1 / 16
第一話 店を開く
しおりを挟む
俺はエルフだ。
エルフと聞いて連想するのは、耳がとんがっているとか美形ぞろいとか魔力が高いとか色々あると思う。
その中で特に注目するのが、長生きってことだ。そう、もちろん俺も長生きだ。年齢は今年で千歳になる。
千歳は、人間でいうと二十歳くらいかな。俺はエルフの間ではまだまだ若い部類に入る。
でも、俺は千歳でもうすでにこの世界に飽きていた。
だって退屈なのだ。世界を滅ぼそうとたくらむ魔王なんてのも出てこないし、隕石が落ちてきたりもしない。宇宙人が攻めてくることもなければ、エルフ狩りなんてのもない。この千年、本当に平和だったのだ。
退屈過ぎて死にそうになっていた俺は、二年前家族が止めるのも聞かずエルフの里を飛び出した。
外に出ればなにか退屈しのぎになると思ったのだ。
そこでぶらぶら放浪の旅をして、一年前この村にやってきた。
この村はカボス村と言う。人間が作り上げた小さな村だ。エルフの俺にも差別することなく普通の人間のように扱ってくれたのが嬉しかったので、俺はしばらくこの村に住むことにした。
家は村のはずれにある空き家を借りた。
借りるからには家賃を払わなきゃなと思って村長に相談したのだが、『いらん。好きに住め』と言われたのでご厚意に甘えることにした。
空き家には前の住民が置いていったのか、家具も一式揃っていた。こりゃあ有難いと思いそのまま使わせてもらっている。
それから俺は新しい家で昼寝をしたり料理を作ったりしながらのんびりと過ごした。
だが、半年も経った頃に、再び退屈が襲って来た。
クソ……。本当、退屈って辛いよな。
暇つぶしに働いてみるかと思い、村の人たちがやっている畑仕事なんかを手伝ったのだが、疲れるのですぐにやめてしまった。村の人たちは『おめー、若ぇのに根性ねーなぁ』と笑っていたっけ。
あ、言ってなかったけど、俺って物凄くぐうたらなのだ。汗水垂らして働くことが大嫌いなのだ。
だから俺に畑仕事なんて土台無理な話だったのだ。
そんなわけで、俺はなにもすることが無くなりまた退屈と戦うことになってしまった。
あー暇だぜ。もうエルフの里に帰ろうかなぁなんて思っていた矢先に、ある本を読んだ。
その本も前の住民が置いていったものだったのだが、タイトルは『妖精の喫茶店』と言うものだった。妖精が喫茶店を開き、森の仲間たちに憩いの場を提供すると言う話だった。
それを見た俺は、ピコーン! と閃いた。
「そうだ! 俺も喫茶店を開こう! 村の人たちへの恩返しだ! 村の人たちの憩いの場を作ってやろう!」
思い立ったが吉日。
俺はすぐに準備に取り掛かった。
準備と言っても、たいしたことはしなかったが……。
店はこの家を使った。
リビングを喫茶店に改装し、椅子とテーブルを二セット用意した。ぶっちゃけこれは改装とは言わない。ただリビングに椅子とテーブルを置いただけだ。
これで店の準備はオッケー!
はたから見たらなにがオッケーなのか疑問に思われるかもしれないけど、俺がいいって言うならいいんだよ!
あとはメニューだな。
面倒くせーからインスタントコーヒーと適当なレシピで作ったパンケーキだけでいいか、と言う本物の喫茶店のマスターが知ったらぶん殴られそうなメニューを考案し、鼻息荒く店をオープンしたのが一カ月前。
最初は俺に気を遣って店に遊びにきてくれるお客さん(村の人たち)もいたが、一カ月経った今は、もうすでに閑古鳥が鳴いていた。
「クッソ! なんで誰も来ねーんだよ!」
そんな全てが適当な喫茶店もどきに客なんて来るわけねーだろと言う心の声が聞こえた気がしたが、俺は聞こえないふりをして一人で怒っていた。
そんな時だった。
入り口のベルがカランカランと鳴り、アイツが来店したのは。
エルフと聞いて連想するのは、耳がとんがっているとか美形ぞろいとか魔力が高いとか色々あると思う。
その中で特に注目するのが、長生きってことだ。そう、もちろん俺も長生きだ。年齢は今年で千歳になる。
千歳は、人間でいうと二十歳くらいかな。俺はエルフの間ではまだまだ若い部類に入る。
でも、俺は千歳でもうすでにこの世界に飽きていた。
だって退屈なのだ。世界を滅ぼそうとたくらむ魔王なんてのも出てこないし、隕石が落ちてきたりもしない。宇宙人が攻めてくることもなければ、エルフ狩りなんてのもない。この千年、本当に平和だったのだ。
退屈過ぎて死にそうになっていた俺は、二年前家族が止めるのも聞かずエルフの里を飛び出した。
外に出ればなにか退屈しのぎになると思ったのだ。
そこでぶらぶら放浪の旅をして、一年前この村にやってきた。
この村はカボス村と言う。人間が作り上げた小さな村だ。エルフの俺にも差別することなく普通の人間のように扱ってくれたのが嬉しかったので、俺はしばらくこの村に住むことにした。
家は村のはずれにある空き家を借りた。
借りるからには家賃を払わなきゃなと思って村長に相談したのだが、『いらん。好きに住め』と言われたのでご厚意に甘えることにした。
空き家には前の住民が置いていったのか、家具も一式揃っていた。こりゃあ有難いと思いそのまま使わせてもらっている。
それから俺は新しい家で昼寝をしたり料理を作ったりしながらのんびりと過ごした。
だが、半年も経った頃に、再び退屈が襲って来た。
クソ……。本当、退屈って辛いよな。
暇つぶしに働いてみるかと思い、村の人たちがやっている畑仕事なんかを手伝ったのだが、疲れるのですぐにやめてしまった。村の人たちは『おめー、若ぇのに根性ねーなぁ』と笑っていたっけ。
あ、言ってなかったけど、俺って物凄くぐうたらなのだ。汗水垂らして働くことが大嫌いなのだ。
だから俺に畑仕事なんて土台無理な話だったのだ。
そんなわけで、俺はなにもすることが無くなりまた退屈と戦うことになってしまった。
あー暇だぜ。もうエルフの里に帰ろうかなぁなんて思っていた矢先に、ある本を読んだ。
その本も前の住民が置いていったものだったのだが、タイトルは『妖精の喫茶店』と言うものだった。妖精が喫茶店を開き、森の仲間たちに憩いの場を提供すると言う話だった。
それを見た俺は、ピコーン! と閃いた。
「そうだ! 俺も喫茶店を開こう! 村の人たちへの恩返しだ! 村の人たちの憩いの場を作ってやろう!」
思い立ったが吉日。
俺はすぐに準備に取り掛かった。
準備と言っても、たいしたことはしなかったが……。
店はこの家を使った。
リビングを喫茶店に改装し、椅子とテーブルを二セット用意した。ぶっちゃけこれは改装とは言わない。ただリビングに椅子とテーブルを置いただけだ。
これで店の準備はオッケー!
はたから見たらなにがオッケーなのか疑問に思われるかもしれないけど、俺がいいって言うならいいんだよ!
あとはメニューだな。
面倒くせーからインスタントコーヒーと適当なレシピで作ったパンケーキだけでいいか、と言う本物の喫茶店のマスターが知ったらぶん殴られそうなメニューを考案し、鼻息荒く店をオープンしたのが一カ月前。
最初は俺に気を遣って店に遊びにきてくれるお客さん(村の人たち)もいたが、一カ月経った今は、もうすでに閑古鳥が鳴いていた。
「クッソ! なんで誰も来ねーんだよ!」
そんな全てが適当な喫茶店もどきに客なんて来るわけねーだろと言う心の声が聞こえた気がしたが、俺は聞こえないふりをして一人で怒っていた。
そんな時だった。
入り口のベルがカランカランと鳴り、アイツが来店したのは。
13
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)
入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?
monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。
そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。
主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。
※今回の表紙はAI生成です
※小説家になろうにも公開してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる