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「恋」小池真理子 感想

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「恋」あらすじ

あさま山荘事件の回顧記事執筆のため、当時の新聞を確認していたノンフィクション作家の鳥飼三津彦は、事件解決と同日に小さく報じられていた、同じ軽井沢で起きた女子大生による殺人事件を知る。日本中が注目していた大きな事件の陰に隠れていたこの事件に興味を持った鳥飼は、模範囚として既に出所していた犯人・矢野布美子へインタビューを申し込む。決してスキャンダル記事を書くわけではないと説くが、布美子は頑なに拒み、やがて勤めていた店を去り姿を消してしまう。仕事に忙殺され時が経ったある日、布美子から姿を消したことを詫びるとともに、癌で死期が迫っていることをしたためた手紙が届く。入院先を突き止めた鳥飼は、時間の許す限り布美子のもとに日参し、他愛もない世間話をする。やがて、鳥飼に信頼を寄せるようになった布美子は、裁判でも明かさず、報じられることのなかった隠された事件の真実を語り始める。






布美子、ふみこ、この主人公はやばい。
ふみこの闇深い、愛という病、狂ってしまっている。
謎のこだわり、独自の解釈が垣間見える。
信太郎ただ1人を、ただひたすら愛していたら結末が違ったかもしれない。そこに、歪みと狂気があった。
人との関係を愛する上で何かが違う。
それを恋と名づけるのも、言い得ているところはあるけど、個人的には恋とは名付けられない。
憧れと崇拝、ただそれだけだと思う。
撃ち殺すシーンは好き。かっこよかった。
実施版が石原さとみなの個人的に首傾げてる。
さとみさんは根が明るいかあざといキャラのイメージ強すぎてな…



信太郎…どんどん変わっていってしまっていったことが一番辛い。
終盤もう笑ったりおどけたりしてないのもつらい。信太郎は、雛子を愛することをやめられなかった。
本気で怒る、崩壊しかけた自我が見えた。
雛子から離れられないなら、なおさらふみこを抱いたのはなんで?ふみこはお前の何だったの?何で…何で…?
倒錯的な関係を築く元凶みたいな人だったけど、彼は…悪い奴じゃないんだよ。



雛子…普通になってしまって不幸になった子。
この子は本当に不憫でならない。
とにかく、恋をした相手を殺されたのは辛い。
でも…信太郎と想いが違っていたのも辛い。
どうしたら幸せだったのか?そう問いたくなる気持ちもわかるが、雛子の秘密を思えば、もう誰も救うことはできなかったのかもしれない。



間男の代表的存在、大久保。
お前はまじで草も生えない。
雛子を真っ直ぐに好きという気持ちだけは共感できるし、好感も持てる。
それ以外の人間性は不幸としか言いようがない。
多方面に煽るから死ぬんやで。
こんなにいけすかないキャラクターなのに、実写版では斎藤工がやってて一番びっくりした。嘘やろ、こんなイケメンでええんか?ってなった。




登場人物が全員悩ましい方に進んでいく、狂った恋の話でした。


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