ずっと好きだった婚約者に婚約破棄されました

ホシカ

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不安

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「ソフィア先生! ソフィア先生ってば!」

私は生徒の一人に揺さぶられて、ようやく正気に戻った。

「っは! ど、どうしたの? 気づかなくてごめんなさい」

「もう、チャイムなったよ? 授業は終わりじゃないの?」



!!?

私は慌てて時計を見た。



しまった!

授業の終わりから三十分は過ぎている。

「ご、ごめんなさい。ボンヤリしてたわ。宿題は……」

私は生徒達に宿題のプリントを渡し、終わりの会を済ますと職員室へと戻った。



先日の神父様の手をキスしてしまったところを見られて、私はずっと気まずさを引きずっていた。



神父様は何もおっしゃらないから、余計に不安だった。

何もおっしゃらないどころか、むしろ壁を作られている感じがした。



挨拶をしても、以前は笑顔を浮かべてニッコリと微笑んでくれたのに、今は無表情だ。

話しかけても、返事がそっけなく、周りのシスター達が心配するほどだった。



嫌われたかもしれない。

手にキスなんてするんじゃなかった。  





私がため息をついていると、神父様が職員室へと戻ってきた。

私はそそくさと帰る準備をし始める。



嫌われてしまったのなら、極力関わらない方がいい。

レオンのときと同じようになる。

神父様にレオンみたいに罵しられたら立ち直れない。

彼には嫌われたくなかった。



私は目をウルウルさせていたが、気づかれないように、気丈に振舞うことにした。



「お疲れ様でした」

泣き声になりそうになるのを必死に堪える。



「ソフィアさんっ、どうしたんですか?」

神父様が血相を変えて、私の肩を掴む。



「えっ?!」

「いや、辛そうな顔をされていたんで……。何かありましたか?」



神父様は本気で心配そうに声をかけてくれる。

彼の優しさに思わずすがりつきそうになった。



ダメよ。

絶対に嫌がられる。



「大丈夫です。ご心配かけて申し訳ありません」

私は神父様の手を振りほどき去ろうとした。



「大丈夫っていう顔じゃないですよ。本当に何があったんですか? 何か力になれば助けます」



真剣な顔をして見つめられ、私はとうとう我慢出来なくなり泣き出した。



「その、神父様に嫌われるのかと思って。手にキスして本当にごめんなさい。気持ち悪かったですよね。二度としません」

私は謝ると、今度こそ帰ろうとした。



「嫌じゃありませんっ! む、むしろ、その……あ、あと、嫌ってませんよ! ソフィアさんのことは、その……」

神父様は顔を真っ赤にしながら照れくさそうに言う。



私は、嫌われてないと知り、安堵した。



「本当ですか?! 避けられているから、てっきり嫌われているかと」

「違います。意識しすぎて、その、ソフィアさんがあまりにも魅力的だから」



?!

み、魅力的っ!?

そんなこと今まで言われたことがなかったので驚いた。



「神父様、褒めて頂きありがとうございます。でも、魅力的ではないです。私は散々、元婚約者にデブとか頭悪いとか気持ち悪いって言われたんです。自分のことは自分でよくわかってます」



私はレオンの言葉を思い出した。

心が何度もえぐられ、ボロボロだった。

レオンに嫌われたくない一心で自分で自分の気持ちに蓋をしていた。





「な、なんですって? そんなこと言われてたんですかっ?!」

神父様は急に目が鋭くなり、冷ややかな声になった。



「は、はい……」

余計なことを話たかもしれない。





「ソフィア、俺は君にそんなことを言う奴は許さない。君は素敵で美しい」

神父様の口調が急に変わり、私はドキドキした。





いつもの神父様じゃない。

しかも、私を素敵で美しいって。

何かの聞き間違いじゃないかしら?



「神父様、ありがとうございます。でも……ンンッ」





!!?

急に神父様にキスをされ、思わず息をとめた。





「ソフィア」

私を抱きしめ、首あたりを舐められる。



「ひゃぁ」

思わず変な声が出てしまう。



「可愛い。もっと声聞かせて」



耳元で囁かれ、私は全身汗だくになった。

耳を甘噛みされ、舐められる。



「ンンッ。ハァハァ……アアッ」

「ソフィアは耳が弱いの? もっと教えてよ」



全身がカッと熱くなる。

本当に私が知っている神父様?



私は足に力が入らなくなり、神父様の肩にもたれた。
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