召喚されたのは、最強の俺でした。~魔王の代理となって世界を支配します~

こへへい

文字の大きさ
47 / 87
<五章:信じよ>

配信のユートピア

しおりを挟む
「やぁやぁお三方! 観光ですか!? 観光ですね? そうでしょうとも!」

 ハーモニーメドウ。そびえる超高いビルを北極星のように中心に、星の数ほどあると言える量のビルが乱立している町。というのが第一印象だった。ヒートアイランド現象とかビル風とかがヤバいのなんの。日の光はビルの窓を反射しまくり、空間を効率よく熱している。まるで電子レンジの中にいるようだった。

 そんなこの町の第二印象はというと、めっちゃカメラを回している奴等がいるということだ。そりゃプリーストックというサービスを展開しているペタブヨウがあの超高いビルに鎮座しているのだから、まぁ分からなくはない。
 いや分かるか。何の蓋然性もないわ。それだとG〇〇gle本社の周りはy〇utberだらけになってしまうじゃないか。
 しかも、配信者が多すぎるためか、その配信者の群れを配信する奴も現れている始末である。鼬ごっこにしてもひでぇ。

 そんな配信者の巣窟に足を踏み入れてしまったためか、寝台列車から出た瞬間、旅人インタビュー系プリーストッカーという、迷惑極まりない輩に絡まれてしまったという次第が現在だ。こうやって数分前の過去を振り返りでもしないと、自撮り棒を片っ端からへし折った挙句に私人逮捕系プリーストッカーに絡まれるんだよなぁ。早めに片付けたいところだった。
 早く済めば、世界はこんな狂ってはいないわけだが。

「つれないですねぇ、俺達は言わば観光名所みたいなもんじゃないですか! こうやってインタビューを受けるとあなた方は何かいい気分になる、俺達はpvが稼げる、ほらwinwinだ!」

 相手したら負けなんだよなぁ。どうせ突っ込み待ちのセリフなんだろう。そういう思いで、中心のビルを目指す。ホームから出る直前に、こうやってインタビューに絡まれる輩を見たときから一応二人には「相手をしないように」とは言っている。だがそんな言葉では止まることはなく、動画を回しまくっていた。長らく勇者パーティーに付き合ったからだろうか。

 ちなみに、配信者同士はできるだけお互い干渉しないようにするという文化があるらしい。だから神官の女子が杖(お土産屋さんで売ってた)を自撮り棒のように持って配信しているところにはインタビューされないのだ。なら俺もそうすればいいのだろうが、気が乗らなかったのでしていない。

「家族での観光なら、ネズミーアイランドがとても楽しいですよ! 楽しめますよね! そうでしょうとも!」

 もはや問いかけにすらなっていなかった。そうでしょうって、どうでしょう?

「ちょっと、そうでしょうそうでしょうって、うるさいんだけど。声入ってる。あんたちゃんと指向性あるマイク使ってんの? そういうの存在がノイズだから止めてくんない? 素人が出しゃばらないでよね」

 ついに反応を神官の女子。流石は先輩ともなると後輩にはきついようで、一気にシュンと肩を落とした。その実、自分が動画を撮りまくりたいだけなのだが。
 超絶低い声色から一遍、ぺかーっと明るく腕を組んできて言った。

「ほらほら! あっちのタピオカカップ抹茶フラペチーノサンドイッチ美味しそうよ!」

「モモの料理を食っててよくそれが旨そうだと思えたな」

 呪文過ぎる。世の中何が流行るか分かったモノではない。神でさえも。
 そんな様子を見てか、さっきのそうでしょうお兄さんが閃き、再びカメラを向ける。

「もしやお二人ラブラブカップルですか!? いや御子さんがいらっしゃるということはラブラブファミリーですね! そうでしょうとも!」

「異議ありだ!」

「えー! めっちゃお似合いじゃないですかぁ、お父さんハッスルしておいて今更それはないっすよぉ」

「そうよそうよ、責任取りなさいよ」

 こいつ、自分に都合がよくなった時はこれだよ。ハッスルなんて誰がするものか。カメラ(杖先についている、丸い小さなレンズみたいなのがカメラだ)に向かって指をさしていった。

「別にこんな奴の事なんて好きじゃねーんだからな!」

「お父さんめっちゃツンデレじゃないですかぁ!」

 餌を上げただけだった。杖をぶんどり放送魔法を無理やり解除させる。

「チョー! 酷いじゃないですか!」

「急いでるんだよ、ほら行くぞ」

「はいはーい。あ、これ上げる」

 さんざん写真を撮って用済みになったのか、タピオカカップ抹茶フラペチーノサンドイッチをそうでしょうお兄さんにあげた。とその時、お兄さんが小声で聞いてきた。

「あの、もしかしてトッププリーストッカーのメアリーさんじゃないですか?」

「え、」

 バレよった。タピオカカップ抹茶フラペチーノサンドイッチの写真を厳選する顔が引きつる。どうしたものか、騒ぎが起こると動きにくくなる。疑われる前に退散しよう。と神官の女子の腕を引っ張ろうとするが。

「今逃げたら言いふらしちゃおっかなー」

 にやりと悪い笑みを浮かべる。ヤバイ、プリーストックで全世界に広められるとなれば、もうペタブヨウの懐に入ることはおろか、人間の国に行くことすらできなくなる。
 対策を考えていると、俺の警戒心に反して、どうしようお兄さんは合掌して腰を低くした。

「一回でいいんで、俺とコラボしてくんないっすか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

 社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依
ファンタジー
 山本優(やまもとまさる)45歳はブラック企業に勤め、 残業、休日出勤は当たり前で、連続出勤30日目にして 遂に過労死をしてしまい、女神に異世界転移をはたす。  そして、あまりな強大な力を得て、貴族達にその身柄を 拘束させられ、地球のように束縛をされそうになり、 町から逃げ出すところから始まる。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

処理中です...