借金返済のため公爵様に身売りされました

ホシカ

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借金

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私はヒューゴに言われるままにメイド長のマリーの部屋に行く。



メイド長のドアをノックすると、ドア越しから「ハーイ。どうぞ」と言われたので、私は「失礼します」と中に入ったいった。



マリーは机にある書類を書いていた。

彼女はブロック公爵邸にずっと仕えている古参のメイドだ。



ラインハルトが産まれる前からこの公爵邸で働いていたらしい。

ラインハルトの祖父であるアルバート様の代からいるらしい。



彼女の皺だらけの手、髪は白髪で一つにまとめていた。

歳はとっても上品さがあり、母親のような雰囲気を持っていた。



腰は曲がっており、メガネをかけながら書類仕事をしていた。



「あらぁ、あなた、ミアさんね。どうしたのかしら?」

メガネをずらし彼女はこちらを見た。



「マリー様、お忙しい中、お邪魔して申し訳ありません」



「いいのよ。書類ばかりで退屈してたから。そうだ。紅茶飲まない?」





彼女は椅子から降りると、部屋にあるティーセットを取り出し紅茶を淹れていく。



『ウォーター』というとポットに水がどんどん入っていく。

『ホット』というと、ホットの水がお湯に代わり湯気がたちこめた。



「マリー様、魔法が使えるんですかっ!?」

初めて魔法を見て私は驚いた。

マリーは私の様子を見て目を細めた。



「ええ、使えるわ。昔、あなたと同じように魔法に反応したお嬢様がいらしたわ。懐かしいわね」



お嬢様?

一体誰のことだろう?



「ふふっ、昔はね、使用人は魔法が使えて当然だったわ。今は魔法は廃れてしまって。便利な道具がいっぱい出来たせいね」

マリーは紅茶をティーカップに淹れるとテーブルに置いた。



「どうぞ、召し上がって」



私は「いただきます」と言って飲んだ。



「凄く美味しい! マリー様、紅茶の淹れ方、とってもお上手なんですね」



「ふふっ、そのセリフもお嬢様に言われたわ。いつもマリーの淹れてくれる紅茶は美味しいって」



マリーは笑いながら昔を懐かしそうに話す。



「あのぉ、そのお嬢様とは一体?」

「アルバート様の妹にあたるロザリオ様よ。グリード帝国に嫁いだわ」





!!?

ロザリオ様っ!



「存じております。確か、稀代の魔道士になり、世界平和に貢献された方ですよね?」

マリーがウンウンと頷く。



「とってもお綺麗と言われてて、知らない人はいませんよ」



「そうね。でも、相当苦労したのよ? 人より何倍も努力し、前向きにひたむきに頑張る人よ。私も随分元気を貰ったわ」



私は、母の遺言を思い出した。

「自分の力を信じろ」という言葉だ。

ロザリオ様も自分で自分の活路を見出したのだろう。



「素晴らしい方ですね。私も見習わなきゃ」



「ミア、あなたはあなたらしくいればいいのよ。そうだ。話は何だったかしら?」



この流れで借金の話はしづらかった。



「あの、こんなイイ話の流れのときに悪いんですが、私の給与って借金で帳消しされているのでしょうか?」

マリーが目を見開く。



「いや、あなたの借金じゃないでしょ? 給与はちゃんと支払われてるはずよ」



「いえ、一度も貰ってません。父に支払れているんでしょうか?」



「それはないわ。そんなことをしたら、あなたのお父様はまたギャンブルに使うでしょ?」 



私はウンウン頷く。



「給与はね、手渡しよ。いつも月末にシャティから貰ってない?」

「はい」



私は愕然とした表情でマリーを見つめた。



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