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第十八章 ナチュラルブーケ
定住地での生活
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第十八章 ナチュラルブーケ
学校の授業が終わり、正午を告げる鐘が集落の中に響くと、どこからかコロコロとしたフルートの音色が楽しげに響いてくる。
集落に溢れる新緑や柔らかい草に囲まれて、子どもたちがそのフルートの音色を聞きに走っていく。
「今日は牧場の歌を吹いてよ!」
一人の子供が、フルートの奏者に寄っていく。フルートの奏者、リゼットは子供に囲まれて得意げに胸を張った。
「おあいにく様、先客がいるのよ。今日はセリーヌの誕生日だから、黄色い花の歌にするわ」
そう言ってフルートを吹き始めたリゼットのところに、たくさんのサンドイッチが入ったバスケットを持って、セリーヌがやってきた。
「みんな、お昼を食べて行かない? 今日は酒場が暇だから、シリウスがサンドイッチを作ってくれたのよ」
子供たちは湧き立った。
「この間シリウスの店にお父さんとお母さんと行ったんだ! シリウスって面白い人でさ、料理もうまかったぜ!」
子供のうちの一人が言うと、他の子もそれに乗ってきた。
「あたしダーツ教わったよ。難しかったけど楽しかった」
近隣の村や町からセリーヌの学校の噂を聞いてやってきた子供たちが楽しげに会話をしながら、セリーヌの持ってきたランチをリゼットと共に広げ始めた。その脇を、シリウスが酒樽を持って通っていく。
「お、やってるな」
シリウスは樽を一旦置いて、リゼットを見た。
「リゼット、今日の夜、一つ頼めるか? お得意さんがお前の演奏が聞きたいって言うんだ」
「いいわよ」
リゼットは、一旦演奏を止めた。
「例の村の村長さんご家族が旅行でいらっしゃるって聞いたわ。それでしょ?」
「よくお分かりで」
そう言って、シリウスはそこにいた全員に手を振って、集落の入り口にある樽置き場に向かっていった。
週に一度、空いたワインやビールの樽を、中身がたっぷり入った樽と交換しにくる酒屋が西の街にある。その酒屋と樽を交換するためだ。
それを眺めていたのはセリーヌで、しばらく見ていると子供達の中に混じって、サンドイッチを食べ始めた。
そんな時に、一人の子供が、こんなことを言った。
「セリーヌ先生って、好きな男の人はいるの?」
すると、セリーヌは顔色ひとつ変えずに、こう答えた。
「いるわよ。でもあなたたちにはまだ内緒」
あまりにあっさりした答えなので、子供達はそれ以上聞くことはなかった。
サンドイッチを食べ終えると、リゼットは立ち上がった。
「さて、あの村の三人がくるなら、こうしちゃいられないわ」
そう言って、ニコリと笑ってセリーヌたちに別れを告げた。子供達は食べ終わると、セリーヌに別れを告げて、迎えにきた大人たちと一緒に街や村へ帰っていった。
リゼットはその足で村にある湧き水の泉に向かった。するとそこには案の定、ナリアが休みを取っていた。
「子供達はかわいらしいのですが、少し疲れます」
そう言って、泉の水を掬い取り、飲んだ。この泉の水はそのまま飲める。みんながナリアと同じことをしたし、水が必要な酒場や診療所、花屋もこの泉を頼りにしていた。
「ナリアさま、今日、アヒムさんのご家族がいらっしゃるみたいですわ。そこでお願いがあるんです」
すると、ナリアは嬉しそうに手を合わせた。
「それは素晴らしいですね。では、酒場で共に演奏をいたしましょうか」
それを聞いて、リゼットは舞い上がった。そしてそのままナリアとともにクロヴィスの花屋に行くことにした。
集落の入り口にある花屋に行くと、店先にたくさん出ている花の苗を管理しているクロヴィスに会った。
「クロヴィス、今日、アヒムさんご家族がこの村に来るの。何かプレゼントするのにいい花はないかしら?」
すると、しゃがんで苗を見ていたクロヴィスは立ち上がって、店の周りを見渡した。
「花束なら、ふさわしい花を選んで俺がつくってやるよ。でも、苗木がいいなら、あの土地だから、ここにあるハナミズキか桜がいいな。桜は今日入ってきたんだが、いい花が咲く。この辺ではなかなか売っていないんだ」
クロヴィスの説明はいつも面白かった。彼は、桜の苗木を手に取ると、リゼットたちに渡した。
「お金はきっちりとるからな」
そう言って笑っていると、店の奥からジャンヌが出てきた。彼女はいくつかのブーケを持っていて、それを午後一番最初に来る郵便屋に渡そうとしているところだった。
「こないだ、レナートも手紙の返事をよこしたんだ。エリクが書いていたみたいでね。なんか、無事男性の恋人が見つかって、結婚にこぎつけたって言ってたな」
花をより分けながら、ジャンヌが嬉しそうに話す。
「ブーケは作っておくから、夕方また取りに来てね」
ジャンヌがそう言うので、リゼットとナリアは花屋を後にした。途中寄ろうとした診療所にはまだ患者がいたので後回しにして、先に屋敷に寄ることにした。屋敷に行くと、エルヴィールが庭で洗濯ものを仕舞い込んでいた。
事情を話すと、エルヴィールは嬉しそうに手を合わせた。
「アヒムさんたちがいらっしゃるのなら、シリウスさんと協力して、たくさん美味しいお料理をお出ししないとね」
そう言って、嬉しそうに屋敷に入っていった。
屋敷の庭は綺麗で、そんなに大きくはないが季節の花が咲く気持ちのいい場所だった。
屋敷に入ると、綺麗に掃除され整理されていて、エルヴィールがきちんと仕事をしているのがわかった。
エルヴィールはリゼットやナリアと一緒に行くと言い、支度をして屋敷を出た。
リゼット、ナリア、エルヴィールの三人は次に畑に行った。
この時期はまだ苗の植え付けの時期だったが敢えて寄った。菜の花や葉物の野菜、一部の根菜が畑にあったので、それを仕入れていきたいとエルヴィールが言ったためだ。
畑に行くと、セベルとエーテリエが作業をしていたので声をかけた。
「アヒムさんたちが来るのか」
セベルはそういうと、手に持っていたニンジンを掲げた。
「いいぞ、いくらでも使ってくれ。今日の出荷分はもう収穫が終わったから、育ったものから持っていってくれ」
セベルはそう言うと、白い歯を見せて笑った。隣でエーテリエが腰に手を当ててため息をつく。
「ナリア、確かアヒムさんの奥さん、今お腹大きいでしょ。大丈夫なの?」
ナリアは、それに対して少し考えて、返した。
「馬車に揺られるのは確かに良くないかもしれませんが、ここにはお医者さまとその優秀な助手がいるでしょう?」
すると、エーテリエは苦笑してため息をついた。
「それもそうね。夕方、仕事が終わったら私たちも行くからね」
エーテリエは、そう言ってセベルと一緒に作業を再開した。
三人はいくつかの野菜を麻袋に入れて、それをシリウスの酒場に持っていくことにした。
麻袋は重かったが、リゼットが工夫をして練術をかけてくれたので、難なく運ぶことができた。ナリアはあまりこの集落では練術を使わなかった。
酒場に着くと、シリウスが今か今かと待ち構えていた。
「これだけの野菜があれば十分だ。今、町から肉や魚が届いたから、これで仕込めるぞ。今日はアルコールは無しだから、少し多めに果物も仕入れておいたんだ。もう子供も七歳だろ。ミルク以外にも選択肢がないとな」
そう言いながら、リゼットたちが持ってきた野菜をストッカーに入れた。
「午後は短いから、手伝えることがあればやるわ」
エルヴィールがそう言うので、シリウスは喜んで彼女の申し出を受けた。
リゼットとナリアがそこでエルヴィールと別れようとすると、ちょうど診療所の仕事を終えたエリクとアースが酒場に入ってくるところだった。
「お帰りなさい」
ナリアは二人に向かってそう言った。
すると、エリクとアースはナリアに軽く挨拶をしてシリウスのいるキッチンの中に入っていって、シリウスが触らない方のストッカーに手をやった。そして、その中から弁当を二つ、引っ張り出してきた。そして、自分たちで果物のジュースを絞ってテーブルに持っていった。
「呆れた。もう作ってあったのね」
リゼットが苦笑して腰に手を当てていると、お腹を空かせたエリクが彼女をらを見て不思議そうに首を傾げた。
「リゼットたちはどうしてここにいるの?」
リゼットは答えた。
「野菜を届けにきたのよ」
すると、アースは少し考えてから、つぶやくようにこう言った。
「嫌な予感がする。妊婦がいるだろう」
それには、ナリアが答えた。
「安定期が過ぎているため、少し不安ではありますが、早産の危険はもうありません。いざという時はあなたがいるので心配はしていませんよ」
すると、アースは頭を抱えた。
「過信するな」
その言葉に、みんなが黙ってしまった。
確かに、医者がいるから臨月の妊婦を迎えても大丈夫だと言うのは、現状に対する甘えかもしれない。だが、もう向かってきてしまっているものは仕方がない。
アースもそんな状況はわかっているのだろう。それ以上みんなに対して何かを言うことはなかった。
「まあでも、臨月でも行かせていいって判断は向こうの医者がやったんだろうから、こっちが責任まで負うことはないさ。アース、もう少し楽に考えろよ。産気づいちまった時はその時だ」
シリウスは、野菜を切りながらそう言って笑った。
リゼットたちが集落を周り初めてから、もう二時間は経っていた。太陽の光に色がついてくる。
そんな時、店に誰かが駆け込んできた。
ジャンヌだった。
彼女は、急いではいたが楽しそうな顔をして、そこにいた皆にこう言った。
「アヒムさんたちが着いたよ!」
学校の授業が終わり、正午を告げる鐘が集落の中に響くと、どこからかコロコロとしたフルートの音色が楽しげに響いてくる。
集落に溢れる新緑や柔らかい草に囲まれて、子どもたちがそのフルートの音色を聞きに走っていく。
「今日は牧場の歌を吹いてよ!」
一人の子供が、フルートの奏者に寄っていく。フルートの奏者、リゼットは子供に囲まれて得意げに胸を張った。
「おあいにく様、先客がいるのよ。今日はセリーヌの誕生日だから、黄色い花の歌にするわ」
そう言ってフルートを吹き始めたリゼットのところに、たくさんのサンドイッチが入ったバスケットを持って、セリーヌがやってきた。
「みんな、お昼を食べて行かない? 今日は酒場が暇だから、シリウスがサンドイッチを作ってくれたのよ」
子供たちは湧き立った。
「この間シリウスの店にお父さんとお母さんと行ったんだ! シリウスって面白い人でさ、料理もうまかったぜ!」
子供のうちの一人が言うと、他の子もそれに乗ってきた。
「あたしダーツ教わったよ。難しかったけど楽しかった」
近隣の村や町からセリーヌの学校の噂を聞いてやってきた子供たちが楽しげに会話をしながら、セリーヌの持ってきたランチをリゼットと共に広げ始めた。その脇を、シリウスが酒樽を持って通っていく。
「お、やってるな」
シリウスは樽を一旦置いて、リゼットを見た。
「リゼット、今日の夜、一つ頼めるか? お得意さんがお前の演奏が聞きたいって言うんだ」
「いいわよ」
リゼットは、一旦演奏を止めた。
「例の村の村長さんご家族が旅行でいらっしゃるって聞いたわ。それでしょ?」
「よくお分かりで」
そう言って、シリウスはそこにいた全員に手を振って、集落の入り口にある樽置き場に向かっていった。
週に一度、空いたワインやビールの樽を、中身がたっぷり入った樽と交換しにくる酒屋が西の街にある。その酒屋と樽を交換するためだ。
それを眺めていたのはセリーヌで、しばらく見ていると子供達の中に混じって、サンドイッチを食べ始めた。
そんな時に、一人の子供が、こんなことを言った。
「セリーヌ先生って、好きな男の人はいるの?」
すると、セリーヌは顔色ひとつ変えずに、こう答えた。
「いるわよ。でもあなたたちにはまだ内緒」
あまりにあっさりした答えなので、子供達はそれ以上聞くことはなかった。
サンドイッチを食べ終えると、リゼットは立ち上がった。
「さて、あの村の三人がくるなら、こうしちゃいられないわ」
そう言って、ニコリと笑ってセリーヌたちに別れを告げた。子供達は食べ終わると、セリーヌに別れを告げて、迎えにきた大人たちと一緒に街や村へ帰っていった。
リゼットはその足で村にある湧き水の泉に向かった。するとそこには案の定、ナリアが休みを取っていた。
「子供達はかわいらしいのですが、少し疲れます」
そう言って、泉の水を掬い取り、飲んだ。この泉の水はそのまま飲める。みんながナリアと同じことをしたし、水が必要な酒場や診療所、花屋もこの泉を頼りにしていた。
「ナリアさま、今日、アヒムさんのご家族がいらっしゃるみたいですわ。そこでお願いがあるんです」
すると、ナリアは嬉しそうに手を合わせた。
「それは素晴らしいですね。では、酒場で共に演奏をいたしましょうか」
それを聞いて、リゼットは舞い上がった。そしてそのままナリアとともにクロヴィスの花屋に行くことにした。
集落の入り口にある花屋に行くと、店先にたくさん出ている花の苗を管理しているクロヴィスに会った。
「クロヴィス、今日、アヒムさんご家族がこの村に来るの。何かプレゼントするのにいい花はないかしら?」
すると、しゃがんで苗を見ていたクロヴィスは立ち上がって、店の周りを見渡した。
「花束なら、ふさわしい花を選んで俺がつくってやるよ。でも、苗木がいいなら、あの土地だから、ここにあるハナミズキか桜がいいな。桜は今日入ってきたんだが、いい花が咲く。この辺ではなかなか売っていないんだ」
クロヴィスの説明はいつも面白かった。彼は、桜の苗木を手に取ると、リゼットたちに渡した。
「お金はきっちりとるからな」
そう言って笑っていると、店の奥からジャンヌが出てきた。彼女はいくつかのブーケを持っていて、それを午後一番最初に来る郵便屋に渡そうとしているところだった。
「こないだ、レナートも手紙の返事をよこしたんだ。エリクが書いていたみたいでね。なんか、無事男性の恋人が見つかって、結婚にこぎつけたって言ってたな」
花をより分けながら、ジャンヌが嬉しそうに話す。
「ブーケは作っておくから、夕方また取りに来てね」
ジャンヌがそう言うので、リゼットとナリアは花屋を後にした。途中寄ろうとした診療所にはまだ患者がいたので後回しにして、先に屋敷に寄ることにした。屋敷に行くと、エルヴィールが庭で洗濯ものを仕舞い込んでいた。
事情を話すと、エルヴィールは嬉しそうに手を合わせた。
「アヒムさんたちがいらっしゃるのなら、シリウスさんと協力して、たくさん美味しいお料理をお出ししないとね」
そう言って、嬉しそうに屋敷に入っていった。
屋敷の庭は綺麗で、そんなに大きくはないが季節の花が咲く気持ちのいい場所だった。
屋敷に入ると、綺麗に掃除され整理されていて、エルヴィールがきちんと仕事をしているのがわかった。
エルヴィールはリゼットやナリアと一緒に行くと言い、支度をして屋敷を出た。
リゼット、ナリア、エルヴィールの三人は次に畑に行った。
この時期はまだ苗の植え付けの時期だったが敢えて寄った。菜の花や葉物の野菜、一部の根菜が畑にあったので、それを仕入れていきたいとエルヴィールが言ったためだ。
畑に行くと、セベルとエーテリエが作業をしていたので声をかけた。
「アヒムさんたちが来るのか」
セベルはそういうと、手に持っていたニンジンを掲げた。
「いいぞ、いくらでも使ってくれ。今日の出荷分はもう収穫が終わったから、育ったものから持っていってくれ」
セベルはそう言うと、白い歯を見せて笑った。隣でエーテリエが腰に手を当ててため息をつく。
「ナリア、確かアヒムさんの奥さん、今お腹大きいでしょ。大丈夫なの?」
ナリアは、それに対して少し考えて、返した。
「馬車に揺られるのは確かに良くないかもしれませんが、ここにはお医者さまとその優秀な助手がいるでしょう?」
すると、エーテリエは苦笑してため息をついた。
「それもそうね。夕方、仕事が終わったら私たちも行くからね」
エーテリエは、そう言ってセベルと一緒に作業を再開した。
三人はいくつかの野菜を麻袋に入れて、それをシリウスの酒場に持っていくことにした。
麻袋は重かったが、リゼットが工夫をして練術をかけてくれたので、難なく運ぶことができた。ナリアはあまりこの集落では練術を使わなかった。
酒場に着くと、シリウスが今か今かと待ち構えていた。
「これだけの野菜があれば十分だ。今、町から肉や魚が届いたから、これで仕込めるぞ。今日はアルコールは無しだから、少し多めに果物も仕入れておいたんだ。もう子供も七歳だろ。ミルク以外にも選択肢がないとな」
そう言いながら、リゼットたちが持ってきた野菜をストッカーに入れた。
「午後は短いから、手伝えることがあればやるわ」
エルヴィールがそう言うので、シリウスは喜んで彼女の申し出を受けた。
リゼットとナリアがそこでエルヴィールと別れようとすると、ちょうど診療所の仕事を終えたエリクとアースが酒場に入ってくるところだった。
「お帰りなさい」
ナリアは二人に向かってそう言った。
すると、エリクとアースはナリアに軽く挨拶をしてシリウスのいるキッチンの中に入っていって、シリウスが触らない方のストッカーに手をやった。そして、その中から弁当を二つ、引っ張り出してきた。そして、自分たちで果物のジュースを絞ってテーブルに持っていった。
「呆れた。もう作ってあったのね」
リゼットが苦笑して腰に手を当てていると、お腹を空かせたエリクが彼女をらを見て不思議そうに首を傾げた。
「リゼットたちはどうしてここにいるの?」
リゼットは答えた。
「野菜を届けにきたのよ」
すると、アースは少し考えてから、つぶやくようにこう言った。
「嫌な予感がする。妊婦がいるだろう」
それには、ナリアが答えた。
「安定期が過ぎているため、少し不安ではありますが、早産の危険はもうありません。いざという時はあなたがいるので心配はしていませんよ」
すると、アースは頭を抱えた。
「過信するな」
その言葉に、みんなが黙ってしまった。
確かに、医者がいるから臨月の妊婦を迎えても大丈夫だと言うのは、現状に対する甘えかもしれない。だが、もう向かってきてしまっているものは仕方がない。
アースもそんな状況はわかっているのだろう。それ以上みんなに対して何かを言うことはなかった。
「まあでも、臨月でも行かせていいって判断は向こうの医者がやったんだろうから、こっちが責任まで負うことはないさ。アース、もう少し楽に考えろよ。産気づいちまった時はその時だ」
シリウスは、野菜を切りながらそう言って笑った。
リゼットたちが集落を周り初めてから、もう二時間は経っていた。太陽の光に色がついてくる。
そんな時、店に誰かが駆け込んできた。
ジャンヌだった。
彼女は、急いではいたが楽しそうな顔をして、そこにいた皆にこう言った。
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