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第十二章 白いオリーブ
東の世界のスープ
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次の日、エリクが目を覚ますと、他の皆はすでに朝食の用意をしていた。ジャンヌとエステルが二人で、今日売る物の確認をして値札をつけている。貨幣価値が分からなかったから、ナリアに逐一聞いていた。朝食の準備はリゼットとセリーヌがやっていた。リゼットは火の具合を見て、いい匂いのするスープをかき回しているセリーヌの指示を受けていた。
「鹿肉の固形スープの素も終わりそうだし、ちょうど飽きてきたところだから、新しい味を試したいんだけど」
セリーヌが、ふと口を開くと、売り場の代わりになる布切れを地面に敷いているジャンヌが、手を挙げた。
「明け方、ちょっとあたしたちとは違う感じの、ここの旅人さんに聞いたんだけど、すごく東のほうにそれは美味しいスープがあるって! そこは食の都で、玄人の舌もうならせる料理がいっぱいらしいよ」
すると、水を入れておく革袋に水漏れ防止の処置をしていたアースと、値札をチェックしていたナリアが、同時に答えた。
「中華料理だな」
「鶏がらスープなら、ここでも作れますよ」
すると、その光景を全て聞いて見ていたエリクが、疑問をぶつけた。
「世界には、僕たちの知らないことが沢山あって、その、たくさんある知らないことが、僕たちの世界を広げてくれるんだね。いま、ナリアさんとアースさんが言った中華料理とか、鶏がらスープって、それを知るだけで、もっと知りたいっていう欲求が沢山出てくるんだから!」
エリクの言っていることを聞いて、皆がいったん手を止めた。リゼットも、火を見る手を止めてしまっている。皆は、そうやってエリクのほうをしばらく見ると、それぞれの仕事に帰っていった。
「エリク」
なんだかいつものエリクと違う、それを感じた皆が、やはりいつもと同じエリクが目の前にいるということに安心して元に戻った。そんなところだろうか。セリーヌの脇で二人、相談をしながら木の実を切っていたセベルとエーテリエ、そのうちエーテリエのほうがエリクの名を呼ぶ。
名を呼ばれてふと、エリクがエーテリエを見ると、彼女は屈んだ姿勢から立ち上がって背伸びをした。
「エリク、あなた、何をどこまで知りたいの?」
すると、エリクは笑って答えた。
「今は、スープと料理のことを、できるだけ多く知りたいよ!」
エーテリエは、そのエリクのセリフに、ぷっと噴き出した。
「だったら、先にそれ言いなさいよ。ナリア、アースさん、この際だからみんなにもそれ教えてやってください。きっと、役に立つはずだから」
「鹿肉の固形スープの素も終わりそうだし、ちょうど飽きてきたところだから、新しい味を試したいんだけど」
セリーヌが、ふと口を開くと、売り場の代わりになる布切れを地面に敷いているジャンヌが、手を挙げた。
「明け方、ちょっとあたしたちとは違う感じの、ここの旅人さんに聞いたんだけど、すごく東のほうにそれは美味しいスープがあるって! そこは食の都で、玄人の舌もうならせる料理がいっぱいらしいよ」
すると、水を入れておく革袋に水漏れ防止の処置をしていたアースと、値札をチェックしていたナリアが、同時に答えた。
「中華料理だな」
「鶏がらスープなら、ここでも作れますよ」
すると、その光景を全て聞いて見ていたエリクが、疑問をぶつけた。
「世界には、僕たちの知らないことが沢山あって、その、たくさんある知らないことが、僕たちの世界を広げてくれるんだね。いま、ナリアさんとアースさんが言った中華料理とか、鶏がらスープって、それを知るだけで、もっと知りたいっていう欲求が沢山出てくるんだから!」
エリクの言っていることを聞いて、皆がいったん手を止めた。リゼットも、火を見る手を止めてしまっている。皆は、そうやってエリクのほうをしばらく見ると、それぞれの仕事に帰っていった。
「エリク」
なんだかいつものエリクと違う、それを感じた皆が、やはりいつもと同じエリクが目の前にいるということに安心して元に戻った。そんなところだろうか。セリーヌの脇で二人、相談をしながら木の実を切っていたセベルとエーテリエ、そのうちエーテリエのほうがエリクの名を呼ぶ。
名を呼ばれてふと、エリクがエーテリエを見ると、彼女は屈んだ姿勢から立ち上がって背伸びをした。
「エリク、あなた、何をどこまで知りたいの?」
すると、エリクは笑って答えた。
「今は、スープと料理のことを、できるだけ多く知りたいよ!」
エーテリエは、そのエリクのセリフに、ぷっと噴き出した。
「だったら、先にそれ言いなさいよ。ナリア、アースさん、この際だからみんなにもそれ教えてやってください。きっと、役に立つはずだから」
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