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Ⅳ.追う者、追われる者
形勢の行方
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「何…?」
そんなヴァルスの言い回しに、ケイオスが疑を覚えながらも、地に足を付けたと同時…
その足元から突然、まるで水道管でも破裂したかのような物凄い勢いで、大量の水が吹き上がった。
「な…んだと!?」
まるで始めから自分の動きを読んでいたかのような、この一連の事象に、さすがにケイオスは驚きを隠せずに声をあげる。
間一髪で、稀なる間欠泉のような威力を持つそれを辛うじて避けたものの、よくよく頭を冷やして判断すれば、その原因は間違いなく、“水の魔術にある”──
そう悟るや否や、ケイオスは、その当の水を司る、相方のゼオンに向かって、頭ごなしに食ってかかった。
「ゼオン! お前一体…、俺を殺す気なのか!?」
「!何を馬鹿なことを…それはお前の勘違いだ、ケイオス!」
ゼオンは苛立ち混じりに叫びながらも、反してその顔色は、酷く青ざめている。
そんなゼオンをケイオスが訝しげに見るより早く、ゼオンが再び口を開こうとした…と同時、ヴァルスが意味ありげにほくそ笑んだ。
「お前ら、視野が狭すぎなんだよ。
…水の魔術を扱える奴が、この場にゼオンだけだと思ってるのか?」
「!っ、まさか… ユイか!?」
「そうだ。狂犬はどうやら、ろくに鼻も利かないらしいな──
…穿て、凍の裂水」
ユイが低くそう呟くと同時、そのユイの手から、氷さながらの硬さを持った、氷柱状に変化した、複数の水が出現する。
それは間髪入れずに、鋭い唸りをあげ、ケイオスとゼオンの二人を襲った。
「!ぐ… っ!」
「…な…、何だと…!?」
一瞬のうちに、二人はそれに服の各所を貫通される形で、まさしく身動きも出来ぬ程に、きつく壁に縫い止められる。
「!っ、くそっ…!」
身を動かし、それから逃れようとして、無駄だと悟ったケイオスが毒づいた。
一方のゼオンも、よもやユイが水の魔術を使えるとは思わなかった油断から、現在は術もなくやられた形で、じっとユイとヴァルスの、二人の出方を窺っている。
「…いいザマだな、狂犬コンビ」
ヴァルスがその手に、雷の魔術を持て余しながら物を言う。
だがそれに黙っているはずのないケイオスは、その顔を怒りに歪ませると、そのまま呪いの言葉を吐き捨てようとした。
…だが、その時。
怒りに燃えたケイオスの瞳の先に、何故か不意に、セレンの姿が映った。
状況から判断するにそれは、やはりユイのことを気遣って、急ぎ店から飛び出して来たのだろうが、ケイオスの性格からして、この戦況を一瞬にしてひっくり返すであろうこの好機を、逃すはずもない。
そしてセレンの現在の存在位置は、ヴァルスとユイからは背後、いわゆる死角に当たるため、攻め側に立つその二人が二人とも、セレンがよもや後ろに来ているなどとは塵ほども思わなかったのが、この場この時においての、二人の最大の油断だった。
「ははっ…ユイよ! この戦いのツキは、まだまだこっちにあるようだな!」
今や、セレンの姿をはっきりと認識したケイオスは、一転、勝ち誇ったかのように高らかに笑うと、それに警戒を固めたヴァルスとユイのその一瞬の隙を縫うようにして、セレンに向かって、強力な風の魔術を放った。
「切り裂け、影の烈風!」
ケイオスの声と共に、即発動した魔術は、その名にある風というよりは、複数の黒い、威力のある衝撃波のようなものに近かった。
その、見た目からして重い攻撃力を窺わせるそれが、尋常ならざる速さで、ヴァルスとユイの顔近くを掠める形で通り過ぎてゆく。
そんなヴァルスの言い回しに、ケイオスが疑を覚えながらも、地に足を付けたと同時…
その足元から突然、まるで水道管でも破裂したかのような物凄い勢いで、大量の水が吹き上がった。
「な…んだと!?」
まるで始めから自分の動きを読んでいたかのような、この一連の事象に、さすがにケイオスは驚きを隠せずに声をあげる。
間一髪で、稀なる間欠泉のような威力を持つそれを辛うじて避けたものの、よくよく頭を冷やして判断すれば、その原因は間違いなく、“水の魔術にある”──
そう悟るや否や、ケイオスは、その当の水を司る、相方のゼオンに向かって、頭ごなしに食ってかかった。
「ゼオン! お前一体…、俺を殺す気なのか!?」
「!何を馬鹿なことを…それはお前の勘違いだ、ケイオス!」
ゼオンは苛立ち混じりに叫びながらも、反してその顔色は、酷く青ざめている。
そんなゼオンをケイオスが訝しげに見るより早く、ゼオンが再び口を開こうとした…と同時、ヴァルスが意味ありげにほくそ笑んだ。
「お前ら、視野が狭すぎなんだよ。
…水の魔術を扱える奴が、この場にゼオンだけだと思ってるのか?」
「!っ、まさか… ユイか!?」
「そうだ。狂犬はどうやら、ろくに鼻も利かないらしいな──
…穿て、凍の裂水」
ユイが低くそう呟くと同時、そのユイの手から、氷さながらの硬さを持った、氷柱状に変化した、複数の水が出現する。
それは間髪入れずに、鋭い唸りをあげ、ケイオスとゼオンの二人を襲った。
「!ぐ… っ!」
「…な…、何だと…!?」
一瞬のうちに、二人はそれに服の各所を貫通される形で、まさしく身動きも出来ぬ程に、きつく壁に縫い止められる。
「!っ、くそっ…!」
身を動かし、それから逃れようとして、無駄だと悟ったケイオスが毒づいた。
一方のゼオンも、よもやユイが水の魔術を使えるとは思わなかった油断から、現在は術もなくやられた形で、じっとユイとヴァルスの、二人の出方を窺っている。
「…いいザマだな、狂犬コンビ」
ヴァルスがその手に、雷の魔術を持て余しながら物を言う。
だがそれに黙っているはずのないケイオスは、その顔を怒りに歪ませると、そのまま呪いの言葉を吐き捨てようとした。
…だが、その時。
怒りに燃えたケイオスの瞳の先に、何故か不意に、セレンの姿が映った。
状況から判断するにそれは、やはりユイのことを気遣って、急ぎ店から飛び出して来たのだろうが、ケイオスの性格からして、この戦況を一瞬にしてひっくり返すであろうこの好機を、逃すはずもない。
そしてセレンの現在の存在位置は、ヴァルスとユイからは背後、いわゆる死角に当たるため、攻め側に立つその二人が二人とも、セレンがよもや後ろに来ているなどとは塵ほども思わなかったのが、この場この時においての、二人の最大の油断だった。
「ははっ…ユイよ! この戦いのツキは、まだまだこっちにあるようだな!」
今や、セレンの姿をはっきりと認識したケイオスは、一転、勝ち誇ったかのように高らかに笑うと、それに警戒を固めたヴァルスとユイのその一瞬の隙を縫うようにして、セレンに向かって、強力な風の魔術を放った。
「切り裂け、影の烈風!」
ケイオスの声と共に、即発動した魔術は、その名にある風というよりは、複数の黒い、威力のある衝撃波のようなものに近かった。
その、見た目からして重い攻撃力を窺わせるそれが、尋常ならざる速さで、ヴァルスとユイの顔近くを掠める形で通り過ぎてゆく。
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