召喚されたのは、最強の俺でした。~魔王の代理となって世界を支配します~

こへへい

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<最終章:己が世界を支配せよ>

愛はアンチの旨い餌

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 魔王の公開処刑によって引き起こされる魔力の統合、それはこの異世界の魔力のバランスを崩しかねない事象である。だからその魔王の公開処刑を阻止するために再びこのハーモニーメドウに足を踏み入れたのだが、魔王は中心ビルの屋上じゃなくて地下だった。

「つーわけで、地下に行かにゃならんわけだ」

 ガチ恋勢のファンに依存していたが、その依存心に打ち勝つことができたメアリー。人手が圧倒的に少ないため、こいつにも力を借りたいところだったので、これまでのあらすじを説明した。勿論メアリーの配信は切ってある。

「世界!? え、そんな大事だったのこれ?」
 
「ミナが言うにはな。まぁ世界云々は置いておいて、お前がおかしくなってるのに放っておけなかったのが本音だ。心配かけさせやがって」

 ユウが照れながらメアリーに悪態を吐く。メアリーがちょっと顔を赤くしながらムムムっと「何よ子供みたいに言わないで!」と言い返した。なんだこの、少し甘ったるい感じ、いづれぇ。

「だがそれだと困った問題があってな」

「何だ?」

「ほら、この醜女の意識を取り戻すために視聴者をアンチにしたじゃん?」

「醜女言うな! 神官だから! さっきだって迷える子羊導いてたでしょ!」

「その迷える子羊が今お前のアンチとなっているわけだ。ならどうなると思う?」

 ユウがウゲっと、気分の悪い顔になる。気づいたか。

「さぁ答え合わせだ、行ってみよう」

 三人で非常階段の扉を開く。
 下を見た。

「ずっと応援してきたのに! 裏切りやがって!」
「私たちの応援があったからこそ成功したくせに! スパチャ返せ!」
「信じて支えてきたのに、納得できねぇよ!」
「ファンとの絆って本当に大切だと思ってたのに、嘘だよなぁ!?」
「メアリーたんのファーストキッスを奪った奴出てきやがれ! ぶっ殺してやる!」

 階段はカラオケボックスの時と同じく螺旋階段だった。ガラスの壁があるためハーモニーメドウの景色を見ながら階段を昇ることができるようなデザインになっている。その階段を降りれば一階へとたどり着くことができるということは、地上にいたメアリーファン改めメアリ―アンチもその階段を昇って屋上に来ることができるということだ。そのアンチたちは、階段をどんどこどんどこと揺らしながら文句を垂れている。恨み辛みが煮えたぎっていた。

 流石に怪我人は出るだろうな、このままでも怪我人は出そうだし。

「うん、見てみると行けそうだな、多分。ぶっ飛ばせば行けるかも」

 少し見栄を張っての物言いだったのだが、しかしメアリーは「待った」と大声を張った。その声音からは真剣な感情が読み取れる。

「私にやらせて」

「おいおい、まだ私のファンとか言うつもりか? こいつらはアンチだぜ? アンチなんかに気を遣ってやる必要は――」

「そうじゃないの、これは私の責任、私がけじめをつけなきゃいけないの」

 けじめ。そう言って唾を飲み込む。勝算があるわけじゃないが、それでも立ち向かわなければならないという、自分の中の覚悟がそう言わせたのだろう。

 震える肩に、ユウが優しく手を置いた。

「1人でしょいこむなよ、俺も一緒についてやる」

「え?」

「ピンチな時こそ一緒に乗り越えてやろうぜ、それに俺も少しは責任がないでもないしな」

 確かに、どちらかと言うと画面上でキスして見せたユウの方により大きなヘイトが来ても良いように思える。と、言うことは?
 ……突如、俺の魂に電流が走る。雷のバーチャル背景が映し出された気がした。

「そうだな! 確かにお前ら二人があいつらを何とかすべきだよな!」

「え、なんで急にテンション上げた声出すの? 嫌な予感がするんだけど」

「お前、何企んでる?」

 訝しむ二人に、俺は新たなるオペレーションを告げた。それは、螺旋階段の壁、つまりハーモニーメドウを見渡せるガラスの壁に背を向けさせて並ぶことだった。

「いたぞー! メアリーだ!」
「男もいるぞ! ぶっ潰せ!」

 こっわ。だがこの過剰なヘイトが大事なのである。
 だが一応これだけは聞いておかねば。

「よし、覚悟は良いな?」

 二人は静かに、緊張感ある固まった顔でうなずく。それを皮切りに、剣を構えた。

「行ってこい!」

 振りかぶって、ユウとメアリーを外にぶっ飛ばした。メアリーを抱きかかえてユウはガラスを壊して外に出る。ユウは勇者の剣をガラスに突き立てて落下の衝撃を殺しつつ落下していく。これなら、多分大丈夫だろう。

 それを見たアンチたちは、怒りに任せて窓ガラスをぶち割った。恨みの対象であるユウとメアリーを追って。お陰で螺旋階段から人の壁を消すことに成功した。

「よし、行くか!」

 俺は俺で螺旋階段の中心の空洞に向かって飛び込んだ。魔王が待つ地下へ。
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