10 / 26
借金
しおりを挟む
私はヒューゴに言われるままにメイド長のマリーの部屋に行く。
メイド長のドアをノックすると、ドア越しから「ハーイ。どうぞ」と言われたので、私は「失礼します」と中に入ったいった。
マリーは机にある書類を書いていた。
彼女はブロック公爵邸にずっと仕えている古参のメイドだ。
ラインハルトが産まれる前からこの公爵邸で働いていたらしい。
ラインハルトの祖父であるアルバート様の代からいるらしい。
彼女の皺だらけの手、髪は白髪で一つにまとめていた。
歳はとっても上品さがあり、母親のような雰囲気を持っていた。
腰は曲がっており、メガネをかけながら書類仕事をしていた。
「あらぁ、あなた、ミアさんね。どうしたのかしら?」
メガネをずらし彼女はこちらを見た。
「マリー様、お忙しい中、お邪魔して申し訳ありません」
「いいのよ。書類ばかりで退屈してたから。そうだ。紅茶飲まない?」
彼女は椅子から降りると、部屋にあるティーセットを取り出し紅茶を淹れていく。
『ウォーター』というとポットに水がどんどん入っていく。
『ホット』というと、ホットの水がお湯に代わり湯気がたちこめた。
「マリー様、魔法が使えるんですかっ!?」
初めて魔法を見て私は驚いた。
マリーは私の様子を見て目を細めた。
「ええ、使えるわ。昔、あなたと同じように魔法に反応したお嬢様がいらしたわ。懐かしいわね」
お嬢様?
一体誰のことだろう?
「ふふっ、昔はね、使用人は魔法が使えて当然だったわ。今は魔法は廃れてしまって。便利な道具がいっぱい出来たせいね」
マリーは紅茶をティーカップに淹れるとテーブルに置いた。
「どうぞ、召し上がって」
私は「いただきます」と言って飲んだ。
「凄く美味しい! マリー様、紅茶の淹れ方、とってもお上手なんですね」
「ふふっ、そのセリフもお嬢様に言われたわ。いつもマリーの淹れてくれる紅茶は美味しいって」
マリーは笑いながら昔を懐かしそうに話す。
「あのぉ、そのお嬢様とは一体?」
「アルバート様の妹にあたるロザリオ様よ。グリード帝国に嫁いだわ」
!!?
ロザリオ様っ!
「存じております。確か、稀代の魔道士になり、世界平和に貢献された方ですよね?」
マリーがウンウンと頷く。
「とってもお綺麗と言われてて、知らない人はいませんよ」
「そうね。でも、相当苦労したのよ? 人より何倍も努力し、前向きにひたむきに頑張る人よ。私も随分元気を貰ったわ」
私は、母の遺言を思い出した。
「自分の力を信じろ」という言葉だ。
ロザリオ様も自分で自分の活路を見出したのだろう。
「素晴らしい方ですね。私も見習わなきゃ」
「ミア、あなたはあなたらしくいればいいのよ。そうだ。話は何だったかしら?」
この流れで借金の話はしづらかった。
「あの、こんなイイ話の流れのときに悪いんですが、私の給与って借金で帳消しされているのでしょうか?」
マリーが目を見開く。
「いや、あなたの借金じゃないでしょ? 給与はちゃんと支払われてるはずよ」
「いえ、一度も貰ってません。父に支払れているんでしょうか?」
「それはないわ。そんなことをしたら、あなたのお父様はまたギャンブルに使うでしょ?」
私はウンウン頷く。
「給与はね、手渡しよ。いつも月末にシャティから貰ってない?」
「はい」
私は愕然とした表情でマリーを見つめた。
メイド長のドアをノックすると、ドア越しから「ハーイ。どうぞ」と言われたので、私は「失礼します」と中に入ったいった。
マリーは机にある書類を書いていた。
彼女はブロック公爵邸にずっと仕えている古参のメイドだ。
ラインハルトが産まれる前からこの公爵邸で働いていたらしい。
ラインハルトの祖父であるアルバート様の代からいるらしい。
彼女の皺だらけの手、髪は白髪で一つにまとめていた。
歳はとっても上品さがあり、母親のような雰囲気を持っていた。
腰は曲がっており、メガネをかけながら書類仕事をしていた。
「あらぁ、あなた、ミアさんね。どうしたのかしら?」
メガネをずらし彼女はこちらを見た。
「マリー様、お忙しい中、お邪魔して申し訳ありません」
「いいのよ。書類ばかりで退屈してたから。そうだ。紅茶飲まない?」
彼女は椅子から降りると、部屋にあるティーセットを取り出し紅茶を淹れていく。
『ウォーター』というとポットに水がどんどん入っていく。
『ホット』というと、ホットの水がお湯に代わり湯気がたちこめた。
「マリー様、魔法が使えるんですかっ!?」
初めて魔法を見て私は驚いた。
マリーは私の様子を見て目を細めた。
「ええ、使えるわ。昔、あなたと同じように魔法に反応したお嬢様がいらしたわ。懐かしいわね」
お嬢様?
一体誰のことだろう?
「ふふっ、昔はね、使用人は魔法が使えて当然だったわ。今は魔法は廃れてしまって。便利な道具がいっぱい出来たせいね」
マリーは紅茶をティーカップに淹れるとテーブルに置いた。
「どうぞ、召し上がって」
私は「いただきます」と言って飲んだ。
「凄く美味しい! マリー様、紅茶の淹れ方、とってもお上手なんですね」
「ふふっ、そのセリフもお嬢様に言われたわ。いつもマリーの淹れてくれる紅茶は美味しいって」
マリーは笑いながら昔を懐かしそうに話す。
「あのぉ、そのお嬢様とは一体?」
「アルバート様の妹にあたるロザリオ様よ。グリード帝国に嫁いだわ」
!!?
ロザリオ様っ!
「存じております。確か、稀代の魔道士になり、世界平和に貢献された方ですよね?」
マリーがウンウンと頷く。
「とってもお綺麗と言われてて、知らない人はいませんよ」
「そうね。でも、相当苦労したのよ? 人より何倍も努力し、前向きにひたむきに頑張る人よ。私も随分元気を貰ったわ」
私は、母の遺言を思い出した。
「自分の力を信じろ」という言葉だ。
ロザリオ様も自分で自分の活路を見出したのだろう。
「素晴らしい方ですね。私も見習わなきゃ」
「ミア、あなたはあなたらしくいればいいのよ。そうだ。話は何だったかしら?」
この流れで借金の話はしづらかった。
「あの、こんなイイ話の流れのときに悪いんですが、私の給与って借金で帳消しされているのでしょうか?」
マリーが目を見開く。
「いや、あなたの借金じゃないでしょ? 給与はちゃんと支払われてるはずよ」
「いえ、一度も貰ってません。父に支払れているんでしょうか?」
「それはないわ。そんなことをしたら、あなたのお父様はまたギャンブルに使うでしょ?」
私はウンウン頷く。
「給与はね、手渡しよ。いつも月末にシャティから貰ってない?」
「はい」
私は愕然とした表情でマリーを見つめた。
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる