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第十四話 口論①
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俺がわしゃわしゃ頭を撫でていると、ネルトニアがくすぐったそうな顔をした。
「なんか、照れくさいです。いいおっさんが、子供みたいに頭を撫でられるなんて」
俺はニヤニヤと笑った。
「とか言って、本当は嬉しいんだろ? お前歳上が好きって言ってたもんな。実は甘えん坊だって、俺は見抜いてるぞ」
「いやはやお恥ずかしい。……その通りです。でも、俺は甘やかすのも好きですよ。だからフォルンさんも遠慮なく甘えてくださいね?」
「そうか? じゃあ遠慮なく」
俺はわしゃわしゃするのをやめて、ぽすんとネルトニアの胸に顔を埋めた。
実はおっさんのネルトニアに甘えてみたかったのだ。
そのまま猫のようにグリグリと頭を擦り付けると、ネルトニアはブルっと身体を震わせた。
「か、感激ですっ……! フォルンさんが俺なんかに甘えてくれるなんて……!」
「へへ。だっておっさん姿のお前優しそうなんだもん」
「っ! 嬉しいです。――フォルンさん、もしかして五十六歳の俺の方が好きですか? 俺ずっとこの姿でいた方がいいですか?」
「いや、俺はどんな姿のお前でも好きだぞ。だからお前は二十代でも五十代でも好きな姿でいろ」
「フォルンさん……!」
ネルトニアはよほど嬉しかったのか、目を潤ませながらギューッと俺を抱き締めたのだった。
※※※※
しばらくネルトニアとじゃれあっていたのだが、いつまでもこうしているわけにはいかない。
なぜなら青髪問題がまだ解決していないからだ。
俺は青髪が戻ってくる前に、ネルトニアの膝から下りた。
「ネルトニア。俺たちが正式に恋人同士になったこと、青髪にちゃんと言うぞ」
ネルトニアはコクンとうなずいた。
「もちろんです。きちんと説明して、アーリヤに諦めてもらいます」
「よし。よく言った。青髪に負けるなよ」
「はいっ」
ネルトニアはキリッとした顔でうなずいた。すると、それと同時に入り口のベルがカランカランと鳴った。
見ると、イリヤに手を引かれた青髪が戻ってきた。青髪の瞳は、さっき泣き腫らしたせいか真っ赤だった。
ネルトニアは立ち上がり、スタスタと青髪の元に向かった。俺もあとに続く。
「アーリヤ。もう一度話をしよう」
「……嫌です」
「嫌と言われても話すぞ。アーリヤ、もう俺のことは忘れてくれ。俺には新しい恋人がいるんだ」
青髪は悔しそうに唇を噛み、俺を睨んだ。
「こんな下品な男……ネル様には相応しくありません」
「失礼なことを言うな! フォルンさんのどこが下品なんだ!?」
「だってさっき、ネル様のお姿を見て性行為がしたいと言いました! 私やイリヤもいるのにそんなことを言うなんて、下品です!」
まぁ、確かに言ったよ。俺もちょっと下品だと思ったよ。でも、青髪にだけは言われたくねーな。
俺はふんっと鼻を鳴らしてから青髪を睨んだ。
「テメーの方が下品だろ。ネルトニアがいるのに他の男に股開いたんだから」
「!」
「おめー、本当最低だな。よくこんな一途な男を裏切れるよな。俺なら浮気なんて絶対しない。ネルトニアを大事にする」
「黙れ!! 私は浮気なんてしていない!!」
青髪の言葉に、ネルトニアは不快そうな表情をした。
「君は俺たちの部屋に男を連れ込んでいたじゃないか。裸で抱き合っていたくせに、よくそんなことが言えるな」
そうか。二人は同棲していたのか。それで、青髪がベッドで浮気男とセックスしていたところを、ネルトニアが目撃したってわけか。
うわー。それでよく浮気してねーとか言えんな。
俺は呆れた表情で青髪を見つめた。
だが、青髪はそんな視線は無視して話を続ける。
「ネル様、違うんです! あの男は遊びです! 私が本当に愛しているのは、ネル様だけなんです!」
必死の形相でなにを言ってるんだ、コイツは……。
「なんか、照れくさいです。いいおっさんが、子供みたいに頭を撫でられるなんて」
俺はニヤニヤと笑った。
「とか言って、本当は嬉しいんだろ? お前歳上が好きって言ってたもんな。実は甘えん坊だって、俺は見抜いてるぞ」
「いやはやお恥ずかしい。……その通りです。でも、俺は甘やかすのも好きですよ。だからフォルンさんも遠慮なく甘えてくださいね?」
「そうか? じゃあ遠慮なく」
俺はわしゃわしゃするのをやめて、ぽすんとネルトニアの胸に顔を埋めた。
実はおっさんのネルトニアに甘えてみたかったのだ。
そのまま猫のようにグリグリと頭を擦り付けると、ネルトニアはブルっと身体を震わせた。
「か、感激ですっ……! フォルンさんが俺なんかに甘えてくれるなんて……!」
「へへ。だっておっさん姿のお前優しそうなんだもん」
「っ! 嬉しいです。――フォルンさん、もしかして五十六歳の俺の方が好きですか? 俺ずっとこの姿でいた方がいいですか?」
「いや、俺はどんな姿のお前でも好きだぞ。だからお前は二十代でも五十代でも好きな姿でいろ」
「フォルンさん……!」
ネルトニアはよほど嬉しかったのか、目を潤ませながらギューッと俺を抱き締めたのだった。
※※※※
しばらくネルトニアとじゃれあっていたのだが、いつまでもこうしているわけにはいかない。
なぜなら青髪問題がまだ解決していないからだ。
俺は青髪が戻ってくる前に、ネルトニアの膝から下りた。
「ネルトニア。俺たちが正式に恋人同士になったこと、青髪にちゃんと言うぞ」
ネルトニアはコクンとうなずいた。
「もちろんです。きちんと説明して、アーリヤに諦めてもらいます」
「よし。よく言った。青髪に負けるなよ」
「はいっ」
ネルトニアはキリッとした顔でうなずいた。すると、それと同時に入り口のベルがカランカランと鳴った。
見ると、イリヤに手を引かれた青髪が戻ってきた。青髪の瞳は、さっき泣き腫らしたせいか真っ赤だった。
ネルトニアは立ち上がり、スタスタと青髪の元に向かった。俺もあとに続く。
「アーリヤ。もう一度話をしよう」
「……嫌です」
「嫌と言われても話すぞ。アーリヤ、もう俺のことは忘れてくれ。俺には新しい恋人がいるんだ」
青髪は悔しそうに唇を噛み、俺を睨んだ。
「こんな下品な男……ネル様には相応しくありません」
「失礼なことを言うな! フォルンさんのどこが下品なんだ!?」
「だってさっき、ネル様のお姿を見て性行為がしたいと言いました! 私やイリヤもいるのにそんなことを言うなんて、下品です!」
まぁ、確かに言ったよ。俺もちょっと下品だと思ったよ。でも、青髪にだけは言われたくねーな。
俺はふんっと鼻を鳴らしてから青髪を睨んだ。
「テメーの方が下品だろ。ネルトニアがいるのに他の男に股開いたんだから」
「!」
「おめー、本当最低だな。よくこんな一途な男を裏切れるよな。俺なら浮気なんて絶対しない。ネルトニアを大事にする」
「黙れ!! 私は浮気なんてしていない!!」
青髪の言葉に、ネルトニアは不快そうな表情をした。
「君は俺たちの部屋に男を連れ込んでいたじゃないか。裸で抱き合っていたくせに、よくそんなことが言えるな」
そうか。二人は同棲していたのか。それで、青髪がベッドで浮気男とセックスしていたところを、ネルトニアが目撃したってわけか。
うわー。それでよく浮気してねーとか言えんな。
俺は呆れた表情で青髪を見つめた。
だが、青髪はそんな視線は無視して話を続ける。
「ネル様、違うんです! あの男は遊びです! 私が本当に愛しているのは、ネル様だけなんです!」
必死の形相でなにを言ってるんだ、コイツは……。
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