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第十八章 ナチュラルブーケ
願いが叶う瞬間
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一週間後。
ゼンテイカ一家およびその周りの人物たちの手によって、ひと組のカップルの結婚式が執り行われた。
クロヴィスとジャンヌだ。
この日のためにアースとシリウスが二人の婚礼衣装を整え、料理をした。リゼットとナリアは式に演奏する音楽を練習し、セリーヌは結婚式の進行役として式次第を作っていた。セベルとエーテリエは婚礼の証人として式に立つことになり、エルヴィールは会場の設営を任された。
式は粛々と進み、クロヴィスが作ったブーケをジャンヌが投げると、受け取ったのはリゼットだった。
「リゼットは、好きな人とかいるの?」
式が終わって、広場での会食が始まると、リゼットの隣に座ったセリーヌが嬉しそうに話しかけてきた。
リゼットは自分の手の中の綺麗なラナンキュラスのブーケを見て、ため息をついた。
「好きな人の一人でも、できればねえ」
リゼットはじっとブーケを見る。クロヴィスの作ったブーケは美しかった。でも、好きな人の一人もできないのは寂しかった。
そんなリゼットを見て、セリーヌは優しく笑った。
「大丈夫。私の生徒さんたちが大きくなっても、リゼットはまだ若いでしょ?」
それを聞いて、リゼットは膨れた。
「あんなガキンチョ、相手にもならないわ!」
そう言ってセリーヌを見ると、彼女は楽しそうに笑ったので、リゼットも大声を出して笑った。
他の場所では、ウエディングドレスからドレスに着替えたジャンヌが、アースやシリウス、そしてエリクのいるところに歩いて行った。
「どうだ、ジャンヌ。ドレスよかっただろ」
シリウスが嬉しそうに話しかけてくるので、ジャンヌは手に持ったワインをテーブルに置いて、椅子に座った。
「ぴったりだったよ。すごく可愛らしくて、びっくりした。試着した時より良くなってたけどあれ、どうやったの?」
すると、酒を飲んでいないアースが答えた。
「腰と腕の位置を少しずらして、試着したときに違和感のあった場所を修正したんだ。クロヴィスも同じような対応をした」
それを聞いて、ジャンヌはあんぐり口を開けた。だが、すぐに目を伏せて、何かを言いたいのだろう、もじもじと落ち着かない様子で椅子に座っていた。
「ええい!」
ジャンヌは、そこで突然そう言って椅子から立ち上がった。勢いよく立ち上がったものだから、椅子は後ろに倒れてしまった。
目の前のジャンヌの勢いにびっくりしたのはシリウスで、アースは平静としていた。ジャンヌの考えていることがわかるのか、何も言わないので、ジャンヌは顔を真っ赤にした。
「言いたいこと言わせてもらうけど」
ジャンヌは、そう言って息を吸って、吐いた。
「シリウスさん、アースさん、ファッションデザインのこと、ちゃんと私に教えて欲しい!」
シリウスは、それを聞いてびっくりした。
「なんで?」
聞き返すので、ジャンヌは椅子を自分で直してそこに座った。
「ずっと前から、シリウスさんとアースさんの服のセンスの良さは気になってた。クロヴィスのデザインしたブーケとか見ても、すごいと思った。でも私に向いているのは花を育てることじゃない。だったら、あんたたちからデザイン学んで、少しでも自分の目標叶えたい」
「目標?」
今度はエリクが聞き返すので、ジャンヌは頷いて答えた。
「私、男性用の服のデザイナーになりたいんだ。せっかくここに長身細身の良いモデルが二人もいるんだから、この際被服の勉強しながらここで自分のスタイルを完成させたい。まえさ、レストランをやった時、みんなで作ったコスチュームをアースさんが着こなしていて、その時に思ったんだ。私のやりたいのはこれだって。服は、人を魅力的に見せるだけじゃない。その時その人にふさわしいシチュエーションをきちんと教えてくれるんだって。それを演出できるなら私はデザイナーになってそれをやる。こんなに素敵なことはないよ。あれから一応、リゼットやクロヴィスに字を教わりながらデザイナーの本を読んだよ。難しいけど、やりたい」
すると、アースが少しだけ笑って、ジャンヌを見た。
「心を打つ動機ではないが、信用はできる。暇ではないから付き合える時間は少ない。それでもよければ教えよう」
すると、ジャンヌの顔が急に明るくなった。
アースの隣にいたエリクが立ち上がってジャンヌの両手を握りしめた。
「よかったね、ジャンヌ! これからはシリウスさんのお店に通って、服の勉強だね! 僕もなるべくアースさんを連れて行くからね!」
「うん、うん!」
ジャンヌは、そう言いながら涙を流した。
一方、クロヴィスは、ナリアとセベルのところにいた。すでに夫婦関係にあるこの二人のことをもっと知りたかったからだ。
「わたくし達の関係は、あまりあなた方の役には立たないかもしれませんよ」
ナリアは、ワインを飲んでいて、少し気分が良くなっていた。だが、セベルとの関係の秘密は話してはくれなかった。
「俺たちは子供を作らないことを誓い合った夫婦だからな。師匠と、地球の月のシリンであるフォーラさんとの関係の方が参考になるかもしれない。あそこには二人、子供がいるからね」
セベルはそういうと、ビールを仰いだ。少し酔っているがまだ言動は正常だ。
「アヒムさんたちはどうでしょうか」
ナリアは、そう言って、一家で楽しそうに食事をしながら他の人たちと話しているアヒムを見た。今、アヒムはジャンヌやエリクたちのところで赤ちゃんを見せている。
その姿を見て、何を思ったのか、ナリアがクロヴィスを呼んだ。
「少し、寂しくなってきました」
そう言って、ナリアは席を離れた。
そして、皆から離れた場所まで歩いていくと、よく晴れた空を見上げて、深呼吸をした。
「人といる時の方が、より寂しさを感じる。そう言う時があるでしょう」
そう言って、ナリアはクロヴィスを見た。そして、ジャンヌの方へ行くように促した。
そして、そこにセベルと二人だけで残ると、静かにワインに口をつけた。
クロヴィスは、ジャンヌのいる場所に行くと、彼女のこれからの目標を彼女の口から直接聞いた。そして、嬉しい気持ちになって、つい、ジャンヌを抱きしめてしまった。
みんなが拍手をし、リゼットとシリウスがからかってくる。
リゼットは、シリウスと一緒にジャンヌをからかって、ふと、そんな自分の行動に顔を赤らめた。
「シリウスさん、か」
リゼットは、クロヴィスをからかうシリウスを見て、少し寂しい気持ちになった。そして、その自分の気持ちがどこからくるのかを知って、また赤くなった。急いでシリウスから目を逸らす。
「おバカなリゼット」
リゼットはそう言ってため息をつき、苦笑したままみんなの中に入って行った。
それを、遠くで見ていたエルヴィールとエーテリエが、みんなの中に入ってくる。会場に、バラの花びらが舞った。
結婚式の昼が暮れて、夕方になっていく。
宴は夜の初めまで続いた。夕食が出され、皆が満足すると、最後はみんなで会場を片付けた。
手作りの、家族だけの結婚式は、こうして幕を閉じた。
そして、その一ヶ月後、アヒムの家族が、村へ帰った。
三人の家族で来て四人の家族で帰る。彼らともまた、長い付き合いだった。
アヒムたちは帰りに、たくさんのお土産をもらった。最近エーテリエが飼い出した鶏の卵と、すでに青くなってしまった桜の苗木も、そこに入っていた。
「卵はできるだけ日陰で保管してね」
エーテリエはそう言うと、卵がたくさん入った包みをアヒムに渡した。彼らがここに来た時に乗ってきた幌馬車を手入れしたり、馬の世話をしたりしていたのもエーテリエだ。
「それじゃあ、行ってらっしゃい」
エーテリエは、そう言ってアヒムたちを送り出した。
「行ってきます!」
アヒムたちは、そう言って帰っていった。
天気の良い日、それは、広く、どこまでも続く青い空を眺められる、そんな爽やかな日。
エリクは、リゼットは、ジャンヌは、クロヴィスは、セリーヌは、そして、彼らをできる限りの時間を使って見守ると決めた旅人たちは、ここから、新しい人生の旅路を歩んでいこうとしていた。
「真珠を噛む竜」
完
ゼンテイカ一家およびその周りの人物たちの手によって、ひと組のカップルの結婚式が執り行われた。
クロヴィスとジャンヌだ。
この日のためにアースとシリウスが二人の婚礼衣装を整え、料理をした。リゼットとナリアは式に演奏する音楽を練習し、セリーヌは結婚式の進行役として式次第を作っていた。セベルとエーテリエは婚礼の証人として式に立つことになり、エルヴィールは会場の設営を任された。
式は粛々と進み、クロヴィスが作ったブーケをジャンヌが投げると、受け取ったのはリゼットだった。
「リゼットは、好きな人とかいるの?」
式が終わって、広場での会食が始まると、リゼットの隣に座ったセリーヌが嬉しそうに話しかけてきた。
リゼットは自分の手の中の綺麗なラナンキュラスのブーケを見て、ため息をついた。
「好きな人の一人でも、できればねえ」
リゼットはじっとブーケを見る。クロヴィスの作ったブーケは美しかった。でも、好きな人の一人もできないのは寂しかった。
そんなリゼットを見て、セリーヌは優しく笑った。
「大丈夫。私の生徒さんたちが大きくなっても、リゼットはまだ若いでしょ?」
それを聞いて、リゼットは膨れた。
「あんなガキンチョ、相手にもならないわ!」
そう言ってセリーヌを見ると、彼女は楽しそうに笑ったので、リゼットも大声を出して笑った。
他の場所では、ウエディングドレスからドレスに着替えたジャンヌが、アースやシリウス、そしてエリクのいるところに歩いて行った。
「どうだ、ジャンヌ。ドレスよかっただろ」
シリウスが嬉しそうに話しかけてくるので、ジャンヌは手に持ったワインをテーブルに置いて、椅子に座った。
「ぴったりだったよ。すごく可愛らしくて、びっくりした。試着した時より良くなってたけどあれ、どうやったの?」
すると、酒を飲んでいないアースが答えた。
「腰と腕の位置を少しずらして、試着したときに違和感のあった場所を修正したんだ。クロヴィスも同じような対応をした」
それを聞いて、ジャンヌはあんぐり口を開けた。だが、すぐに目を伏せて、何かを言いたいのだろう、もじもじと落ち着かない様子で椅子に座っていた。
「ええい!」
ジャンヌは、そこで突然そう言って椅子から立ち上がった。勢いよく立ち上がったものだから、椅子は後ろに倒れてしまった。
目の前のジャンヌの勢いにびっくりしたのはシリウスで、アースは平静としていた。ジャンヌの考えていることがわかるのか、何も言わないので、ジャンヌは顔を真っ赤にした。
「言いたいこと言わせてもらうけど」
ジャンヌは、そう言って息を吸って、吐いた。
「シリウスさん、アースさん、ファッションデザインのこと、ちゃんと私に教えて欲しい!」
シリウスは、それを聞いてびっくりした。
「なんで?」
聞き返すので、ジャンヌは椅子を自分で直してそこに座った。
「ずっと前から、シリウスさんとアースさんの服のセンスの良さは気になってた。クロヴィスのデザインしたブーケとか見ても、すごいと思った。でも私に向いているのは花を育てることじゃない。だったら、あんたたちからデザイン学んで、少しでも自分の目標叶えたい」
「目標?」
今度はエリクが聞き返すので、ジャンヌは頷いて答えた。
「私、男性用の服のデザイナーになりたいんだ。せっかくここに長身細身の良いモデルが二人もいるんだから、この際被服の勉強しながらここで自分のスタイルを完成させたい。まえさ、レストランをやった時、みんなで作ったコスチュームをアースさんが着こなしていて、その時に思ったんだ。私のやりたいのはこれだって。服は、人を魅力的に見せるだけじゃない。その時その人にふさわしいシチュエーションをきちんと教えてくれるんだって。それを演出できるなら私はデザイナーになってそれをやる。こんなに素敵なことはないよ。あれから一応、リゼットやクロヴィスに字を教わりながらデザイナーの本を読んだよ。難しいけど、やりたい」
すると、アースが少しだけ笑って、ジャンヌを見た。
「心を打つ動機ではないが、信用はできる。暇ではないから付き合える時間は少ない。それでもよければ教えよう」
すると、ジャンヌの顔が急に明るくなった。
アースの隣にいたエリクが立ち上がってジャンヌの両手を握りしめた。
「よかったね、ジャンヌ! これからはシリウスさんのお店に通って、服の勉強だね! 僕もなるべくアースさんを連れて行くからね!」
「うん、うん!」
ジャンヌは、そう言いながら涙を流した。
一方、クロヴィスは、ナリアとセベルのところにいた。すでに夫婦関係にあるこの二人のことをもっと知りたかったからだ。
「わたくし達の関係は、あまりあなた方の役には立たないかもしれませんよ」
ナリアは、ワインを飲んでいて、少し気分が良くなっていた。だが、セベルとの関係の秘密は話してはくれなかった。
「俺たちは子供を作らないことを誓い合った夫婦だからな。師匠と、地球の月のシリンであるフォーラさんとの関係の方が参考になるかもしれない。あそこには二人、子供がいるからね」
セベルはそういうと、ビールを仰いだ。少し酔っているがまだ言動は正常だ。
「アヒムさんたちはどうでしょうか」
ナリアは、そう言って、一家で楽しそうに食事をしながら他の人たちと話しているアヒムを見た。今、アヒムはジャンヌやエリクたちのところで赤ちゃんを見せている。
その姿を見て、何を思ったのか、ナリアがクロヴィスを呼んだ。
「少し、寂しくなってきました」
そう言って、ナリアは席を離れた。
そして、皆から離れた場所まで歩いていくと、よく晴れた空を見上げて、深呼吸をした。
「人といる時の方が、より寂しさを感じる。そう言う時があるでしょう」
そう言って、ナリアはクロヴィスを見た。そして、ジャンヌの方へ行くように促した。
そして、そこにセベルと二人だけで残ると、静かにワインに口をつけた。
クロヴィスは、ジャンヌのいる場所に行くと、彼女のこれからの目標を彼女の口から直接聞いた。そして、嬉しい気持ちになって、つい、ジャンヌを抱きしめてしまった。
みんなが拍手をし、リゼットとシリウスがからかってくる。
リゼットは、シリウスと一緒にジャンヌをからかって、ふと、そんな自分の行動に顔を赤らめた。
「シリウスさん、か」
リゼットは、クロヴィスをからかうシリウスを見て、少し寂しい気持ちになった。そして、その自分の気持ちがどこからくるのかを知って、また赤くなった。急いでシリウスから目を逸らす。
「おバカなリゼット」
リゼットはそう言ってため息をつき、苦笑したままみんなの中に入って行った。
それを、遠くで見ていたエルヴィールとエーテリエが、みんなの中に入ってくる。会場に、バラの花びらが舞った。
結婚式の昼が暮れて、夕方になっていく。
宴は夜の初めまで続いた。夕食が出され、皆が満足すると、最後はみんなで会場を片付けた。
手作りの、家族だけの結婚式は、こうして幕を閉じた。
そして、その一ヶ月後、アヒムの家族が、村へ帰った。
三人の家族で来て四人の家族で帰る。彼らともまた、長い付き合いだった。
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「卵はできるだけ日陰で保管してね」
エーテリエはそう言うと、卵がたくさん入った包みをアヒムに渡した。彼らがここに来た時に乗ってきた幌馬車を手入れしたり、馬の世話をしたりしていたのもエーテリエだ。
「それじゃあ、行ってらっしゃい」
エーテリエは、そう言ってアヒムたちを送り出した。
「行ってきます!」
アヒムたちは、そう言って帰っていった。
天気の良い日、それは、広く、どこまでも続く青い空を眺められる、そんな爽やかな日。
エリクは、リゼットは、ジャンヌは、クロヴィスは、セリーヌは、そして、彼らをできる限りの時間を使って見守ると決めた旅人たちは、ここから、新しい人生の旅路を歩んでいこうとしていた。
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