稲妻の契り~生贄に出された娘は雷神様から一途な溺愛を受ける~

cheeery

文字の大きさ
2 / 24

仕組まれた罠

しおりを挟む




「美鈴、天恵継承の式典の準備は出来ているか?」
「もちろんです、お父様」

「ぐれぐれも、体調は万全に整えておくように」
「はい……」
 
私、天王寺美鈴。20歳。
天王寺家に生まれた私は神話守を継ぐ人間として、幼い頃から教養を学び、この村を守ることだけを考えて生きてきた。

神話守というのは、村に天災が起きないよう天の上に住む雷神様と話を出来るもののことで、雷神様と心を通わせることにより、災いや、災害を防ぐ役割をしている。

その役割は女性だけに与えられた大切な役割と言われている。

「お母様、私が必ず村を守って見せます。見ていてくださいね」

2年前まで神話守の役割を務めていたお母様は、流行り病いにかかり亡くなってしまった。

その後を継ぐものとして、私は母──天王寺乙葉から守りの石を託されたのだ。

石を託されたものが、次の神話守になる。
村はではそういう決まりであった。

神話守になったものは神に近い存在として崇められ、称えられる。
いわば村を守る女王のようなものだ。

だからこそ私がしっかりと村の平和を守らなければいけない。

私は守りの石をぎゅうっと握った。

「お母様、村も人も2年間平和に暮らしております。お母様のご加護、ありがとうございます」

この石の効果はあと1年と言われている。
守りの石の効果が切れる前に、次の神話守を決める大事な式典を行うのだ。

未だかつて二十歳にならない者が神話守になった例がないことから、私が20歳になるのを待ってから式典は行われることになった。

その式典が明日に控えている。

わたし……頑張ります。
村に住む人が平和で幸せな生活を送れるように。

すると、私の部屋の扉がガチャっとあいた。

「ま~た石に何か話しかけてる。本当気持ち悪いったらありゃしないわ」

「麗羅……」

彼女の名前は麗羅。
白い肌に吊り上がったネコのような目、装飾品をいくつも付けた派手なドレスを着ている。

彼女は私にとって義理の妹にあたる存在だ。

お母様を無くした後、お父様は再婚し私に新しいお母様と妹がやってきた。

新しいお母様の名前は真澄。

「お姉様ったら……また外の植木に水をやったわね。あんたのせいで足が濡れたってお母様が怒っていたわ」

「お花が枯れておりましたので……」

「ふんっ、花や草なんか放っておけば成長するのよ。それを村にまで行って花に水をやったり田んぼの様子を見て来たり……村人に媚売って……本当、この子は偽善者なんだから」

「そんなつもりは……」

私がうつむいていると、真澄お母様まで私の部屋へ入ってきた。

「本当、あの女とそっくりで媚びることは上手い女だわ。きっと神話守だってお父様に媚を売ってもらった権利に違いないわ」

「そんな言い方やめてください……!お母様は立派な人です!」

真澄お母様と麗羅はわたしのことをあまりよく思っていないらしい。

私ともお父様がいる前でしか食事をしてくれないし、私の履物を隠したり、私の服に泥をかけたりと、二人がくるようになってから、毎日のように嫌がらせをされている。

どうして真澄お母様と麗羅はそんなに私が嫌いなんだろう……。

私は仲良くしたい、のに……。

「まぁいいわ。あとに見てないさい、お姉様」

麗羅と真澄お母様は私を睨みつけると、部屋から立ち去っていった。

“みんな仲良く平和な村を作りたい”

私の理想はこれだ。
お母様や麗羅に認めてもらえるように努力しないといけない。

もし神話守になって、立派に村を守ることが出来たら私は麗羅や真澄お母様にも認められるかしら……。

地面を見つめながら、私は窓の外を見た。

明日は大事な式典がある。
今日はあまり無理をせずに体調を万全に整えて、明日をむかえないと。

いよいよ私が……神話守になるのだ。
お母様、私ちゃんと頑張りますから……。
 
翌朝。
まだ朝露が葉を潤す薄明の中、私は目を覚ました。

ぼんやりとした意識の中、指先で髪をすくい上げ、クシを手に取る。

鏡に映る自分の姿を静かに見つめながら、自分の黒髪を慎重に梳かして心を落ち着かせる。

いよいよ今日が大事な式典の日。
からっと晴れたお日様の日差しを浴びながら、息を吸い込む。

体調もいい。
今日は特別な日になるだろう。
 
部屋を出て食堂に足を運ぶと、いつもとは違う空気が漂っていることに気がついた。

従者たちが忙しなく動き回り、普段よりも賑やかな朝の風景がそこには広がっていた。

「おはようございます」

「おはようございます。美鈴様」

食堂にいる者たちが一斉にこちらを向き、丁寧に頭を下げる。

「よく眠れたか、美鈴」

「お父様……もちろんです」

「体調はどうだ?気になるところはないか?」

「はい。万全です」

食堂にはすでにお父様が座っており、机には豪勢な食事が並べられていた。

白いご飯、香り立つ味噌汁、贅沢な肉や魚料理、そして色とりどりのフルーツ。

「まぁ……こんなに」

朝からこんなに豪勢な食事が並べられることはめったにない。

「当然だ、今日は大事な式典なのだからな」

私は父に促され、イスへと座った。
すると奥の部屋から麗羅とお母様がやってきた。

「おはようございます」

挨拶をしても無視される。

「おはよう、パパ」
「おはよう」

しかし、お母様と麗羅はイスへと座った。

いつも私と一緒の食事を嫌がるお義母様と麗羅。
今日は何も言わずわたしの隣の席へと腰をおろした。

「お姉様、いよいよ今日ですわね。麗羅応援しておりますのよ」

「えっ」

麗羅が言葉をかけてくれる。
その微笑みは、普段の彼女からは想像もつかない。

「ありがとう麗羅……」

麗羅も今日は優しい言葉をかけてくれるのね。

なんだか応援してくれているようで嬉しかった。

「今日は大事な娘の継承祭ですものね。美鈴、しっかり食べるのよ」

「真澄お母様……ありがとうございます」

「はい、お茶もどうぞ」

お母様も麗羅も優しい……。

私がしっかりと神話守の役割をまっとうできれば、家族の仲は改善されるかもしれない。

「はい……!」

私は元気に返事をした。
 
食事を終えると、少し時間を置いてからいよいよ式典は始まった。

薄暮の中、村の中央に設けられた広場には、既に多くの村人が集まっていた。
赤々と燃え上がる松明の炎が、広場の中央に立つ私の影を揺らしている。

私は白い式服に身を包み、髪を丁寧に結い上げまっすぐに前を見つめた。

「おお、お美しい……」

「ここまで若い神話守は初めてだが大丈夫だろうか?」

「乙葉様の娘なんだ。きっとよくやってくれるに違いない」

 祈りの眼差しが私に注がれている。

彼らは信じている——。
神話守が村を守り、災厄を遠ざけ、そして恵みをもたらすのだと。

だから村をしっかりと守らなければならない。

「神話守、天王寺美鈴」

お父様から名前を呼ばれると、和太鼓が鳴り出した。

音が地面を伝って低く響き渡る。
私は目の前に敷かれた神聖な赤い布の上に足を踏み出した。

一歩、また一歩とゆっくりと足を踏み出す。

周囲の村人たちが静かに息を潜め、私を見守っている。

やがて炎が揺らめいている大きな石のある前までやってきた。

その中央には、大きく、神秘的な力を感じさせる石の台座が厳かな光に包まれていた。

「それではこの守りの石をここへお納めください」

ここに守りの石をあずけ、そして名前を呼ばれることで神話守となることが確定する。

あとは、この石を置くだけ……。

置くだけなのに、なんだろう。
緊張感からか、なんだか身体が重い……。

「はぁ……っ、はぁ」

胸が締め付けられ、息がうまく吸えない。
手に持っている石は異常に冷たく感じた。

私が神話守になって村を守るの。

ちゃんと、やらなきゃ。
深く息を吸い込み立て直そうとするが、手足が震えて足元がふらつく。

あれ、どうして……。
額に浮かんだ汗が、しずくとなって頬を伝い、あごから地面へと落ちる。

台座に守りの石を置こうとしたその瞬間。

「……っ、」

「ウソだろ、倒れたぞ!?」
「美鈴様が倒れたぞ!」

目の前が歪み、私は意識を失った──。
 
「ん……」

目を覚ますと、私は硬い布団の上に横たわっていた。

「……はっ」

薄暗い部屋には湿気が漂い、窓の外からわずかに射し込む朝の光が、埃の舞う空間を淡く照らしている。

私は勢いよく起きあがり、辺りを見渡した。

式典は、どうなった……!?
頭が混乱する中、飛び起きたためかズキンと頭が脈を打った。

そして部屋の襖が静かに開く。
そこに入ってきたのはお父様だった。

「お父様、私は……」

お父様は私を蔑んだ目で見る。
心臓が嫌な音を立てていた。

そして言い放った。

「お前には失望した」
「……っ!」

「式典中に気を失うなんて前代未聞だ。雷神様がお前を神守者として認めていないと民たちが騒いで暴動が起きてる」

「違うんです!式典の前は万全だったのに、急に体調が悪くなって……」

何が起きたのか、自分でも分からない。
式典の前は身体に異常はなかったのに、突然身体が言うことを聞かなくなった。

「お前の慢心の結果だ。お前だって分かっているだろう?天恵継承の式典が成功しなければ、神が認めていない証だと」

「待ってください……っ、本当に体調が悪くなっただけなんです!」

「天恵継承の式典は失敗。お前は後継者の座から降りてもらう」

「そんな……っ。お願いします。もう一度やらせてください」

私は膝をついて頼み込む。
しかし、お父様は私に目をくれず吐き捨てた。

「今後の処遇は真澄と相談して決める」

そしてそのまま立ち去ってしまった。

そんな……。
お母様から譲り受けた大切な役割なのに……。

呆然としたまま床に崩れ落ちる。

あの時倒れなければ、苦しくならなければこんなことが起きなかったのに……。

どうしてこんなことが起きてしまったの。
すると、麗羅が代わりにやってきて笑い声をあげた。

「あはははは。無様なお姉様。天恵継承の失敗なんて今まで例にないのに、よほど雷神様に嫌われてるみたいね?」

唇を噛みしめる私。
何も言うことはできない。

どうして……どうしてこんなことが起きてしまったの。

「突然、胸が苦しくなったの。頭が痛くて立っていられなくなったの。何かがおかしいわ……」

「そうね。普通ならおかしいかも。でも普通じゃなかったとしたら?」

私がばっと顔をあけると、麗羅はポケットからあるものを取りだした。

それは、ピンク色の小さな花が房状に咲いている植物で、名前はアケビ。毒がある植物だ。

「麗羅それを、どうしたの……」

「これね、お姉様が飲むお茶に紛れさせたの。効き目があるか心配だったけど、ちゃーんと聞いてくれて助かった」

それを聞いた瞬間、体が凍りついた。
このアケビは最悪人の命を奪う可能性だってある。

「どうして、そんなこと……」

「決まってるでしょ?私が神話守になるためよ」

そんな……。何を言ってるの……?

「神話守は私がお母様から継ぐはずの大事な役割よ!」

「そう、あの女が次の神話守をあなたに決めた。だからそれを覆すこととは出来なかった。あの女……死んでも尚権力を持つんだもの……」

麗羅はギリギリと小瓶を握りしめた。

「だからね、私たちは考えたのよ。あんたから神話守を奪い取るために出来ることを」

「神話守が欲しいからって私をその毒で殺そうとしたんですか!?」

「まぁ……最悪死ぬかもしれないけど、別に私たちは構わないわ。あんたが死んだらお父様の前では泣いたフリをしてあげる」

「あり、えない……」

地位が欲しいからって、人の命を奪おうとするなんて……。
唇が冷えていって、小さく震える。

どうしてそんなことができるの。

「お陰でお父様が言ってくれてたわ。神話守は私に受け継ぐことにするって」

「ダメよ!神話守は私がお母様から任された大事な役割よ!それを奪わないで……っ!今からでもいい、毒を盛ってしまったんだとみんなに伝えて。私はあなたを責めるようなことはしないわ!」

私が必死に頼み込むと麗羅はクスっと笑った。

「なんのために?」

「そ、それは……」

麗羅にメリットはない。

「こんなこと……人として、してはいけないことです」

強く伝えると、麗羅が怒った顔をして私の髪を掴みあげた。

「うるさいんだよ、お前は大人しく私に従ってればいい。私に命令するな」

低い声で言い放ち、睨みつける。
ゾクっと背後から恐怖が沸き上がる。

でもここで諦めてしまったら、死んだお母様が浮かばれない。

「お願いよ……!お願い、麗羅」

私は麗羅の手を掴んだ。
するとその時。

「きゃあっ!」

麗羅は大きな声をあげ、大げさにドンっと後ろに尻餅をついた。

麗、羅……?
驚いていると、涙をためながら嘆きはじめた。

「痛い……っ。やめて!!お願いよ。お姉様」

麗羅が急に騒ぎ始める。

な、なに……。

「叩かないで……っ、ごめんなさい、ごめんなさい」

麗蘭は急に頭を手で隠すようにうずくまった。

「麗羅、何して……」

するとお母様までやってきて声を荒げる。

「まぁ!何をしてるの!?」
「違うんです……私は何も」

「お姉様が私のことを突き飛ばして何度も何度も叩いてきたの」

騒ぎを聞きつけたお父様も後から部屋にやってきた。

「何があったんだ!」

怒った表情のお父様がやってくると、麗羅はお父様に抱きついた。

「神話守は私に決まったって伝えたら、お姉様がお前にはふさわしくない。辞退しろって……叩き続けたの」

涙を見せながらお父様の同情を誘う。

「美鈴」

お父様の厳格な声が響き、私はびくりと身体を揺らした。

「違います。叩くなんてそんなこと……していません」

「図々しいやつめ。お前が継承の式典を失敗させたから、代理を立てるしかなくなったんだろうが!今お前が村の人からなんと言われてるのか知っているのか?出来底ない、愚図……。お前のふるまいのせいで俺らの品格まで問われる始末だ。そんな中、麗羅が神話守を引き受けると言ってくれたんだ。少しは感謝したらどうだ?」

「そん、な……」

毒をもられなきゃ、しっかりと儀式は成功した。
毒を持ったのは目の前にいる麗羅なのに……。

全てお父様に伝えたかった。

しかし、お父様の蔑むような眼差しが、もうどんなことを言おうとも信じてくれないことを物語っていた。

「お前はもう村人の前に出ないように奥屋で暮らしてもらう」

「そんな……っ、あそこは家畜の飼育部屋ではありませんか……っ」

「当然だろう。それほど神聖な儀式を汚したのだ。安心しろ。食事は運ぶよう命令する」

父はそう伝えると、従者に伝え私を連行した。

「お父様……考え直してくださいませ……っ」

必死に頼み込む私を見て、真澄お母様と麗羅はニヤリと笑っていた。

「お父様……!」
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました

日下奈緒
恋愛
そばかす令嬢クラリスは、家族に支度金目当てで成り上がり伯爵セドリックに嫁がされる。 だが彼に溺愛され家は再興。 見下していた美貌の妹リリアナは婚約破棄される。

【完結】氷狼魔術師長様と私の、甘い契約結婚~実は溺愛されていたなんて聞いていません!~

雨宮羽那
恋愛
 魔術国家アステリエで事務官として働くセレフィアは、義理の家族に給料を奪われ、婚期を逃した厄介者として扱われていた。  そんなある日、上司である魔術師長・シリウスが事務室へやってきて、「私と結婚してください」と言い放った!  詳しく話を聞けば、どうやらシリウスにも事情があるようで、契約結婚の話を持ちかけられる。  家から抜け出るきっかけだと、シリウスとの結婚を決意するセレフィア。  同居生活が始まるが、シリウスはなぜかしれっとセレフィアを甘やかしてくる!? 「これは契約結婚のはずですよね!?」  ……一方セレフィアがいなくなった義理の家族は、徐々に狂い始めて……? ◇◇◇◇  恋愛小説大賞に応募しています。  お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます( . .)"  モチベになるので良ければ応援していただけると嬉しいです! ※この作品は「小説家になろう」様にも掲載しております。 ※表紙はAIイラストです。文字入れは「装丁カフェ」様を使用しております。 ※小説内容にはAI不使用です。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

崖からポイ捨てされた不運令嬢ですが、銀髪イケメン竜王に『最愛の伴侶』としてスカウトされました!

有賀冬馬
恋愛
不作も天災も、全部わたしのせい!? 「不運な女」と虐げられ、生贄として崖から捨てられたわたし、ミラ。 でも、落ちた先で待っていたのは、まぶしいほど綺麗な銀髪の竜王・アルベルト様でした! 「君がいたから、この国は守られていたんだよ」 えっ、わたしって実はすごい聖女だったの!? 竜宮城で贅沢三昧&溺愛生活スタート! そんな中、わたしを捨てて大ピンチになった元婚約者が「ミラ、戻ってきて!」と泣きついてきて……。

見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ

しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”―― 今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。 そして隣国の国王まで参戦!? 史上最大の婿取り争奪戦が始まる。 リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。 理由はただひとつ。 > 「幼すぎて才能がない」 ――だが、それは歴史に残る大失策となる。 成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。 灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶…… 彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。 その名声を聞きつけ、王家はざわついた。 「セリカに婿を取らせる」 父であるディオール公爵がそう発表した瞬間―― なんと、三人の王子が同時に立候補。 ・冷静沈着な第一王子アコード ・誠実温和な第二王子セドリック ・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック 王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、 王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。 しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。 セリカの名声は国境を越え、 ついには隣国の―― 国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。 「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?  そんな逸材、逃す手はない!」 国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。 当の本人であるセリカはというと―― 「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」 王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。 しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。 これは―― 婚約破棄された天才令嬢が、 王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら 自由奔放に世界を変えてしまう物語。

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。

婚約破棄された堅物令嬢ですが、鬼の騎士団長の娘として宮廷の陰謀を暴くのに忙しいので、美貌のカストラート(実は王子)に溺愛される暇はありません

綾森れん
恋愛
「お前のような真面目くさった女はいらない。婚約は破棄させてもらう!」 婚約者だった公爵令息に冷酷に言い放たれたリラ・プリマヴェーラ。 だが、彼女の心にあったのは悲しみではなく―― 十年前の王族暗殺事件を調査したいという情熱だった。 伯爵令嬢であるリラは、鉄の掟を守る『鬼の騎士団長』の娘。 彼女には恋よりも何よりも優先すべき使命があった。それは、十年前に幼い王子が暗殺された事件の真相を暴き、父を、そして王国を陰謀から救うこと。 婚約破棄直後、彼女の前に現れたのは、天使の歌声を持つ美貌のカストラート(去勢歌手)、アルカンジェロだった。 彼が十年前の事件について密かに調べていることを、リラは知ってしまう。 真相を探るため、リラは彼を自分の音楽教師として迎え入れ、距離を縮めていく。 事件解決の協力者として彼と接するうち、リラは謎めいたアルカンジェロに危機を救われることになる。 しかし、リラは知らない。 アルカンジェロの正体が、十年前に暗殺されたはずの第三王子であることを。 そして彼にとってリラこそが、初恋の女性であることを。 彼は十年間、密かにリラを想い続けていたのだ。 王位を狙う者たちから身を隠すため、声楽の技術を駆使して、教会歌手として大聖堂で生き延びてきたアルカンジェロだったが、王家を巡る不穏な陰謀が静かに動き始めていた。 捜査に猪突猛進な堅物令嬢と、彼女を影から支え執着を見せる、カストラート歌手のふりをした王子。 宮廷の闇を切り裂く二人の恋と事件の行方は――? ※本作は、過去に投稿していた『真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています』の設定・キャラクター・構成を大幅に改稿し、新作として再構成したものです。 物語の結末やキャラクターの掘り下げを強化しておりますので、初めての方も、以前お読みいただいた方もお楽しみいただけます。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

処理中です...