62 / 63
†聖夜の煌めき†
6
しおりを挟む
★☆★☆★
「…さっきの独白の続き…
まだあるんだろう? サリア」
「!え…」
カイネルの窺うような問いに、サリアの頬は紅潮を通り越して沸騰する。
これはまさか…言うまでもなく仕切り直しをしろということなのだろうか?
「それを聞いとかなきゃ、俺も延々と消化不良のままだからな。
良かったら続きを聞かせてくれ。
その時には、俺もきっちり話をするから」
「!つ、続きって言ったって…!」
瞬間、サリアは万人の目にも簡単に分かる程に挙動不審になり、テンパった。
…先程までのことからも、唯香たちが自分たちに対して、色々と考慮してくれたのは分かる。
その気持ちは充分に良く分かる…のだが…
今やこうして、二度めでまたも、はっきりと事を伝えなければならないのだろうか?
しかしそれもそれで、下手をすれば一度めよりも状況は厳しく、まさしく針の筵(ムシロ)だ。
それでも今度という今度は…、仕切り直しは…と、さすがにサリアが悶々としていると、そんな様子を見かねたらしいカイネルが、軽く肩を竦めた。
「…言いたいことが纏まらねぇか?」
「!」
サリアの体がぎくりと硬直する。
それにカイネルは、柔らかい息をついた。
「…俺は別に、難しいことは求めちゃいねぇよ。
さっきお前があれだけ、俺の名を連発したのは何でだ?
お前は俺に、何か言いたいことがあるんだろう?」
「!…」
瞬間、サリアが完全に絶句する。
それをカイネルは、自らの頬を軽く掻くことで緩和した。
「…、分かったよ、じゃあ俺から白状するさ」
カイネルは一転、開き直ったような口調で告げる。
だが、しかし。サリアもそこは六魔将。
サリアはカイネルの言葉に含まれた、『告白』ならぬ『白状』の言い回しの違和感に、すぐさま気付いた。
「……“白状”?」
訝しげなサリアの眉根が、いよいよ寄る。
それにカイネルは、うんうんと頷きながらも、恐らくは他の六魔将全てが見当を付けていたであろう、ある事実を思い切り暴露するに至った。
「ああ。実はな…
俺…さ、今まで、自分じゃ難しいと思う任務を、こっそりお前に横流ししてたんだ」
「…な」
サリアが先程とは別の意味で絶句する。
「まあ…その辺り、完全に俺に非があるのは分かるけどよ。
色恋沙汰に関する任務だとか、変に頭脳戦的な駆け引きは苦手でな──
って、どうした? サリア」
カイネルが、きょとんとサリアに問う。
その当のサリアは、震えるこめかみと自らの感情に忠実に、すっ、と腕を引いた。
その刹那、光速にも似た早さで、カイネルの鳩尾に、見事なまでに的確に、サリアの肘が直撃する。
「!ぐへっ」
瞬間、カイネルは奇声を上げ、その体を『く』の字に曲げた。
それっきり痛みに悶絶するカイネルを、これ以上ない怒りを見せて上から見下ろしたサリアは、その肘はおろか、体までもをわなわなと震わせた。
「…あたしが何を言いたいのか…
命知らずにも、そんなに今、聞きたいのかしら? カイネル…」
そんなサリアの、低く、凄みのある声に、本能である種の恐怖を感じ取ったカイネルの体が、まるでぜんまいの切れた玩具のように、金属的に固まった。
「!う゛」
カイネルが術もなく怯んだのを見て、サリアが胸中で、全く馬鹿…、と唸る。
──毎度のことだが、予想が見事に外れただけではない。
それよりもあり得ない、微妙な意味で思っても見なかった、泥沼白状劇のおまけ付きだ。
…仕事や任務が云々よりも、やはりカミュの予想通りになったことなど、全く知るよしもないサリアが、再び行きどころのない苛立ちに肘を引くのには、そう時間を必要としなかった。
「…さっきの独白の続き…
まだあるんだろう? サリア」
「!え…」
カイネルの窺うような問いに、サリアの頬は紅潮を通り越して沸騰する。
これはまさか…言うまでもなく仕切り直しをしろということなのだろうか?
「それを聞いとかなきゃ、俺も延々と消化不良のままだからな。
良かったら続きを聞かせてくれ。
その時には、俺もきっちり話をするから」
「!つ、続きって言ったって…!」
瞬間、サリアは万人の目にも簡単に分かる程に挙動不審になり、テンパった。
…先程までのことからも、唯香たちが自分たちに対して、色々と考慮してくれたのは分かる。
その気持ちは充分に良く分かる…のだが…
今やこうして、二度めでまたも、はっきりと事を伝えなければならないのだろうか?
しかしそれもそれで、下手をすれば一度めよりも状況は厳しく、まさしく針の筵(ムシロ)だ。
それでも今度という今度は…、仕切り直しは…と、さすがにサリアが悶々としていると、そんな様子を見かねたらしいカイネルが、軽く肩を竦めた。
「…言いたいことが纏まらねぇか?」
「!」
サリアの体がぎくりと硬直する。
それにカイネルは、柔らかい息をついた。
「…俺は別に、難しいことは求めちゃいねぇよ。
さっきお前があれだけ、俺の名を連発したのは何でだ?
お前は俺に、何か言いたいことがあるんだろう?」
「!…」
瞬間、サリアが完全に絶句する。
それをカイネルは、自らの頬を軽く掻くことで緩和した。
「…、分かったよ、じゃあ俺から白状するさ」
カイネルは一転、開き直ったような口調で告げる。
だが、しかし。サリアもそこは六魔将。
サリアはカイネルの言葉に含まれた、『告白』ならぬ『白状』の言い回しの違和感に、すぐさま気付いた。
「……“白状”?」
訝しげなサリアの眉根が、いよいよ寄る。
それにカイネルは、うんうんと頷きながらも、恐らくは他の六魔将全てが見当を付けていたであろう、ある事実を思い切り暴露するに至った。
「ああ。実はな…
俺…さ、今まで、自分じゃ難しいと思う任務を、こっそりお前に横流ししてたんだ」
「…な」
サリアが先程とは別の意味で絶句する。
「まあ…その辺り、完全に俺に非があるのは分かるけどよ。
色恋沙汰に関する任務だとか、変に頭脳戦的な駆け引きは苦手でな──
って、どうした? サリア」
カイネルが、きょとんとサリアに問う。
その当のサリアは、震えるこめかみと自らの感情に忠実に、すっ、と腕を引いた。
その刹那、光速にも似た早さで、カイネルの鳩尾に、見事なまでに的確に、サリアの肘が直撃する。
「!ぐへっ」
瞬間、カイネルは奇声を上げ、その体を『く』の字に曲げた。
それっきり痛みに悶絶するカイネルを、これ以上ない怒りを見せて上から見下ろしたサリアは、その肘はおろか、体までもをわなわなと震わせた。
「…あたしが何を言いたいのか…
命知らずにも、そんなに今、聞きたいのかしら? カイネル…」
そんなサリアの、低く、凄みのある声に、本能である種の恐怖を感じ取ったカイネルの体が、まるでぜんまいの切れた玩具のように、金属的に固まった。
「!う゛」
カイネルが術もなく怯んだのを見て、サリアが胸中で、全く馬鹿…、と唸る。
──毎度のことだが、予想が見事に外れただけではない。
それよりもあり得ない、微妙な意味で思っても見なかった、泥沼白状劇のおまけ付きだ。
…仕事や任務が云々よりも、やはりカミュの予想通りになったことなど、全く知るよしもないサリアが、再び行きどころのない苛立ちに肘を引くのには、そう時間を必要としなかった。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる