【完結】エルフの喫茶店は、今日も客が一人しか来ない

チョロケロ

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第一話 店を開く

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 俺はエルフだ。
 エルフと聞いて連想するのは、耳がとんがっているとか美形ぞろいとか魔力が高いとか色々あると思う。
 その中で特に注目するのが、長生きってことだ。そう、もちろん俺も長生きだ。年齢は今年で千歳になる。
 千歳は、人間でいうと二十歳くらいかな。俺はエルフの間ではまだまだ若い部類に入る。

 でも、俺は千歳でもうすでにこの世界に飽きていた。

 だって退屈なのだ。世界を滅ぼそうとたくらむ魔王なんてのも出てこないし、隕石が落ちてきたりもしない。宇宙人が攻めてくることもなければ、エルフ狩りなんてのもない。この千年、本当に平和だったのだ。

 退屈過ぎて死にそうになっていた俺は、二年前家族が止めるのも聞かずエルフの里を飛び出した。
 外に出ればなにか退屈しのぎになると思ったのだ。
 そこでぶらぶら放浪の旅をして、一年前この村にやってきた。
 この村はカボス村と言う。人間が作り上げた小さな村だ。エルフの俺にも差別することなく普通の人間のように扱ってくれたのが嬉しかったので、俺はしばらくこの村に住むことにした。
 家は村のはずれにある空き家を借りた。
 借りるからには家賃を払わなきゃなと思って村長に相談したのだが、『いらん。好きに住め』と言われたのでご厚意に甘えることにした。
 空き家には前の住民が置いていったのか、家具も一式揃っていた。こりゃあ有難いと思いそのまま使わせてもらっている。
 それから俺は新しい家で昼寝をしたり料理を作ったりしながらのんびりと過ごした。
 だが、半年も経った頃に、再び退屈が襲って来た。
 クソ……。本当、退屈って辛いよな。
 暇つぶしに働いてみるかと思い、村の人たちがやっている畑仕事なんかを手伝ったのだが、疲れるのですぐにやめてしまった。村の人たちは『おめー、若ぇのに根性ねーなぁ』と笑っていたっけ。
 あ、言ってなかったけど、俺って物凄くぐうたらなのだ。汗水垂らして働くことが大嫌いなのだ。
 だから俺に畑仕事なんて土台無理な話だったのだ。
 そんなわけで、俺はなにもすることが無くなりまた退屈と戦うことになってしまった。
 あー暇だぜ。もうエルフの里に帰ろうかなぁなんて思っていた矢先に、ある本を読んだ。
 その本も前の住民が置いていったものだったのだが、タイトルは『妖精の喫茶店』と言うものだった。妖精が喫茶店を開き、森の仲間たちに憩いの場を提供すると言う話だった。
 それを見た俺は、ピコーン! と閃いた。

「そうだ! 俺も喫茶店を開こう! 村の人たちへの恩返しだ! 村の人たちの憩いの場を作ってやろう!」

 思い立ったが吉日。
 俺はすぐに準備に取り掛かった。
 準備と言っても、たいしたことはしなかったが……。
 店はこの家を使った。
 リビングを喫茶店に改装し、椅子とテーブルを二セット用意した。ぶっちゃけこれは改装とは言わない。ただリビングに椅子とテーブルを置いただけだ。
 これで店の準備はオッケー!
 はたから見たらなにがオッケーなのか疑問に思われるかもしれないけど、俺がいいって言うならいいんだよ!
 あとはメニューだな。
 面倒くせーからインスタントコーヒーと適当なレシピで作ったパンケーキだけでいいか、と言う本物の喫茶店のマスターが知ったらぶん殴られそうなメニューを考案し、鼻息荒く店をオープンしたのが一カ月前。
 最初は俺に気を遣って店に遊びにきてくれるお客さん(村の人たち)もいたが、一カ月経った今は、もうすでに閑古鳥が鳴いていた。

「クッソ! なんで誰も来ねーんだよ!」

 そんな全てが適当な喫茶店もどきに客なんて来るわけねーだろと言う心の声が聞こえた気がしたが、俺は聞こえないふりをして一人で怒っていた。
 そんな時だった。
 入り口のベルがカランカランと鳴り、アイツが来店したのは。
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