森のスープレストラン

るりさん

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2、ヴィシソワーズ

少年の秘密

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 受け取った銅貨を持ってキッチンの奥にある会計所まで行くと、店主は領収書を持ってきて少年に渡した。
「前払いでお代はいただいたよ。さあ、座って。君のような少年なら森の奥が見渡せる席がいいね」
 そう言って、開いた窓の先に泉の見える席に少年を案内した。
「おじさんは、僕がなんで家出したのか、聞かないの?」
 少年は、じっと窓の外の泉を見つめながらそう聞いてきた。見ると、少し物寂しそうな顔をしている。まだ七つか八つくらいだろう。だがその少年はその大人びた表情で、少し年齢より上の印象を店主に与えた。
 店主は、不思議なことにそれに動じることはなかった。自分でもおかしいと思うが、この少年とはここで初めて会った気がしない。そう思えていた。
「そういうのはね、警察の仕事なんだ。おじさんはコックさんだからね。美味しいものをお客さんに出して、満足して帰っていただく、それが仕事さ」
 店主がそう答えると、少年はまだ寂しそうにしていたが、少しだけ笑って店主を見た。
「僕は、真実が見えるんだよ。映画を見ているときみたいにはっきりと、その場の真実が見えて嘘が明るみに出てしまう。それを周りの人間が利用するんだ。警察が高いお金を親に払って、僕が真実を見る。そうすると事件が解決するんだ。今まではそう思っていた。でも」
 店主は、少年の言葉を静かに聞いた。少年は、少し真剣な顔で自分の話を聞く店主に安心を覚えたのか、そのまま話を続けた。
「ある日、僕が見つけた真実でトラブルが起きたんだ。それ以来だった。警察は僕の能力をまだ利用しようとしているけど、僕を人間として見なくなった。親も、僕に対する態度が変わった。まるで腫れ物に触るように接してくるんだ。よく喧嘩もするようになったよ。だから、息の詰まるそんな家が嫌になって、出てきてしまったんだ。もう、あんな場所には帰りたくない」
 少年は、そこまで話してふと、店主を見た。すると、驚いた顔をして椅子から立ち上がった。しかし、一瞬の後に顔を赤らめて椅子に座った。
「失礼なことを」
 少年はしょげているだろうか。俯いているため表情はわからない。しかし、店主には少年の考えていることがなんとなく分かった気がした。
「何が見えましたか?」
 店主が問いかけると、少年は俯いたままこう答えた。
「何も、見えなかった。今ここでおじさんと僕がいて、おじさんは料理を作っていて、僕は座っておじさんを見ている。それだけだったんだ」
 少年は乞うような目をして店主を見た。店主はそれを見て、ああ、やはりまだこの少年は子供なのだと感じた。子供なのに変な癖がついて回っているおかげで大人びた言い回しを覚えてしまった。まだ幼いのに、背丈だって店主と同じほどしかないのに。
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