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26.心強いです
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「遙様?ご無事ですか?」あまりにも長湯だった所為で心配したのか、外からカレンが呼んでいる。其の声に我に返ると慌てて浴室を出た。
「御免なさい、つい長湯してしまいました」待ち構えていた彼に身体を拭いて貰い、髪を乾かし新しい衣まで着せてくれて、至れり尽くせりだ。
「先程王子様がいらしたかと思いますが、平気でしたか?」心配そうに彼が見つめてくる。俺は悟られない様に笑顔で頷いて見せた。
「とても気さくな方でつい話し込んでしまって…其れでつい長湯してしまいました。とても良い人ですね」俺が言うと、尚心配そうに見つめてくる。
「本当に何も有りませんでしたか?随分とご立腹な様子だったので…」完全に何かあったと疑ってきている。何でも頼れと言われたし、彼に嘘を吐くのは難しいと判断し、俺は事の経緯を話した。
「成程…教えて頂き有難う御座います。隠し事をしないというご判断、とても嬉しく思います。うーん…きっと王子様は痕を見て嫉妬なさってるんではないかと」彼は少し何か考える素振りを見せると、唸る様に告げた。フレイアが嫉妬?
まさかそんな事ある訳が無い。だって、未だ会って1時間も経ってない様な関係性だし。
「あの方は直ぐに感情が表に出るお方ですので、分かり易いんですよ。嫉妬に間違いありません。其れより遙様、此方の衣装もお似合いですね。白い透き通る様な肌に映える茜色で、とても素敵です」確かに彼の言う通りフレイアは顔に出易いのかもしれない。
てか今回の服、少し派手だな…普段着でもこんな色選ばないって。スタイルはアラビアとかのワンピースみたいなそんな感じ。ズボンの方が楽だし履き慣れてるんだけどな…
「でも誤解は解きたいです。フレイアさんのお部屋に直接伺ったらご迷惑でしょうか…ふふ、カレンさんは俺専属のスタイリストさんみたい」彼を見つめると彼は優しく微笑んでくれた。
「其れはそうとして、例え其れが王様からのの印じゃ無いとしても、あの方が妬く事に変わりは無いと思いますけどね。迷惑では無いと思いますが、誰もあの人には近寄らないので、あまりお勧めはしません。其のすたいりすと…とは何でしょうか?異世界の言葉ですか?」そうか、フレイアは周りにあまり良く思われてないとか言ってたから、部屋を訪れる人も居ないのか。何だか可哀想な人だな。
つかスタイリストってこっちじゃ通じないのか、気を付けないと。
「ましてやシャインさんにされたとは口が裂けても申し上げられませんね。お部屋が駄目だとしたら、他に何処かで会えるタイミング…じゃなくて、会える機会って有りますかね?えっと、スタイリストというのは洋服などの身なりを整えて下さる方の事ですね」危うくまたタイミング、だなんて通じそうに無い言葉を使う所だった。
「そんな事を言ってしまったらあの方もシャイン様に何をするか分かりませんよ。そうですね…あの方はよく稽古場でお稽古をされてますね。後は必ず決まった時間に湯浴みをなさるのと、食事は王族で揃って召し上がられてます。ふふ、では私は遙様だけのすたいりすとです」うん、確かにフレイアは頭に血が上ったら直ぐに行動しちゃいそう。となると…稽古、風呂、食事のタイミングで会えるって事か。
「事を大きくはしたくないので言えませんね…教えて頂き有難う御座います。では、稽古やお風呂の邪魔をする訳にもいきませんので、食後に話し掛けてみます。はい、とても素敵なスタイリストさんで嬉しいです」此の痕を付けたのは王様じゃないって言いたいけど、言ったら誰に?ってなって問い詰められそうだよな…其れは其れで困るか。
でも勘違いされた侭なのも嫌だし、折角仲良くなれそうだと思ったのに変な関係の侭過ごすのも嫌だもんな。
「何かあったら必ず私がお守りするので、遙様のしたい様に行動なさってください。私は何時でも貴方様の味方ですよ」優しく両手を握りながら微笑む彼の表情に、心が温かくなる。此の人は本当に優しくて良い人。
「カレンさん…有難う御座います。とても心強いです」真っ直ぐ見つめながら言うと、彼は更に笑みを深めた。
大丈夫、俺には常にカレンが居てくれる。分からない事だらけの世界だけど、少しずつ前を向いて歩いていかなきゃ。其の為にも今なすべき事をやろう。
「遙様、夕食の時間迄未だ少し時間が有りますし、場内の案内がてらお散歩しませんか?」彼が小首を傾げて俺を見つめる。
「…!是非お願いします」今後は此のお城で過ごす事になるだろうし、色々知っておかなければ。
お城とかちょっとわくわくする。彼の提案に俺は大きく何度も頷いた。
「御免なさい、つい長湯してしまいました」待ち構えていた彼に身体を拭いて貰い、髪を乾かし新しい衣まで着せてくれて、至れり尽くせりだ。
「先程王子様がいらしたかと思いますが、平気でしたか?」心配そうに彼が見つめてくる。俺は悟られない様に笑顔で頷いて見せた。
「とても気さくな方でつい話し込んでしまって…其れでつい長湯してしまいました。とても良い人ですね」俺が言うと、尚心配そうに見つめてくる。
「本当に何も有りませんでしたか?随分とご立腹な様子だったので…」完全に何かあったと疑ってきている。何でも頼れと言われたし、彼に嘘を吐くのは難しいと判断し、俺は事の経緯を話した。
「成程…教えて頂き有難う御座います。隠し事をしないというご判断、とても嬉しく思います。うーん…きっと王子様は痕を見て嫉妬なさってるんではないかと」彼は少し何か考える素振りを見せると、唸る様に告げた。フレイアが嫉妬?
まさかそんな事ある訳が無い。だって、未だ会って1時間も経ってない様な関係性だし。
「あの方は直ぐに感情が表に出るお方ですので、分かり易いんですよ。嫉妬に間違いありません。其れより遙様、此方の衣装もお似合いですね。白い透き通る様な肌に映える茜色で、とても素敵です」確かに彼の言う通りフレイアは顔に出易いのかもしれない。
てか今回の服、少し派手だな…普段着でもこんな色選ばないって。スタイルはアラビアとかのワンピースみたいなそんな感じ。ズボンの方が楽だし履き慣れてるんだけどな…
「でも誤解は解きたいです。フレイアさんのお部屋に直接伺ったらご迷惑でしょうか…ふふ、カレンさんは俺専属のスタイリストさんみたい」彼を見つめると彼は優しく微笑んでくれた。
「其れはそうとして、例え其れが王様からのの印じゃ無いとしても、あの方が妬く事に変わりは無いと思いますけどね。迷惑では無いと思いますが、誰もあの人には近寄らないので、あまりお勧めはしません。其のすたいりすと…とは何でしょうか?異世界の言葉ですか?」そうか、フレイアは周りにあまり良く思われてないとか言ってたから、部屋を訪れる人も居ないのか。何だか可哀想な人だな。
つかスタイリストってこっちじゃ通じないのか、気を付けないと。
「ましてやシャインさんにされたとは口が裂けても申し上げられませんね。お部屋が駄目だとしたら、他に何処かで会えるタイミング…じゃなくて、会える機会って有りますかね?えっと、スタイリストというのは洋服などの身なりを整えて下さる方の事ですね」危うくまたタイミング、だなんて通じそうに無い言葉を使う所だった。
「そんな事を言ってしまったらあの方もシャイン様に何をするか分かりませんよ。そうですね…あの方はよく稽古場でお稽古をされてますね。後は必ず決まった時間に湯浴みをなさるのと、食事は王族で揃って召し上がられてます。ふふ、では私は遙様だけのすたいりすとです」うん、確かにフレイアは頭に血が上ったら直ぐに行動しちゃいそう。となると…稽古、風呂、食事のタイミングで会えるって事か。
「事を大きくはしたくないので言えませんね…教えて頂き有難う御座います。では、稽古やお風呂の邪魔をする訳にもいきませんので、食後に話し掛けてみます。はい、とても素敵なスタイリストさんで嬉しいです」此の痕を付けたのは王様じゃないって言いたいけど、言ったら誰に?ってなって問い詰められそうだよな…其れは其れで困るか。
でも勘違いされた侭なのも嫌だし、折角仲良くなれそうだと思ったのに変な関係の侭過ごすのも嫌だもんな。
「何かあったら必ず私がお守りするので、遙様のしたい様に行動なさってください。私は何時でも貴方様の味方ですよ」優しく両手を握りながら微笑む彼の表情に、心が温かくなる。此の人は本当に優しくて良い人。
「カレンさん…有難う御座います。とても心強いです」真っ直ぐ見つめながら言うと、彼は更に笑みを深めた。
大丈夫、俺には常にカレンが居てくれる。分からない事だらけの世界だけど、少しずつ前を向いて歩いていかなきゃ。其の為にも今なすべき事をやろう。
「遙様、夕食の時間迄未だ少し時間が有りますし、場内の案内がてらお散歩しませんか?」彼が小首を傾げて俺を見つめる。
「…!是非お願いします」今後は此のお城で過ごす事になるだろうし、色々知っておかなければ。
お城とかちょっとわくわくする。彼の提案に俺は大きく何度も頷いた。
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