†血族たちの秘密†

如月統哉

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†聖夜の煌めき†

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★☆★☆★

「…さっきの独白の続き…
まだあるんだろう? サリア」

「!え…」

カイネルの窺うような問いに、サリアの頬は紅潮を通り越して沸騰する。
これはまさか…言うまでもなく仕切り直しをしろということなのだろうか?

「それを聞いとかなきゃ、俺も延々と消化不良のままだからな。
良かったら続きを聞かせてくれ。
その時には、俺もきっちり話をするから」
「!つ、続きって言ったって…!」

瞬間、サリアは万人の目にも簡単に分かる程に挙動不審になり、テンパった。
…先程までのことからも、唯香たちが自分たちに対して、色々と考慮してくれたのは分かる。
その気持ちは充分に良く分かる…のだが…


今やこうして、二度めでまたも、はっきりと事を伝えなければならないのだろうか?
しかしそれもそれで、下手をすれば一度めよりも状況は厳しく、まさしく針の筵(ムシロ)だ。

それでも今度という今度は…、仕切り直しは…と、さすがにサリアが悶々としていると、そんな様子を見かねたらしいカイネルが、軽く肩を竦めた。

「…言いたいことが纏まらねぇか?」
「!」

サリアの体がぎくりと硬直する。
それにカイネルは、柔らかい息をついた。

「…俺は別に、難しいことは求めちゃいねぇよ。
さっきお前があれだけ、俺の名を連発したのは何でだ?
お前は俺に、何か言いたいことがあるんだろう?」
「!…」

瞬間、サリアが完全に絶句する。
それをカイネルは、自らの頬を軽く掻くことで緩和した。

「…、分かったよ、じゃあ俺から白状するさ」

カイネルは一転、開き直ったような口調で告げる。
だが、しかし。サリアもそこは六魔将。
サリアはカイネルの言葉に含まれた、『告白』ならぬ『白状』の言い回しの違和感に、すぐさま気付いた。

「……“白状”?」

訝しげなサリアの眉根が、いよいよ寄る。
それにカイネルは、うんうんと頷きながらも、恐らくは他の六魔将全てが見当を付けていたであろう、ある事実を思い切り暴露するに至った。


「ああ。実はな…
俺…さ、今まで、自分じゃ難しいと思う任務を、こっそりお前に横流ししてたんだ」


「…な」

サリアが先程とは別の意味で絶句する。

「まあ…その辺り、完全に俺に非があるのは分かるけどよ。
色恋沙汰に関する任務だとか、変に頭脳戦的な駆け引きは苦手でな──
って、どうした? サリア」

カイネルが、きょとんとサリアに問う。
その当のサリアは、震えるこめかみと自らの感情に忠実に、すっ、と腕を引いた。

その刹那、光速にも似た早さで、カイネルの鳩尾に、見事なまでに的確に、サリアの肘が直撃する。

「!ぐへっ」

瞬間、カイネルは奇声を上げ、その体を『く』の字に曲げた。
それっきり痛みに悶絶するカイネルを、これ以上ない怒りを見せて上から見下ろしたサリアは、その肘はおろか、体までもをわなわなと震わせた。


「…あたしが何を言いたいのか…
命知らずにも、そんなに今、聞きたいのかしら? カイネル…」


そんなサリアの、低く、凄みのある声に、本能である種の恐怖を感じ取ったカイネルの体が、まるでぜんまいの切れた玩具のように、金属的に固まった。

「!う゛」

カイネルが術もなく怯んだのを見て、サリアが胸中で、全く馬鹿…、と唸る。


──毎度のことだが、予想が見事に外れただけではない。
それよりもあり得ない、微妙な意味で思っても見なかった、泥沼白状劇のおまけ付きだ。

…仕事や任務が云々よりも、やはりカミュの予想通りになったことなど、全く知るよしもないサリアが、再び行きどころのない苛立ちに肘を引くのには、そう時間を必要としなかった。
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