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30.失礼します
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「では、そろそろ王子様の所へ参りましょうか」カレンが告げると、俺は小さく頷いた。
彼に案内され俺はフレイアの部屋の前に辿り着いた。部屋をノックすると、入る様に声が掛かる。
「失礼します…フレイアさん、突然のお願い聞いて頂いて有難う御座います」扉を開け中へ入ると、彼はけらけらと笑った。
「何も感謝される事はして無ぇだろうが。お前が部屋に来たのは何となく想像出来る。あの風呂での出来事に対してだろ?」何だ、お見通しだったのか。俺は彼の言葉に素直に頷いた。
「はい、お察しの通りです。俺フレイアさんの事怒らせちゃったかと思って。其れで謝りに伺いました」俺が見つめると、彼はバツが悪そうな表情になり、そして己の頭をくしゃっとかいた。
「あー、俺の方が悪かったよアレは。お前の其の話聞いたら何かこうイライラしちまってよ。急に態度変えてお前を悩ませて悪かった」と言うと彼はしゅん、となりながら俺に頭を下げる。
「そんな!謝らないでください。俺が悪いんですよ、気分を悪くさせてしまったんですから。後、謝りたいっていうのもそうなんですけど誤解も解きたくて…あの時フレイアさんは王様にされたのかと仰っていましたが、此れは王様からでは無いんです」あわあわとしながら俺が必死に告げると、彼はじっと俺を見つめながら微かに首を傾げた。
「兄貴からされたんじゃ無ぇのか?じゃあ誰から?」やっぱ此の質問が来たか。
「其れは、言えないですけど…でも兎に角王様からでは無いです」煮え切らない答えをするも彼は少し安心したのか、表情を和らげた。
「そうか、兄貴からじゃ無かったか…誰からされたのか気になるが、まぁ兄貴じゃ無ぇなら良いか。…まさか、カレン?」真相が知りたいのか、想像以上に詰め寄ってくる。いつの間にか、俺と彼の距離は1m以内となっている。
「カレンさんでも無いです」ふるりと首を横に振ると、彼は考え込んでしまう。
「他に接点のある奴なんて居るか?まぁ良いか。答え難い質問して悪かった。此れから兄貴の所行くんだろ?」此れ以上は俺から聞けないと悟ったのか、彼はあっさりと身を引いたり。
「いえ、俺もはっきりお答え出来なくてすみません。はい、王様の所に伺います」小さく頭を下げると、彼はわしゃりと俺の頭を撫でた。
「謝るなって。野暮な事聞いて悪かった。なぁ、俺が兄貴の所に行くなって言ったらお前は行かないか?」急に真剣な表情に変わると、彼が真っ直ぐ見つめてくる。
「いえ、とんでもないです。えっと…約束している事を破る事は出来ませんので行きます」少し困った様に眉根を下げながら見つめ返すと、彼は少し悲しげな表情を見せた。
「噫、そうだよな。王との約束破る訳にはいか無ぇもんな。でもお前、彼奴に何されるか分かってんのか?」彼の質問に俺はゆるりと首を傾げた。
「王様だから破らないとかじゃ無いですよ。相手が王様だろうと誰だろうと約束は破りません。えっと、呼ばれたので何かお話が有るのではないかと考えてますが…」俺の返答を聞くと、彼はまたけらけらと笑った。
「成程な。お前は律儀な奴なんだな。はぁ…やっぱり分かって無かったか。兄貴はお前に印付けるつもりだぜ?」やれやれ、とでも言わんばかりに彼は盛大に溜息を吐いた。
「律儀というか…自分にとっては当たり前の事ですよ。え…印ってまさか…」印ってまさか、シャインに付けられた物と同じ意味のあの印か?
「そういうお前の律儀で真っ直ぐな所嫌いじゃ無いぜ。恐らくお前が思い描いてる印で間違い無ぇ。自ら付けて貰いに行く様なもんなんだぜ?」彼の言う通り自分から付けに貰いに行く様なもんだ。うわ、何其れ恥ずかしい。
「ふふ、嬉しいです。俺も素直で明るいフレイアさんの事好ましく思います。わ…其れ恥ずかし過ぎます…」想像しただけで顔が熱くなる。やばい、今顔赤いかも。
「…お前、期待させる様な事言うなよな。つかお前鈍感過ぎだろ」彼は俺を見つめると直ぐに視線を逸らした。
「期待…?俺、鈍感、なんですかね」少し困惑した様な表情で見つめると彼はふるりと首を横に振り、そして俺の頭をくしゃりと撫でた。
「何でも無ぇ。ほら、時間無いだろ?兄貴の所早く行けよ」撫でる手を止めると彼は寂しげに俺を見つめた。
「…はい。急なお願いだったのにお時間作って頂いて有難うございました」俺は小さく頷くと、後ろ髪引かれる思いで部屋を後にした。何であんなに寂しそうな顔をしたんだろう。
彼に案内され俺はフレイアの部屋の前に辿り着いた。部屋をノックすると、入る様に声が掛かる。
「失礼します…フレイアさん、突然のお願い聞いて頂いて有難う御座います」扉を開け中へ入ると、彼はけらけらと笑った。
「何も感謝される事はして無ぇだろうが。お前が部屋に来たのは何となく想像出来る。あの風呂での出来事に対してだろ?」何だ、お見通しだったのか。俺は彼の言葉に素直に頷いた。
「はい、お察しの通りです。俺フレイアさんの事怒らせちゃったかと思って。其れで謝りに伺いました」俺が見つめると、彼はバツが悪そうな表情になり、そして己の頭をくしゃっとかいた。
「あー、俺の方が悪かったよアレは。お前の其の話聞いたら何かこうイライラしちまってよ。急に態度変えてお前を悩ませて悪かった」と言うと彼はしゅん、となりながら俺に頭を下げる。
「そんな!謝らないでください。俺が悪いんですよ、気分を悪くさせてしまったんですから。後、謝りたいっていうのもそうなんですけど誤解も解きたくて…あの時フレイアさんは王様にされたのかと仰っていましたが、此れは王様からでは無いんです」あわあわとしながら俺が必死に告げると、彼はじっと俺を見つめながら微かに首を傾げた。
「兄貴からされたんじゃ無ぇのか?じゃあ誰から?」やっぱ此の質問が来たか。
「其れは、言えないですけど…でも兎に角王様からでは無いです」煮え切らない答えをするも彼は少し安心したのか、表情を和らげた。
「そうか、兄貴からじゃ無かったか…誰からされたのか気になるが、まぁ兄貴じゃ無ぇなら良いか。…まさか、カレン?」真相が知りたいのか、想像以上に詰め寄ってくる。いつの間にか、俺と彼の距離は1m以内となっている。
「カレンさんでも無いです」ふるりと首を横に振ると、彼は考え込んでしまう。
「他に接点のある奴なんて居るか?まぁ良いか。答え難い質問して悪かった。此れから兄貴の所行くんだろ?」此れ以上は俺から聞けないと悟ったのか、彼はあっさりと身を引いたり。
「いえ、俺もはっきりお答え出来なくてすみません。はい、王様の所に伺います」小さく頭を下げると、彼はわしゃりと俺の頭を撫でた。
「謝るなって。野暮な事聞いて悪かった。なぁ、俺が兄貴の所に行くなって言ったらお前は行かないか?」急に真剣な表情に変わると、彼が真っ直ぐ見つめてくる。
「いえ、とんでもないです。えっと…約束している事を破る事は出来ませんので行きます」少し困った様に眉根を下げながら見つめ返すと、彼は少し悲しげな表情を見せた。
「噫、そうだよな。王との約束破る訳にはいか無ぇもんな。でもお前、彼奴に何されるか分かってんのか?」彼の質問に俺はゆるりと首を傾げた。
「王様だから破らないとかじゃ無いですよ。相手が王様だろうと誰だろうと約束は破りません。えっと、呼ばれたので何かお話が有るのではないかと考えてますが…」俺の返答を聞くと、彼はまたけらけらと笑った。
「成程な。お前は律儀な奴なんだな。はぁ…やっぱり分かって無かったか。兄貴はお前に印付けるつもりだぜ?」やれやれ、とでも言わんばかりに彼は盛大に溜息を吐いた。
「律儀というか…自分にとっては当たり前の事ですよ。え…印ってまさか…」印ってまさか、シャインに付けられた物と同じ意味のあの印か?
「そういうお前の律儀で真っ直ぐな所嫌いじゃ無いぜ。恐らくお前が思い描いてる印で間違い無ぇ。自ら付けて貰いに行く様なもんなんだぜ?」彼の言う通り自分から付けに貰いに行く様なもんだ。うわ、何其れ恥ずかしい。
「ふふ、嬉しいです。俺も素直で明るいフレイアさんの事好ましく思います。わ…其れ恥ずかし過ぎます…」想像しただけで顔が熱くなる。やばい、今顔赤いかも。
「…お前、期待させる様な事言うなよな。つかお前鈍感過ぎだろ」彼は俺を見つめると直ぐに視線を逸らした。
「期待…?俺、鈍感、なんですかね」少し困惑した様な表情で見つめると彼はふるりと首を横に振り、そして俺の頭をくしゃりと撫でた。
「何でも無ぇ。ほら、時間無いだろ?兄貴の所早く行けよ」撫でる手を止めると彼は寂しげに俺を見つめた。
「…はい。急なお願いだったのにお時間作って頂いて有難うございました」俺は小さく頷くと、後ろ髪引かれる思いで部屋を後にした。何であんなに寂しそうな顔をしたんだろう。
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