかし、正直に伝えるべきことを正直に伝えれば、殆どの人間は相手の誠実さを感じ、信頼に値すると考えます〟
そうか、《星賢者》がそういうのであればそうなんだろう。母には正直に伝えることにしようと思う。
あとは、《リーパー:γ》を完成させて、父と父の部隊を助けられるように準備するだけだ。
幸い、素材は今まで迷宮に潜った時に手に入れた魔石の類や鉄鉱石、少しの真銀がある。お金もそこそこあるので足りないものがあれば商店街に買いに走ればいい。
ということで、俺はいつも通り自分の部屋にこもって魔道具制作に勤しんだ。途中途中誰かが部屋を覗いているようだったが、そんなことには一切気を向けず集中して《リーパー:γ》の設計図通りに作り上げていくのだった。
~~~~~
私はすごく驚いていた。リハビリがてら屋敷の中をメイドさんに付き添ってもらいながら歩いていたのだが、突然廊下の奥から金槌の音が聞こえてきた。
その方向へとゆっくりと向かうと、開きかけたドアの中から火花が散っているような光が見えた。
こっそりとメイドさんと一緒に部屋の中を覗いてみると、昨日私のパートナーになってくれた青年が鉄の筒型の何かを作っていたのだ。
気になってマジマジと見ていると、青年が筒に魔法で何かを描いていくのが見えた。まさかと思ってそのまま見続けていると、御伽噺でも出てきた七星の一人、《天災》が使っていたとされている死神の名を冠する魔道具にそっくりなものを作っているように見えた。
浅学だからどれくらいなのかは分からないが、この国ではそもそも魔道具を作ることができる職人は一人もいなかったはずだ。
外国には《賢人》の弟子たちがさらに弟子を取り、魔道具を作る技術を継承しているそうだが、メイドさんから聞いた話だと彼は国どころかこの街からも迷宮に行く以外にはほとんど出かけたことがないらしい。なのでそう言った人物から魔道具の技術を教わったというのも考えにくい。
ということは、彼が自力で魔道具の知識を身につけたと考えるのが自然なのだが、とてもじゃ無いが信じられない。
隣で同じように彼を見ていたメイドさんも非常に驚いていたので、彼が魔道具を作れることを知っている人はほとんどいないのだろう。
それが、彼が意図的に隠した結果なのか、たまたま今まで見られなかったからなのかは分からないが、それでも彼がとてもすごい人間だということは分かった。
左腕がないのにもかかわらずスムーズに作業を進めていく彼の姿を、ミヤというメイドさんが呼びに来るまでずっと見続けていたのだった。
~~~~~
私が皆さんを夕食にお呼びした時、信じられない光景を目の当たりにしました。
なんとフェルディナント様が右腕だけでスムーズに魔道具をお作りになっていたのです。これまでフェルディナント様が部屋に誰も入らないようにしてくれと頼まれた時は、不敬ながら年頃の男の子がやるようなことをされているのだと思っていました。
しかし、今フェルディナント様が器用に魔道具を作っているところを見て、今までずっと魔道具を作る技術を高められていたことを理解しました。
今まで子供らしい行動をされたことがなく、常に大人である私たちよりも立派にいつも何かを考えられていると思っておりましたが、それは決して買い被りではなかったのだと思います。
なぜなら、先日フェルディナント様は街を襲った魔物の大群を掃討する戦いで大いにご活躍されました。自身の命を顧みずに大規模な結界魔法を発動させ、街を覆うほどの魔法陣を作り上げ、街を救いました。
まるで大人でも読んでいる『薔薇の道』の主人公のようでした。
あまりに集中されていて、声をお掛けすることはできませんでしたが、もし声をお掛けしたとしても今のフェルディナント様には届かないでしょう。
いったいフェルディナント様はこれからどのようなことをなされるのでしょうか?
父の部隊の手助けをし、その後スイレンへと向かうのだ。そのためにもまずは母にスイレンへ向かう許可をもらい、メイとヴェルにしばしの別れを告げなくては。
まず母の説得だが、少しでも俺の状態がわかった方が安心できるだろう。ということで、昔アメリアに渡した魔道具と同じものを作ることにした。
この魔道具は、ペンダントヘッドと指輪で1セットになっており、ペンダントをつけている人の健康状態を指輪の魔石の光で確認できる。
なんの異常もなければ緑、魔力量が著しく減少したときには青、重傷を負った時は黄色、瀕死の状態になった時は赤に光る。
そして、ペンダントヘッドの方向に光の筋が伸びるので、指輪を装着している人はペンダントをつけている人を追跡することができる。
これを渡せば、母が知らない間に俺が死んでしまうということも無くなるだろう。
ペンダントヘッドは一つ作り、指輪の方は三つ作った。メイとヴェルにも渡すためだ。2人とも俺が恥ずかしくなるほどお兄ちゃんっ子だから、母にだけ渡したらなんとなくぶーたれそうな気がしたからだ。
母を説得するためのソースは作った。あとは、どんな言葉を使えば説得できるだろうか…
〝素直に自分がやりたいことを言ってみるのはどうでしょう?〟
そんなんで大丈夫なんだろうか?
〝母親の感情は予測できません。しかし、正直に伝えるべきことを正直に伝えれば、殆どの人間は相手の誠実さを感じ、信頼に値すると考えます〟
そうか、《星賢者》がそういうのであればそうなんだろう。母には正直に伝えることにしようと思う。
あとは、《リーパー:γ》を完成させて、父と父の部隊を助けられるように準備するだけだ。
幸い、素材は今まで迷宮に潜った時に手に入れた魔石の類や鉄鉱石、少しの真銀がある。お金もそこそこあるので足りないものがあれば商店街に買いに走ればいい。
ということで、俺はいつも通り自分の部屋にこもって魔道具制作に勤しんだ。途中途中誰かが部屋を覗いているようだったが、そんなことには一切気を向けず集中して《リーパー:γ》の設計図通りに作り上げていくのだった。
~~~~~
私はすごく驚いていた。リハビリがてら屋敷の中をメイドさんに付き添ってもらいながら歩いていたのだが、突然廊下の奥から金槌の音が聞こえてきた。
その方向へとゆっくりと向かうと、開きかけたドアの中から火花が散っているような光が見えた。
こっそりとメイドさんと一緒に部屋の中を覗いてみると、昨日私のパートナーになってくれた青年が鉄の筒型の何かを作っていたのだ。
気になってマジマジと見ていると、青年が筒に魔法で何かを描いていくのが見えた。まさかと思ってそのまま見続けていると、御伽噺でも出てきた七星の一人、《天災》が使っていたとされている死神の名を冠する魔道具にそっくりなものを作っているように見えた。
浅学だからどれくらいなのかは分からないが、この国ではそもそも魔道具を作ることができる職人は一人もいなかったはずだ。
外国には《賢人》の弟子たちがさらに弟子を取り、魔道具を作る技術を継承しているそうだが、メイドさんから聞いた話だと彼は国どころかこの街からも迷宮に行く以外にはほとんど出かけたことがないらしい。なのでそう言った人物から魔道具の技術を教わったというのも考えにくい。
ということは、彼が自力で魔道具の知識を身につけたと考えるのが自然なのだが、とてもじゃ無いが信じられない。
隣で同じように彼を見ていたメイドさんも非常に驚いていたので、彼が魔道具を作れることを知っている人はほとんどいないのだろう。
それが、彼が意図的に隠した結果なのか、たまたま今まで見られなかったからなのかは分からないが、それでも彼がとてもすごい人間だということは分かった。
左腕がないのにもかかわらずスムーズに作業を進めていく彼の姿を、ミヤというメイドさんが呼びに来るまでずっと見続けていたのだった。
~~~~~
私が皆さんを夕食にお呼びした時、信じられない光景を目の当たりにしました。
なんとフェルディナント様が右腕だけでスムーズに魔道具をお作りになっていたのです。これまでフェルディナント様が部屋に誰も入らないようにしてくれと頼まれた時は、不敬ながら年頃の男の子がやるようなことをされているのだと思っていました。
しかし、今フェルディナント様が器用に魔道具を作っているところを見て、今までずっと魔道具を作る技術を高められていたことを理解しました。
今まで子供らしい行動をされたことがなく、常に大人である私たちよりも立派にいつも何かを考えられていると思っておりましたが、それは決して買い被りではなかったのだと思います。
なぜなら、先日フェルディナント様は街を襲った魔物の大群を掃討する戦いで大いにご活躍されました。自身の命を顧みずに大規模な結界魔法を発動させ、街を覆うほどの魔法陣を作り上げ、街を救いました。
まるで大人でも読んでいる『薔薇の道』の主人公のようでした。
あまりに集中されていて、声をお掛けすることはできませんでしたが、もし声をお掛けしたとしても今のフェルディナント様には届かないでしょう。
いったいフェルディナント様はこれからどのようなことをなされるのでしょうか?
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