悪役令息(冤罪)が婿に来た

花車莉咲

文字の大きさ
29 / 55

28.前世の事…再び

しおりを挟む
ヒューゴ様とちゃんと話す事を決めて私は眠る事にした。

(…あら?)

ふわふわした意識の中、見覚えのある部屋に私は座っている。
(ここは…前世の私の部屋!?)

その手には本を持っていた。
ペラッと体が勝手にページを捲る。
(小説?っ!まさかこの小説は)

動かない体に歯痒い思いをしながら必死に書かれている文章を読む。

【アンドレア王太子殿下とその婚約者であるレイラ・ベイリー侯爵令嬢はお互いの顔を見合わせ笑った。】
そのページの始まりはその文から始まっていた。
(間違いない!私が転生した世界の小説だわ!内容は…)

目の前に広がっている文章を読もうと必死になる。

(…ダメだわ分かる所もあるけれど所々ノイズが走ってるみたいに読む事さえ出来ない)
それでも何も分からないよりはいいと分かる部分を頭で整理した。

どうやら今読んでいる部分は王宮内の話のようで王太子殿下とレイラ様の話が中心の様子、王女殿下も出てきているがやはり物語の中の彼女と私がいる世界にいる彼女は性格が違っているように見える。


【「神の祝福を与えられた者として期待しているよ__」「はい」】
(本当にブライス殿なのかしら)
この小説の主人公と思わしき人物の話している言葉は読み取る事はできた。
しかしどうも違和感が拭えない。


現時点で神の祝福を受けている人間は彼だけのはず。
(…隠されている場合は分からないけれどそんな事はないと思いたいわね)


前世の私は小説を更に読み進める。
【神の祝福というのは神が気まぐれに人間に与える能力である…そうその能力は決して神からの祝福でもなければ寵愛でもない。】(…そうなの?)

【能力を持った人間が国の為人の為に能力を行使する事で初めてとなるのです。つまりその能力を悪用する人間もいますその人間を

神の呪詛を与えられた者と呼びます。】


神の祝福について書かれている部分に私は驚きを隠せなかった。
神の祝福はその名の通りの物ではない事も能力を持った人間がどう使うかによって名前が変わるという事も初耳だった。


間違いなく今世で聞いた事がない。


『うわぁこれあれじゃん印象操作、王家とかの国ぐるみで隠蔽してるやつじゃん。怖っ』
今の私が考えていた事を前世の私が言葉にする。
(やっぱりそういう事よね神の祝福を与えられた者じゃなく神から与えられた能力を祝福として使う者って事…そして呪詛として使う者が現れてしまったら大惨事は免れない)


その事実が公表されたりしたらまず間違いなく神から能力を与えられた人達は恐れられるだろう。
本人が望んだ訳ではないのに能力を得て周りの人達から恐れられその恐れが蔑みや憎悪に変わり目も当てられないような迫害を受ける可能性が高い。

だからこそ王家は隠したのだろうか、もしかしたらただ能力を与えられた人を利用したいだけだったのかもしれない。

(今ここでそんな事を考えている場合ではないわとにかく物語の内容を知らない事には何もできない)

ただ前世の私が読んでいる部分は王宮内の事で今の神の呪詛についても隠されていた文書を主人公が読んだらしい。



(この主人公そんな事実をあっさり知る事ができるなんて一体何者?)
確かに神の祝福を与えられた者は王の保護化に入りどんな身分であっても王宮にいる事は許されている。
しかしそう簡単に神の呪詛について知れるものなのだろうか。

『っていうかそうなると神の祝福を与えられた者が敵になるパターンもあるって事だよね』
(あっ…)

色んな出来事が頭の中に浮かんできた。



『「アシュリンはあんな子だったか?しばらく会わない内に何というか

話が通じなくなった気がする」』
『「…王女殿下は昔から夢見がちで人の話を聞かない所がありましたがあそこまでではなかったと思います」』



『「アシュリンに甘いのは知っていたがまさかここまでとはっ昔はもっと冷静で色んな意味で平等な人だったんだがなぁ」』
『「…確かに国王陛下も昔とは変わったような気がしますね」』

今の状況で大きい差異があるのはアシュリン王女殿下と国王陛下の2人。
そしてその2人の差異というのは

その原因になり得る能力。

洗脳、記憶操作、催眠。

前世の記憶から考えられるのはそれぐらいだがその点に関してはほぼただの勘でしかない。
大事なのは敵…いや私をよく思わない人が神の呪詛を与えられた者である可能性が高いという事。

(単なる可能性…というにはあまりにも状況証拠が揃い過ぎてる気がする)


小説の内容が詳しく分からない以上その事に関しての対策を取る事はできない。

(せめてもう少し…内容を知る事ができればっ!!)
目の前にあるのにどうにもできない事態があまりにも悔しくて歯痒い。

(私が転生した意味って一体何なの?小説の内容を知らない私に…どうしろって言うのよ)

意識がどんどん鮮明になっていく。
そろそろ目が覚めるようだ。


『この小説恋愛物にしては物騒だなぁ。

まさかネームドキャラが死ぬとは』

(はぁっ!?死っ!?)


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄されたので王太子女となります。殿下より上位です』

鷹 綾
恋愛
「君は王太子妃に相応しくない」 その一言で、私は婚約を破棄されました。 理由は“真実の愛”。選ばれたのは、可憐な令嬢。 ……ええ、どうぞご自由に。 私は泣きません。縋りません。 なぜなら——王家は、私を手放せないから。 婚約は解消。 けれど家格、支持、実務能力、そして民の信頼。 失ったのは殿下の隣の席だけ。 代わりに私は、王太子女として王政補佐の任を命じられます。 最初は誰もが疑いました。 若い、女だ、感情的だ、と。 ならば証明しましょう。 怒らず、怯えず、排除せず。 反対も忠誠も受け止めながら、国を揺らさずに保つことを。 派手な革命は起こしません。 大逆転も叫びません。 ただ、静かに積み上げます。 そして気づけば—— “殿下の元婚約者”ではなく、 “揺れない王”と呼ばれるようになるのです。 これは、婚約破棄から始まる静かな逆転譚。 王冠の重みを受け入れた一人の女性が、 国を、そして自分の立場を塗り替えていく物語です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?

ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」  華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。  目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。  ──あら、デジャヴ? 「……なるほど」

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

【完結】すり替えられた公爵令嬢

鈴蘭
恋愛
帝国から嫁いで来た正妻キャサリンと離縁したあと、キャサリンとの間に出来た娘を捨てて、元婚約者アマンダとの間に出来た娘を嫡子として第一王子の婚約者に差し出したオルターナ公爵。 しかし王家は帝国との繋がりを求め、キャサリンの血を引く娘を欲していた。 妹が入れ替わった事に気付いた兄のルーカスは、事実を親友でもある第一王子のアルフレッドに告げるが、幼い二人にはどうする事も出来ず時間だけが流れて行く。 本来なら庶子として育つ筈だったマルゲリーターは公爵と後妻に溺愛されており、自身の中に高貴な血が流れていると信じて疑いもしていない、我儘で自分勝手な公女として育っていた。 完璧だと思われていた娘の入れ替えは、捨てた娘が学園に入学して来た事で、綻びを見せて行く。 視点がコロコロかわるので、ナレーション形式にしてみました。 お話が長いので、主要な登場人物を紹介します。 ロイズ王国 エレイン・フルール男爵令嬢 15歳 ルーカス・オルターナ公爵令息 17歳 アルフレッド・ロイズ第一王子 17歳 マルゲリーター・オルターナ公爵令嬢 15歳 マルゲリーターの母 アマンダ・オルターナ エレインたちの父親 シルベス・オルターナ  パトリシア・アンバタサー エレインのクラスメイト アルフレッドの側近 カシュー・イーシヤ 18歳 ダニエル・ウイロー 16歳 マシュー・イーシヤ 15歳 帝国 エレインとルーカスの母 キャサリン帝国の侯爵令嬢(前皇帝の姪) キャサリンの再婚相手 アンドレイ(キャサリンの従兄妹) 隣国ルタオー王国 バーバラ王女

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

戦姫のトロイメライ~断罪される未来が視えたので先に死んだことにしました

志熊みゅう
恋愛
 十三歳の誕生日、侯爵令嬢エディット・ユングリングは、自分が死ぬ瞬間を"夢"に視た。  卒業舞踏会で、婚約者であるフィーラ帝国・第一皇子マティアス殿下から、身に覚えのない罪で断罪され、捕らえられる。傍らでは見知らぬピンクブロンドの令嬢が不敵に微笑む。貴族牢のある北の古城に連行される途中、馬車ごと“死の谷”へと落ちていった――そんな妙に生々しい夢。  マティアス殿下は聡明で優しく、エディットを大切にしているように見えた。だから誰もその"夢"のことを気に留めなかった。しかし、兄の怪我、愛猫の死、そして大干ばつ――エディットの"夢"は次々と現実になっていく。ある日、エディットは気づく。この"夢"が、母の祖国・トヴォー王国の建国の軍師と同じ異能――"未来視"であることに。  その頃、一年早く貴族学院に入学したマティアス殿下は、皇宮から解放され、つかの間の自由を知った。そして、子爵令嬢ライラに懸想するようになる。彼女は、"夢"の中で冷酷に微笑むあの令嬢に瓜二つ。エディットは自分が視た"夢"が少しずつ現実になっていくことに恐怖した。そんな時に視た、黒髪の令息が「愛しているよ」と優しくはにかむ、もう一つの『未来』。エディットは決心する。  ――断罪される未来を変えたい。もう一つの未来を自分で選び取る。  彼女は断罪される前に、家族と共に自らの死を偽装し、トヴォー王国へと身を隠す。選び取った未来の先で、エディットは『戦姫』として新たな運命の渦に飲まれていく――。  断罪の未来を捨て、愛する者のために戦う令嬢の恋愛ファンタジー!

処理中です...