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35.父と子の決闘
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「用意はいいな」
アンドレア王太子殿下が2人を見てそう言った。
倒れてしまったオーウェン様も運ばれてこの戦いを見守るらしい。
今までヒューゴ様が戦う姿を想像した事がない。
当たり前だ、私は単なる辺境伯令嬢もっと言えば戦いとは無縁の商人。
勿論戦争が起きた時は様々な場所に飲食料や生活用品を用意したりはする、ただそれはあくまでもサポートだ。
戦いを目の前で見る事なんてない。
私はこれから起こる決闘に恐怖を感じてしまう。
(怖い、怖いわでも同時に痛感するヒューゴ様の覚悟を)
決闘の当事者ではない私が怖がっている場合ではないのだ。
これからヒューゴ様は実の父親と本気で剣を交えるのだから。
「イヴァ嬢、辛いのなら見なくても構わない。これはヒューゴの意志であって貴女が付き合う必要はない」
王太子殿下にそう言われて私は自分が震えている事に気付く。
心配そうにレイラ様が私の顔を見ていてよほど顔色が悪くなっていたのだろうと少し気恥ずかしい。
「いいえ、王太子殿下程ではないかもしれませんが彼の覚悟を分かっているつもりです…どんな結果になろうと最後まで見届けさせていただきますわ」
何とか声を震わせないよう言い切った。
「イヴァ…」
「だ、そうだぞヒューゴ愛しい婚約者がここまで言っているんだから無様な姿を晒す訳にはいかなくなったな」
「言われなくとも!
負ける気はありません!!」
彼はそう強く言い放つ。
「はっ!身の程知らずが!私に勝てるはずなどないというのに」
ガンダー公爵は余裕たっぷりな様子、まるで自分の勝ちを確信しているようなそんな言動だ。
(相手は無敗の男、この国の矛と呼ぶに相応しい人間…ヒューゴ様はどうやって勝つつもりなの?)
「では両者…構え!」
王太子殿下が始まりの言葉を「始め!!」告げた。
キィーンッ
剣と剣がぶつかり合う。
甲高い音が響き渡った。
「アンドレア様は…どちらが勝つとお思いですの?」
「そうだな一言で言えば…
どっちが勝ってもおかしくないかな」
少し曖昧な言い方に引っ掛かりを覚える
私と同じように感じたのかレイラ様が更に聞いた。
「私は正直言ってガンダー公爵に勝てる人間はこの国にいるとは思えませんわ。例え彼の実の息子が相手であっても…
どちらが勝ってもおかしくない、というのは一体どういう?」
「レイラが言ってる事は正しいさ。確かにこの国に今まで彼を超える事ができた人間はいない正真正銘無敗の男だからな」
何となく王太子殿下の言ってる事が分かったような気がする。
「つまりたった今この瞬間に公爵を超える可能性はある、と?」
私の言葉に悪戯っ子のような笑みを浮かべる王太子殿下。
「そういう事さ…今のヒューゴなら可能性が高いと思う
君がいるからな」
「あらまぁ…そんなロマンティックな事が起こる訳が、いえ起こると信じましょうか。
ねっ?イヴァ」
同意を求められて私は頷いた。
「私は、ヒューゴ様を信じます」
一瞬たりとも見逃さないようにしっかり目の前を見る。
彼が勝つ事を信じて。
キィンッ カンッ
どんどん2人の動きが激しくなっていった。
「あれだけ大口を叩いていながら防いでばかりだなぁ!!」
「…そう言う貴方は随分と性急に攻撃を仕掛けてきますね?焦っていらっしゃるので?」
「はっ!さっさと終わらせたいだけだ!」
(…何だか時間が経つにつれてガンダー公爵が焦っていてヒューゴ様が余裕そうになっていっているような?)
戦い方なんて知らないが何かやろうとしているのかと2人の動きを改めて見る。
さっき2人が言っていたようにガンダー公爵ばかり攻撃しようとしていてヒューゴ様はそれを防ぎ続けていた。
確かにこの戦いが一方的なもののように見えるが違和感を感じる。
「…っ!?」
気付く事ができた。
剣先が流れるように動いている。
ガンダー公爵の攻撃をただ防いでいるだけではなく攻撃の勢いを限りなく殺した上で受け流しガンダー公爵の体力を無駄に消耗させているのだろう。
(もしかして…長期戦にして体力切れを狙っているの?確かにそれならヒューゴ様が勝つ可能性も
いえでもそれがバレたら意味が)
ダッ
突然ガンダー公爵が距離を取った。
「はははっ!そう簡単に思い通りにはならない!」
(っ!!やっぱり!!)
急に動きが変わる。
距離を取りながらも一瞬で接近して攻撃をする形になった。
アンドレア王太子殿下が2人を見てそう言った。
倒れてしまったオーウェン様も運ばれてこの戦いを見守るらしい。
今までヒューゴ様が戦う姿を想像した事がない。
当たり前だ、私は単なる辺境伯令嬢もっと言えば戦いとは無縁の商人。
勿論戦争が起きた時は様々な場所に飲食料や生活用品を用意したりはする、ただそれはあくまでもサポートだ。
戦いを目の前で見る事なんてない。
私はこれから起こる決闘に恐怖を感じてしまう。
(怖い、怖いわでも同時に痛感するヒューゴ様の覚悟を)
決闘の当事者ではない私が怖がっている場合ではないのだ。
これからヒューゴ様は実の父親と本気で剣を交えるのだから。
「イヴァ嬢、辛いのなら見なくても構わない。これはヒューゴの意志であって貴女が付き合う必要はない」
王太子殿下にそう言われて私は自分が震えている事に気付く。
心配そうにレイラ様が私の顔を見ていてよほど顔色が悪くなっていたのだろうと少し気恥ずかしい。
「いいえ、王太子殿下程ではないかもしれませんが彼の覚悟を分かっているつもりです…どんな結果になろうと最後まで見届けさせていただきますわ」
何とか声を震わせないよう言い切った。
「イヴァ…」
「だ、そうだぞヒューゴ愛しい婚約者がここまで言っているんだから無様な姿を晒す訳にはいかなくなったな」
「言われなくとも!
負ける気はありません!!」
彼はそう強く言い放つ。
「はっ!身の程知らずが!私に勝てるはずなどないというのに」
ガンダー公爵は余裕たっぷりな様子、まるで自分の勝ちを確信しているようなそんな言動だ。
(相手は無敗の男、この国の矛と呼ぶに相応しい人間…ヒューゴ様はどうやって勝つつもりなの?)
「では両者…構え!」
王太子殿下が始まりの言葉を「始め!!」告げた。
キィーンッ
剣と剣がぶつかり合う。
甲高い音が響き渡った。
「アンドレア様は…どちらが勝つとお思いですの?」
「そうだな一言で言えば…
どっちが勝ってもおかしくないかな」
少し曖昧な言い方に引っ掛かりを覚える
私と同じように感じたのかレイラ様が更に聞いた。
「私は正直言ってガンダー公爵に勝てる人間はこの国にいるとは思えませんわ。例え彼の実の息子が相手であっても…
どちらが勝ってもおかしくない、というのは一体どういう?」
「レイラが言ってる事は正しいさ。確かにこの国に今まで彼を超える事ができた人間はいない正真正銘無敗の男だからな」
何となく王太子殿下の言ってる事が分かったような気がする。
「つまりたった今この瞬間に公爵を超える可能性はある、と?」
私の言葉に悪戯っ子のような笑みを浮かべる王太子殿下。
「そういう事さ…今のヒューゴなら可能性が高いと思う
君がいるからな」
「あらまぁ…そんなロマンティックな事が起こる訳が、いえ起こると信じましょうか。
ねっ?イヴァ」
同意を求められて私は頷いた。
「私は、ヒューゴ様を信じます」
一瞬たりとも見逃さないようにしっかり目の前を見る。
彼が勝つ事を信じて。
キィンッ カンッ
どんどん2人の動きが激しくなっていった。
「あれだけ大口を叩いていながら防いでばかりだなぁ!!」
「…そう言う貴方は随分と性急に攻撃を仕掛けてきますね?焦っていらっしゃるので?」
「はっ!さっさと終わらせたいだけだ!」
(…何だか時間が経つにつれてガンダー公爵が焦っていてヒューゴ様が余裕そうになっていっているような?)
戦い方なんて知らないが何かやろうとしているのかと2人の動きを改めて見る。
さっき2人が言っていたようにガンダー公爵ばかり攻撃しようとしていてヒューゴ様はそれを防ぎ続けていた。
確かにこの戦いが一方的なもののように見えるが違和感を感じる。
「…っ!?」
気付く事ができた。
剣先が流れるように動いている。
ガンダー公爵の攻撃をただ防いでいるだけではなく攻撃の勢いを限りなく殺した上で受け流しガンダー公爵の体力を無駄に消耗させているのだろう。
(もしかして…長期戦にして体力切れを狙っているの?確かにそれならヒューゴ様が勝つ可能性も
いえでもそれがバレたら意味が)
ダッ
突然ガンダー公爵が距離を取った。
「はははっ!そう簡単に思い通りにはならない!」
(っ!!やっぱり!!)
急に動きが変わる。
距離を取りながらも一瞬で接近して攻撃をする形になった。
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