恋をしていた日よ

ゆき

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過去に戻れるのなら

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 あの日、君は僕を置いて行った。一通の手紙を置いて。君はずるい人だ。本当にずるい人だ。
 僕と君は大学からの付き合いだった。始めは学科が同じ、隣の席にいる人という感覚だった。ある日、君は廊下で持っていた荷物を転けて落とした。ドジだなと思った。周りに人がいないから手伝ってあげようと思い、君の所まで行き荷物を拾った。
「どうぞ。」
僕はそう言って荷物を渡した。そしたら、君は目が会った途端に顔を赤くして目をそらし
「ありがとうございます。」
と言って荷物を受け取った。君の顔が赤すぎたのでつい
「大丈夫ですか?顔が赤いですけど?」
と言った。君は赤い顔を余計に赤くして
「大丈夫です!ありがとうございました!」
君はそう言うと慌てて走り去った。
 ある日、また君と会った。君は顔を赤くしながら
「おはようございます」
と言った。僕もつられて
「おはよう」
と言った。その時に僕は君と目が合ってつい僕も顔が熱くなった。
「あっ、僕は恋をしたんだ。」
そう分かった。そう気付いてからは君に会う度に顔を赤くしてしまう。
「僕も男だ!気合いだ!」
とか言いながら、僕は君のもとに行った。
 君はのんびり、噴水の近くのベンチに座っていた。僕は、勇気を出して
「あの、少しいいですか?」
君は顔を赤くして
「はい。」
と言った。
「いきなりで悪いけど、僕は君が好きだ!僕と付き合ってください。」
僕はそう言って手を伸ばした。手を伸ばしている間はとても長く感じた。ふと、手が暖かくなった。手を見ると、君は僕の手を握っていた。
「お願いします。」
君はそう言った。
 それからは、僕たちは毎日のように一緒に過ごした。遊園地、水族館、動物園などたくさんの所に行った。僕たちは毎日が楽しかった。毎日が夢のようだった。
 けどある日君は、僕を置いて行った。手紙を置いて。僕は手紙を読んだ。

あなたへ
 あなたがこの手紙を読んでいるということは、私はきっともう空に帰っています。あなたに会ったときから私は後数カ月の命だと言われていました。私はその事を隠していました。ごめんなさい。あなたにいうことが怖かった。あなたが離れていくのではないかと思った。
 けれど、あなたと過ごした時期はとても楽しかった。その事は嘘ではありません。毎日が夢のようだった。
 最後にあなたは私のことを忘れてください。幸せになってください。これが私の最後の願いです。お幸せに。

「忘れてください…。忘れられるわけないだろ。あんなにも楽しかった日々を。僕がどれだけ君のことを好きだったか。」
僕は泣き崩れた。
きっと、僕はこれからも君のことを引きずって生きていくのだろう。僕は君のことを忘れられないです。
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