鶴乃恩返し

軟体動物タコ

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入学式遅刻。

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 「やばい!」
 俺の名前は菅野並一。
 高校1年生で、今日は入学式。っと、自己紹介はここまで。
 「初日遅刻は主人公っぽいけど、流石に入学式に遅刻はただのバカだ。」
 あれ?ブロック塀の向こうから足音がする。よかった、あの人も遅刻仲間だ。
 もしかしたら女の子で、ぶつかって…… うぉぉぉぉ!
       ダン!
 「いてて。あの、大丈夫です……か……」
 「あら、大丈夫よぉ。」
 ただのババァじゃねぇか!
「は、はは。遅刻するのでさよなら。」
 逃げろ逃げろ逃げろ……

                                     、、、

はぁ、疲れたぁ。もう間に合わないし歩くか。
         バサバサ!
「うおっ!」なんだ今の音。
         バサバサバサ!
 鶴?なんでこんなとこに。っていうか罠にかかってるじゃねぇか!
「待ってろ、今とってやる。」
          ガチャ!
「ほら!もう大丈夫だ!」
           キューキュー! バサバサ!
「はぁ。」あと5分で始まっちまう…… でも、走るか!
 鶴を助けてたって言えばなんとかなるかな?
 なんて、そんなんで許してもらえるわけないよなぁ。
 でも、久しぶりにいいことしたなぁ。 俺が助けなければ、あの鶴は死んでたかもしれない。 
 あの鶴にとって、俺が命の恩人になれたのなら、それだけで遅刻してもいいかなって、思ってしまった。 
 間に合わなくても、とりあえず走るか。

                                      、、、

             ガチャン!
 「え……」
「1年の菅野並一でーす!遅れてすみませーん!」
              ザワ ザワ ザワ……
「入学式に遅刻とか、あいつ何者だよ……」
「えー、皆さん落ち着いてください。えー、茅野先生!あの生徒を。」
「俺かよ……」

「おい!聞いてんのか?」
「すみません。入学式に遅刻だなんて。」
 ほんとにやらかした。高校生活終わったかも。
「はぁ。俺も昔そうだったからさ、次からは気をつけろ!つっても、もう入学式はないけどな。」
「ほんとにすみません。」
「で、なんで遅刻したんだ?」
「朝、寝坊してしまって……」
「寝坊か。人生一度の高校の入学式を無駄にしたな!」
「……」
「まぁ、元気出せ。校長にはなんか言っておくから、じゃあ今度は教室でな。」
 
今日はもう帰りか。
 最初からやらかしちまったなぁ。見た感じ、可愛い女の子も結構いたなぁ。
                バン!
「いてっ!誰だよ!」
「俺だよ、桐野優介だよぉー!」
「優介か、何の用だ?」
 桐野優介。小、中と一緒だった幼なじみで親友だ。
「何の用って、あんなことして何言ってんだよ!」
「ただ、寝坊しただけ。」
「馬鹿だなぁ!そうだ、この後遊びに行っていい?」
「まだ荷物が散らかってるからダメだ。」
 中学の頃住んでたところから電車で4時間以上かかるところに引っ越した。
 優介が親の事情で引っ越すからついて行ったんだ。
 同じ高校に行けて、憧れの一人暮らし。
 これでよかったのかって、今でも思う。
「じゃあ、片付け終わったら行くからな!」
「あぁ。」
                                       
                                       、、、

               カチャカチャ   ガチャ
「久しぶりに1日が長く感じたな。」
 腹減ったし、ラーメンでも食うか。
               ピピピッ  ピピピッ
 3分たったか。最近インスタントしか食ってねぇな。
「ふー、ふー。」何度見ても美味そうなんだよなぁ。
               ピンポーン
「今行きまーす。誰だ?」
 この時、思いもしなかった。これから起こる様々な出来事を。
 高校生活終わったと思っていた俺が、あんな顔して笑ってることを。
                ガチャ
「どちら様で……すか……」
「鶴乃月弎です。いきなりですみませんが、この家に泊めてください!」
「え?あー、はい…… えーーー!」
 



 
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