20 / 147
第四章 ニッコウキスゲ
高原へ
しおりを挟む
第四章 ニッコウキスゲ
街道沿いの宿場町を出てすぐの平原で、エリクとジャンヌはそれぞれ、新しく手に入れた道具の使い方をクロヴィスに教わっていた。
クロヴィスは、二人が形だけでもなんとかなるまで根気よく教えてくれた。一日もすると、エリクは弓で矢を射ることができるようになってきた。まだ、狙った場所に当てることはできないが、とりあえず飛ばすことはできるようになった。ジャンヌはもともとナイフを使っていたせいか、呑み込みが早かった。しかし、持ち方や投げ方ができても、目標にうまく当てられない。それが課題だった。
弓矢や投げナイフの練習をしながらの旅は長く、あれこれやっているうちに、次の目的地に着くのに一週間もかかってしまった。
緩やかな坂道をいくつも昇って、くねくねした山道を歩いていくと、いろんな動物に出会った。もちろんその動物で狩りをしてもいいのだが、山道には急斜面も多く、いったん道を見失ったら危険なほど迷いやすい。ここで初心者が狩りをするのは危険だった。
「ここは俺が狩りをする。もう少しで山を抜けるはずだから、そうしたら目的地だ」
そう言って、クロヴィスは狩りに出かけていってしまった。残された三人は、昼食の用意をするために街道の端にある笹の近くで茣蓙を敷いた。フレデリクから荷物を降ろし、休ませる。そうこうしているうちに、クロヴィスがウサギを二羽、捕まえて、絞めて戻ってきた。皮をはぎ、肉をばらす手つきは並のものではなかった。
「高原に着いたら、狩ってはいけない動物もいるし、摘んでも取ってもいけない植物もある。その地域の取り決めで、保護されているんだ。気を付けていくんだぞ」
クロヴィスは、そう言いながらウサギの肉を焼いた。塩と胡椒を振りかけると、より良い香りがする。焼いている途中で、荷物袋から出したセージの葉をちぎって肉にかけ、それが引っ付くと、ワインをかけた。すると、ウサギ肉から非常にいい香りがしてきて、三人はいい気分になってきた。
肉が出来上がると、四人は譲り合ってそれを食べた。
昼食が終わると、さっそく山道を抜けるための準備が始まった。フレデリクに荷物を持たせると、それぞれ狩りの道具と貴重品を持った。身軽な格好でないと、この坂は抜けられなかった。
山道を過ぎると、急に道が平たんになり、視界が開けた。
目の前には濃い緑の草原が広がり、そこら中に白樺の木が立っていた。街道沿いにはきれいな白い花とオレンジ色の百合のような花が咲き乱れていた。
「ニッコウキスゲだ。もうそんな時期か」
クロヴィスがそう言うと、エリクはクロヴィスをじっと見て、首を傾げた。
「ニッコウキスゲ?」
「ああ、あの花のことだ。高山植物で、この時期になると群生する。貴重な花だよ。皆、絶対摘むんじゃないぞ」
「分かっているわよ」
リゼットが、そう言って手をひらひらさせる。
「花小人の私が花を知らないなんてことになったら、笑いものだわ」
「もっともね」
ジャンヌは、そう言うと草原の空気を吸った。
「それにしても、空気がきれいだなあ。カッコウの声でも聞こえてきそう。もっとも、聞いたことはないんだけどね」
すると、突然カッコウが泣き始めた。だが二人は気が付いていなかった。カッコウの声がどういうものかを知らなかったからだ。
「おい二人とも、あれがカッコウだぞ」
クロヴィスに指摘されて、二人はびっくりした。互いに目を見合わせると、今度は喜び始めた。
「カッコウだって! あれカッコウ!」
二人は大はしゃぎで、道の上をぴょんぴょんと跳ね回った。
しかし、それもクロヴィスにあっという間に止められてしまった。
「おい、もうよせ!」
急いで二人のもとへ寄っていったクロヴィスが、リゼットたちがはしゃぎまわっていたあたりを調べる。クロヴィスはため息をついて、女子二人を見た。
「どうしたの、クロヴィス?」
走って寄ってきたエリクが、クロヴィスが地面についている手の下を見た。すると、あっと声を上げて女子二人を見た。
「リゼット、ジャンヌ、嬉しいのは分かるけど、花をいじめちゃだめだよ」
クロヴィスが、立ち上がって、頭を抱える。手の下にあった小さなピンクの花は、元に戻っていた。
「幸い、大事には至らなかった。これは高原植物の中でも保護植物に指定されている花だ。ただの花でも踏むのはかわいそうだが、これはよくない。気をつけろよ」
はしゃぎすぎていた二人は、青ざめた顔をして頷いた。
一行はそのまま道を南へ進んだ。するっと、道すがらに一軒の家を見つけた。その家を見ると、二階から外を覗く女性が目に入った。長いプラチナブロンドが印象的だった。女性はこちらを見ると。にこりと笑って手を振ってくれた。
「ねえ、そういえばさ」
家を少し過ぎたあたりで、ジャンヌがふと、皆に話しかけてきた。
「あたしたち、姓がないよね」
「姓?」
リゼットが問い返すと、ジャンヌはみんなを一人ひとり、見渡した。
「うん。家族なのに、家族の名前がないんだよね。屋号っていうの? なになに家、みたいなの」
「あ、それ素敵だね!」
エリクが、目を輝かせた。
「それがあれば、僕たちもっと分かりやすくなる。それに、離れ離れになったときに探しやすくもなるよ。姓、付けようよ」
「そうねえ、じゃあ、何がいいかしら? ロングフィールドとか、マウンテンマウスとか」
「何それ。なにその既視感?」
そう言って、ジャンヌが笑った。
そんなジャンヌの肩に、クロヴィスが手を当てる。
「ロングフィールドはいいんじゃないか? ノース・オーシャン・ロードよりかは短い」
「ノース・オーシャン・ロード。ぷぷぷ」
ジャンヌは今にも吹き出しそうだった。高原でその名前が出るのがおかしかったからだ。
「面白い名前ばかりだね。僕は、名前はそんなに悩まなくてもすぐ決まると思う。だって、フレデリクの時もそうだったでしょ」
「まあ、そうだけど、でも、色々案を出したほうが楽しくない?」
リゼットがそう言うと、そのリゼットの背を、クロヴィスが押した。
「お前たちが喧嘩をしなきゃ、楽しいだろうよ」
そう言われて、リゼットとジャンヌはクロヴィスに食って掛かった。
「最近喧嘩してないもん!」
そんな話をしながら、結局いろいろな案を出し合って進む一行を、先程の女性は羨ましそうに見ていた。そして、二階の窓からすっと体をひっこめると、階下へ降りていって、自分でお茶を淹れて飲んだ。
「家族か、羨ましい」
そう、一言言って、女性は外に出た。そして、外に出かける支度をすると、家のドアにしっかりと鍵をかけた。そして、背中まである長い金の髪を揺らすと、一行の後を追った。空は、きれいに晴れていた。
街道を南に行くと、そこにはいくつかの土産屋や観光案内所が立ち並ぶ街があった。その街に着くと、リゼットは宿探しを始めた。
「クロヴィスは毛皮と干し肉を売ってきてね。エリクとジャンヌは、この観光案内所で、観光スポットを聞いてきてちょうだい。私たちは旅行中の家族なんだから、観光もしないともったいないでしょ。旅行中なんだから」
そう急ぐ旅ではない。みんなそれは知っていたので、この旅を楽しむ目的も忘れてはいなかった。家族として皆がどうあるか。それも課題の一つだったからだ。
リゼットは常にそのことを気にしていた。ただ一緒に旅するだけならただの仲間だ。だが、リゼットたちは違う。家族なのだ。
それぞれが、それぞれの役割のために散っていくと、エリクはジャンヌとともに観光案内所に足を運んだ。そこには強面の案内人がいて、こちらをじっと見ていたので、エリクはつい、引いてしまった。
「あの、ここの観光案内をお願いしたいんですが」
エリクが話しかけると、その強面の案内人は、にこりと笑って応えてくれた。
「ようこそ! いやあ、この案内所には誰も来ないので困っていたところですよ。皆さん案内なしでガイドブックだけ持って行ってしまうので、穴場を教えてあげられなくて。私の顔がいけないらしいんですけどね」
「たしかに、あなたは顔は怖いです」
エリクは、そう言って笑った。案内人ががっくり来るのが目に見えて、ジャンヌはエリクを止めようとした。
「ちょっと、エリク、あんたなんてこと言うのよ! この人いい人じゃない」
「うん、だから、いい人だって言おうと思ったんだ。穴場を教えてくれるって。ジャンヌ、この人なら大丈夫だよ。案内をお願いしよう」
エリクが案内を再びお願いすると、案内人の男性は嬉しそうに地図を取り出して、一般的なガイドブックと照らし合わせた。そして、ガイドブックには載っていないが地図には載っている、ある場所を指さした。
「ここには白樺の林とちょっとした泉がありましてね、その泉には、天気がよければ二重の虹がかかるんです。水もきれいで、飲めるんですよ。容器を持ってきて持って帰れば、数日間は水には困りません。白樺の林の下にはニッコウキスゲが咲いていましてね。それは美しいんですよ。今の時期見ごろじゃないですかね。林の中には入れませんが、周囲に遊歩道があるので、歩いてみてください。ここからだとちょうど二十分ほど歩けば行けますよ。町を抜けてしまいますが、整備された場所なので大丈夫です」
案内人の説明が終わると、ジャンヌが急に不安そうな顔をした。
「どうしたの、ジャンヌ?」
エリクが尋ねると、ジャンヌは震える声でこう言った。
「おじさん、そこ、クマは出ないですよね」
すると、案内人は大きな声で笑って、こう言った。
「出ないですよ、きっとね!」
街道沿いの宿場町を出てすぐの平原で、エリクとジャンヌはそれぞれ、新しく手に入れた道具の使い方をクロヴィスに教わっていた。
クロヴィスは、二人が形だけでもなんとかなるまで根気よく教えてくれた。一日もすると、エリクは弓で矢を射ることができるようになってきた。まだ、狙った場所に当てることはできないが、とりあえず飛ばすことはできるようになった。ジャンヌはもともとナイフを使っていたせいか、呑み込みが早かった。しかし、持ち方や投げ方ができても、目標にうまく当てられない。それが課題だった。
弓矢や投げナイフの練習をしながらの旅は長く、あれこれやっているうちに、次の目的地に着くのに一週間もかかってしまった。
緩やかな坂道をいくつも昇って、くねくねした山道を歩いていくと、いろんな動物に出会った。もちろんその動物で狩りをしてもいいのだが、山道には急斜面も多く、いったん道を見失ったら危険なほど迷いやすい。ここで初心者が狩りをするのは危険だった。
「ここは俺が狩りをする。もう少しで山を抜けるはずだから、そうしたら目的地だ」
そう言って、クロヴィスは狩りに出かけていってしまった。残された三人は、昼食の用意をするために街道の端にある笹の近くで茣蓙を敷いた。フレデリクから荷物を降ろし、休ませる。そうこうしているうちに、クロヴィスがウサギを二羽、捕まえて、絞めて戻ってきた。皮をはぎ、肉をばらす手つきは並のものではなかった。
「高原に着いたら、狩ってはいけない動物もいるし、摘んでも取ってもいけない植物もある。その地域の取り決めで、保護されているんだ。気を付けていくんだぞ」
クロヴィスは、そう言いながらウサギの肉を焼いた。塩と胡椒を振りかけると、より良い香りがする。焼いている途中で、荷物袋から出したセージの葉をちぎって肉にかけ、それが引っ付くと、ワインをかけた。すると、ウサギ肉から非常にいい香りがしてきて、三人はいい気分になってきた。
肉が出来上がると、四人は譲り合ってそれを食べた。
昼食が終わると、さっそく山道を抜けるための準備が始まった。フレデリクに荷物を持たせると、それぞれ狩りの道具と貴重品を持った。身軽な格好でないと、この坂は抜けられなかった。
山道を過ぎると、急に道が平たんになり、視界が開けた。
目の前には濃い緑の草原が広がり、そこら中に白樺の木が立っていた。街道沿いにはきれいな白い花とオレンジ色の百合のような花が咲き乱れていた。
「ニッコウキスゲだ。もうそんな時期か」
クロヴィスがそう言うと、エリクはクロヴィスをじっと見て、首を傾げた。
「ニッコウキスゲ?」
「ああ、あの花のことだ。高山植物で、この時期になると群生する。貴重な花だよ。皆、絶対摘むんじゃないぞ」
「分かっているわよ」
リゼットが、そう言って手をひらひらさせる。
「花小人の私が花を知らないなんてことになったら、笑いものだわ」
「もっともね」
ジャンヌは、そう言うと草原の空気を吸った。
「それにしても、空気がきれいだなあ。カッコウの声でも聞こえてきそう。もっとも、聞いたことはないんだけどね」
すると、突然カッコウが泣き始めた。だが二人は気が付いていなかった。カッコウの声がどういうものかを知らなかったからだ。
「おい二人とも、あれがカッコウだぞ」
クロヴィスに指摘されて、二人はびっくりした。互いに目を見合わせると、今度は喜び始めた。
「カッコウだって! あれカッコウ!」
二人は大はしゃぎで、道の上をぴょんぴょんと跳ね回った。
しかし、それもクロヴィスにあっという間に止められてしまった。
「おい、もうよせ!」
急いで二人のもとへ寄っていったクロヴィスが、リゼットたちがはしゃぎまわっていたあたりを調べる。クロヴィスはため息をついて、女子二人を見た。
「どうしたの、クロヴィス?」
走って寄ってきたエリクが、クロヴィスが地面についている手の下を見た。すると、あっと声を上げて女子二人を見た。
「リゼット、ジャンヌ、嬉しいのは分かるけど、花をいじめちゃだめだよ」
クロヴィスが、立ち上がって、頭を抱える。手の下にあった小さなピンクの花は、元に戻っていた。
「幸い、大事には至らなかった。これは高原植物の中でも保護植物に指定されている花だ。ただの花でも踏むのはかわいそうだが、これはよくない。気をつけろよ」
はしゃぎすぎていた二人は、青ざめた顔をして頷いた。
一行はそのまま道を南へ進んだ。するっと、道すがらに一軒の家を見つけた。その家を見ると、二階から外を覗く女性が目に入った。長いプラチナブロンドが印象的だった。女性はこちらを見ると。にこりと笑って手を振ってくれた。
「ねえ、そういえばさ」
家を少し過ぎたあたりで、ジャンヌがふと、皆に話しかけてきた。
「あたしたち、姓がないよね」
「姓?」
リゼットが問い返すと、ジャンヌはみんなを一人ひとり、見渡した。
「うん。家族なのに、家族の名前がないんだよね。屋号っていうの? なになに家、みたいなの」
「あ、それ素敵だね!」
エリクが、目を輝かせた。
「それがあれば、僕たちもっと分かりやすくなる。それに、離れ離れになったときに探しやすくもなるよ。姓、付けようよ」
「そうねえ、じゃあ、何がいいかしら? ロングフィールドとか、マウンテンマウスとか」
「何それ。なにその既視感?」
そう言って、ジャンヌが笑った。
そんなジャンヌの肩に、クロヴィスが手を当てる。
「ロングフィールドはいいんじゃないか? ノース・オーシャン・ロードよりかは短い」
「ノース・オーシャン・ロード。ぷぷぷ」
ジャンヌは今にも吹き出しそうだった。高原でその名前が出るのがおかしかったからだ。
「面白い名前ばかりだね。僕は、名前はそんなに悩まなくてもすぐ決まると思う。だって、フレデリクの時もそうだったでしょ」
「まあ、そうだけど、でも、色々案を出したほうが楽しくない?」
リゼットがそう言うと、そのリゼットの背を、クロヴィスが押した。
「お前たちが喧嘩をしなきゃ、楽しいだろうよ」
そう言われて、リゼットとジャンヌはクロヴィスに食って掛かった。
「最近喧嘩してないもん!」
そんな話をしながら、結局いろいろな案を出し合って進む一行を、先程の女性は羨ましそうに見ていた。そして、二階の窓からすっと体をひっこめると、階下へ降りていって、自分でお茶を淹れて飲んだ。
「家族か、羨ましい」
そう、一言言って、女性は外に出た。そして、外に出かける支度をすると、家のドアにしっかりと鍵をかけた。そして、背中まである長い金の髪を揺らすと、一行の後を追った。空は、きれいに晴れていた。
街道を南に行くと、そこにはいくつかの土産屋や観光案内所が立ち並ぶ街があった。その街に着くと、リゼットは宿探しを始めた。
「クロヴィスは毛皮と干し肉を売ってきてね。エリクとジャンヌは、この観光案内所で、観光スポットを聞いてきてちょうだい。私たちは旅行中の家族なんだから、観光もしないともったいないでしょ。旅行中なんだから」
そう急ぐ旅ではない。みんなそれは知っていたので、この旅を楽しむ目的も忘れてはいなかった。家族として皆がどうあるか。それも課題の一つだったからだ。
リゼットは常にそのことを気にしていた。ただ一緒に旅するだけならただの仲間だ。だが、リゼットたちは違う。家族なのだ。
それぞれが、それぞれの役割のために散っていくと、エリクはジャンヌとともに観光案内所に足を運んだ。そこには強面の案内人がいて、こちらをじっと見ていたので、エリクはつい、引いてしまった。
「あの、ここの観光案内をお願いしたいんですが」
エリクが話しかけると、その強面の案内人は、にこりと笑って応えてくれた。
「ようこそ! いやあ、この案内所には誰も来ないので困っていたところですよ。皆さん案内なしでガイドブックだけ持って行ってしまうので、穴場を教えてあげられなくて。私の顔がいけないらしいんですけどね」
「たしかに、あなたは顔は怖いです」
エリクは、そう言って笑った。案内人ががっくり来るのが目に見えて、ジャンヌはエリクを止めようとした。
「ちょっと、エリク、あんたなんてこと言うのよ! この人いい人じゃない」
「うん、だから、いい人だって言おうと思ったんだ。穴場を教えてくれるって。ジャンヌ、この人なら大丈夫だよ。案内をお願いしよう」
エリクが案内を再びお願いすると、案内人の男性は嬉しそうに地図を取り出して、一般的なガイドブックと照らし合わせた。そして、ガイドブックには載っていないが地図には載っている、ある場所を指さした。
「ここには白樺の林とちょっとした泉がありましてね、その泉には、天気がよければ二重の虹がかかるんです。水もきれいで、飲めるんですよ。容器を持ってきて持って帰れば、数日間は水には困りません。白樺の林の下にはニッコウキスゲが咲いていましてね。それは美しいんですよ。今の時期見ごろじゃないですかね。林の中には入れませんが、周囲に遊歩道があるので、歩いてみてください。ここからだとちょうど二十分ほど歩けば行けますよ。町を抜けてしまいますが、整備された場所なので大丈夫です」
案内人の説明が終わると、ジャンヌが急に不安そうな顔をした。
「どうしたの、ジャンヌ?」
エリクが尋ねると、ジャンヌは震える声でこう言った。
「おじさん、そこ、クマは出ないですよね」
すると、案内人は大きな声で笑って、こう言った。
「出ないですよ、きっとね!」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す
RINFAM
ファンタジー
なんの罰ゲームだ、これ!!!!
あああああ!!!
本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!
そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!
一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!
かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。
年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。
4コマ漫画版もあります。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方
綾雅(りょうが)今年は7冊!
ファンタジー
魔族の幼子ルンは、突然両親と引き離されてしまった。掴まった先で暴行され、殺されかけたところを救われる。圧倒的な強さを持つが、見た目の恐ろしい竜王は保護した子の両親を探す。その先にある不幸な現実を受け入れ、幼子は竜王の養子となった。が、子育て経験のない竜王は混乱しまくり。日常が騒動続きで、配下を含めて大騒ぎが始まる。幼子は魔族としか分からなかったが、実は将来の魔王で?!
異種族同士の親子が紡ぐ絆の物語――ハッピーエンド確定。
#日常系、ほのぼの、ハッピーエンド
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/08/13……完結
2024/07/02……エブリスタ、ファンタジー1位
2024/07/02……アルファポリス、女性向けHOT 63位
2024/07/01……連載開始
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる