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『MIO -絶対バンド宣言-』エピローグ
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【エピローグ】
蛍光灯に照らされた室内。電話で話す人物。
「もしもし、社長、佐藤です。ええ、無事に終わりました。ミオのハプニングですか?いつも通りメチャクチャでした。お客さんは歌よりそっちが楽しみなんですかね」
佐藤はため息をつく。
「社長。音楽やってる人って変わった人多いですよね?私もそう思ってたんです。スティックとか女の子に平気で突っ込むし、お尻持って楽器にするし。ホントイカレてますよ」
佐藤の笑い声につられ笑う電話の主。
「今日ですか?子供達が吹いてるリコーダーですよ。校長自らズドンって。親たちも拍手で大盛り上がり。校長は“黒い糸”巻いた親指をグッドって立ててましたよ。ホンット、笑えますよね」
電話の笑い声が止まる。
「そう、黒い糸が校長の指から垂れてたんです。私、それで気付いたんですよ。あの糸、剥がれた私の絆創膏に繋がってんじゃんって。社長が提案してくれた絆創膏に」
一瞬で熱を失った佐藤の声は続く。
「私が初めてテレビに出たあの日も黒い糸を見た気がするんですよね。糸の仕掛けもパッケージだったんでしょ?羞恥に震える美少女に狂乱するイカレた客達。クライアントも大喜び。資本主義って最高ですねー」
感情のこもらない乾いた笑い。
「ただね、今日のはちょっと許せなかったんですよ」
声が熱を帯びる。
「校長は自分で教え子を剥いて、颯爽と笛ぶち込んで、自分の演出に酔いしれて泣いてました」
熱く、震える声。
「学校ってさ、正しい大人を造るんじゃないのかよ。教師が率先して女の子辱めて、親も称賛してさ。お前らまでイカレててどうすんだよ」
佐藤の怒りは続く。
「岡山から独りで上京するって時点で腹括ってましたよ。何があろうと絶対のし上がってやるって!だからスケベ社長に絆創膏貼られようが、ステージで弄ばれようがロックに受け止めてきた!
それでも……いつか生まれる子供にはね。優しい世界で生きてほしいって夢があったんです。実際はガン首揃えてキ○ガイばっかでしたけど。私、笑えるほどいたいけでしたね」
言葉から温度が消える。
「私、事務所辞めますから」
電話の声が慌てて取り繕うが佐藤の心には届かない。
「音楽で世界を変える?そんな綺麗事じゃないんだよ。腐りきったこの国を、お前らのルールで変えてやる。女の子を玩具にする社会なんてブッ壊してやる」
気が抜けて口調が軽くなる。
「社長。週刊誌に全部話しますね。世間の注目浴びちゃいますねー。ロックな立ち回り期待してますよー。大丈夫!怪我したら絆創膏貼るヤンス、なーんて」
「じゃー虹野社長、お元気で」
電話口から響く半狂乱の叫びを、佐藤は無視して一方的に終話する。楽屋代わりの教室には静寂が戻った。
かつてミオと呼ばれた美少女は胸の絆創膏を剥がすと拳で握り潰した。震える拳からわずかに血が滲む。その瞳には強い炎が宿っている。
飛び跳ねるように椅子から立ち上がると、その脚は力強く歩を進める。整列した学習机を押しのけ最短距離で出口へ。机が音を立てて倒れるのも気にしない。
教室の扉を両手でこじ開け、佐藤道代は世界へ飛び出した。
MIO -Kinder World-
…【実行:この世の全てに絆創膏】
蛍光灯に照らされた室内。電話で話す人物。
「もしもし、社長、佐藤です。ええ、無事に終わりました。ミオのハプニングですか?いつも通りメチャクチャでした。お客さんは歌よりそっちが楽しみなんですかね」
佐藤はため息をつく。
「社長。音楽やってる人って変わった人多いですよね?私もそう思ってたんです。スティックとか女の子に平気で突っ込むし、お尻持って楽器にするし。ホントイカレてますよ」
佐藤の笑い声につられ笑う電話の主。
「今日ですか?子供達が吹いてるリコーダーですよ。校長自らズドンって。親たちも拍手で大盛り上がり。校長は“黒い糸”巻いた親指をグッドって立ててましたよ。ホンット、笑えますよね」
電話の笑い声が止まる。
「そう、黒い糸が校長の指から垂れてたんです。私、それで気付いたんですよ。あの糸、剥がれた私の絆創膏に繋がってんじゃんって。社長が提案してくれた絆創膏に」
一瞬で熱を失った佐藤の声は続く。
「私が初めてテレビに出たあの日も黒い糸を見た気がするんですよね。糸の仕掛けもパッケージだったんでしょ?羞恥に震える美少女に狂乱するイカレた客達。クライアントも大喜び。資本主義って最高ですねー」
感情のこもらない乾いた笑い。
「ただね、今日のはちょっと許せなかったんですよ」
声が熱を帯びる。
「校長は自分で教え子を剥いて、颯爽と笛ぶち込んで、自分の演出に酔いしれて泣いてました」
熱く、震える声。
「学校ってさ、正しい大人を造るんじゃないのかよ。教師が率先して女の子辱めて、親も称賛してさ。お前らまでイカレててどうすんだよ」
佐藤の怒りは続く。
「岡山から独りで上京するって時点で腹括ってましたよ。何があろうと絶対のし上がってやるって!だからスケベ社長に絆創膏貼られようが、ステージで弄ばれようがロックに受け止めてきた!
それでも……いつか生まれる子供にはね。優しい世界で生きてほしいって夢があったんです。実際はガン首揃えてキ○ガイばっかでしたけど。私、笑えるほどいたいけでしたね」
言葉から温度が消える。
「私、事務所辞めますから」
電話の声が慌てて取り繕うが佐藤の心には届かない。
「音楽で世界を変える?そんな綺麗事じゃないんだよ。腐りきったこの国を、お前らのルールで変えてやる。女の子を玩具にする社会なんてブッ壊してやる」
気が抜けて口調が軽くなる。
「社長。週刊誌に全部話しますね。世間の注目浴びちゃいますねー。ロックな立ち回り期待してますよー。大丈夫!怪我したら絆創膏貼るヤンス、なーんて」
「じゃー虹野社長、お元気で」
電話口から響く半狂乱の叫びを、佐藤は無視して一方的に終話する。楽屋代わりの教室には静寂が戻った。
かつてミオと呼ばれた美少女は胸の絆創膏を剥がすと拳で握り潰した。震える拳からわずかに血が滲む。その瞳には強い炎が宿っている。
飛び跳ねるように椅子から立ち上がると、その脚は力強く歩を進める。整列した学習机を押しのけ最短距離で出口へ。机が音を立てて倒れるのも気にしない。
教室の扉を両手でこじ開け、佐藤道代は世界へ飛び出した。
MIO -Kinder World-
…【実行:この世の全てに絆創膏】
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