萌絵の婚活

ファンタジスタ

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そんな時、同じデパートで仕事をしている社員の男性、裕貴ひろたかに声をかけられた。
「いつも、生き生きと仕事されていて、素敵ですね。今度、食事でも一緒にいかがですか」
萌絵はびっくりした。
産まれて初めてそんなふうに男性に褒められ、食事の誘いを受けたからだ。
「ごめんなさい、忙しいので」
と、萌絵は思わず断ってしまった。

萌絵は今や内面も外見も美しく、男性が声をかけたくなるような女性になっていた。
しかし、萌絵自身、それに気づいていなかった。
裕貴からはそれからなんども食事に誘われた。
そのたび萌絵はいつも、忙しいからと言って断った。
まさにそのとおりだったし、自分の店を持つ夢で心がいっぱいで、恋愛にも結婚にも興味がなくなってしまっていたのだ。

裕貴はそれでも萌絵をあきらめなかった。
自分の恋人にしたい女性は萌絵以外考えられなかった。
萌絵の誕生日を訊いて、萌絵の誕生日の日、裕貴はきれいな指輪を萌絵にプレゼントした。手紙を添えて。
手紙には
「いつも良い返事はもらえないけど、ずっと好きでいさせてもらってもいいですか。この気持ちはどうしてもとめられないので」
と書かれていた。
萌絵は男性からこんな手紙をもらうことも初めてだった。
ここまで自分を想ってくれる人がこの先、現れるだろうかと思い、一度食事につきあうことにした。
裕貴はビジネスライクな仕事中の雰囲気と違って、話しをしてみると付き合いやすいカジュアルな性格の男性だということが分かった。
裕貴は自分の日常のことを冗談を交えて話したり、萌絵にどんな生活をしているか興味深そうに訊いたりしてきた。
萌絵がネイルの店を持つ夢を話すと
「素晴らしいじゃないですか。応援しますよ」
と言ってくれた。
食事をして、話しをしているあいだずっと、裕貴の言動から萌絵に対する愛情が感じられ、萌絵は恥ずかしくなるくらいだった。
萌絵は裕貴からの次の食事の誘いに応じた。
いつか、わたしも裕貴を好きになったことを伝える日が来るんじゃないかと予想しながら。


END



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