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第四話 どうしよう……
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夜がふけるまでダイアスとセックスをしたメルテポは、そのあと疲れて寝てしまった。
目が覚めて時計を確認すると、もうお昼になっていた。媚薬の効果はすっかり消えている。ホッとしたメルテポはキョロキョロ辺りを見回した。
隣にダイアスはいない。どこに行ったのだろう?
とりあえずクローゼットから下着と衣類を取り出して身に付けると、メルテポはリビングに向かった。
「ここにもいない……」
ダイアスはどこかに出かけてしまったのだろうか? ちょっと寂しい気持ちになったが、一人で考える時間が欲しかったメルテポは、とりあえずソファに座る。
それから昨晩のことを思い出してじわじわと赤面した。
「ぼ、僕は……なんて恥ずかしいことをダイアスさまにお願いしてしまったのだろう……!」
たかが使い魔の分際で発情し、乱れに乱れて主人の身体を求めてしまった。その結果、主人とセックスまでしてしまったのだ。
ダイアスはきっと、呆れただろう。
もうこんなバカな使い魔は捨てたいと思ったかもしれない。だから今、ダイアスはいないのではないか? メルテポの顔も見たくないから外に出て行ってしまったのではないか?
メルテポは悲しさと申し訳なさで泣きたくなってきた。
ぐっと唇を噛み涙をこらえる。
「どうしようどうしよう……」
昨日に時間を戻せるなら戻したい。そうしたら、媚薬入りのカクテルなんて飲まなかったのに。
いや、そもそもあの男について行かなければよかったのだ。男に腕を引かれたとき、必死に抵抗して逃げればよかった。
自分のバカさに嫌気がさす。でも、もう後悔しても遅い。結局自分は媚薬を飲み、発情してダイアスに迷惑をかけてしまったのだ。
頭を抱えて「う~う~」後悔のうなり声をあげていたら、突然玄関のドアが開く音が聞こえた。
「!」
ダイアスが帰ってきたのだ。
居ても立っても居られなくなったメルテポは、すぐに玄関に走った。
「ダイアスさまぁー!」
メルテポの声に驚いたダイアスがこちらを見つめる。それから飛びついてきたメルテポを優しく抱きとめてくれた。
「どうしたのだ、メルテポ。そんなに慌てて」
「ごめんなさい! ダイアスさま!」
「え?」
「昨日は迷惑かけてごめんなさいー!」
我慢していた涙がポロポロとあふれてくる。何度も謝りダイアスの広い胸に頭を擦り付けていると、ダイアスは優しく頭を撫でてくれた。
「なぜお前が謝る? お前は悪いチンピラにそそのかされた被害者なのだぞ? 謝る必要はない」
「でも……! でもぉ……!」
「それより安心しろ。もうあのチンピラは二度と悪いことは出来んからな」
「え?」
メルテポは涙の残る瞳でダイアスの顔を見上げた。
大柄なダイアスに比べて、メルテポの身長はかなり小さいのだ。見上げなければ顔が見えない。
ダイアスはニッコリ微笑む。
「今、あのチンピラを自警団に引き渡してきた。メルテポが特徴を教えてくれたおかげだ」
「!」
さすがはダイアスだ。
ダイアスは昨日メルテポが状況を説明したときに、しっかりと男の特徴を覚えていたのだ。
それから今朝、あの酒場に行き酒を飲んでいる男を取り押さえ、自警団に引き渡したらしい。
罪状は、脅迫とレイプ未遂だ。男はメルテポをベッドに連れ込んだとき、妙に手慣れていた。きっと余罪があるだろう。その辺は自警団が取り調べをしてくれているのでのちのち明らかになるはずだ。そうなればあの男は牢屋行きだ。とうぶん外に出ることはないだろう。だからもう、メルテポが怯えることはないのだよと優しく説明してくれた。
メルテポは、昨日の今日なのにすぐに動いてくれたダイアスの行動力に驚いた。と同時に、本当にダイアスはメルテポのことを大事にしてくれていることが分かり感動した。
「ダイアスさま! ありがとう!」
ギュウギュウ抱き付いて感謝の言葉を述べると、ダイアスはニコニコと抱き返してくれた。
これでレイプ未遂問題は解決した。
だが、本当の問題はこれからだ。メルテポがダイアスを求めて、仕方なくそれに応えたダイアスの気持ちを考えるといたたまれない。
メルテポはしょんぼりうなだれてダイアスから離れた。
「ダイアスさま……。昨日は恥ずかしいことをさせてごめんなさい……」
メルテポの言葉に、ダイアスはちょっと動揺した。
ほんのり頬を染め、気まずそうにメルテポから目を逸らす。
「き、昨日のことはいいのだ。あれは仕方がなかったのだ。私も忘れるからお前も忘れろ」
「でも……僕を抱くの嫌だったでしょう? 気持ち悪いことさせてごめんなさい……」
「いや……。非常時とはいえ私の方が美味しいおもいをさせて貰って申し訳なかったと言うか……」
「え?」
「と、とにかく! 昨日のことは忘れろ! いいな?」
ダイアスがそう言うなら、メルテポはそれに従うだけだ。
でも、メルテポには気がかりなことがあった。
それは、今回の件でダイアスはメルテポのことが嫌いになってしまったかもしれないと言うことだ。
ダイアスに嫌われるのはつらい……。
メルテポはグスグス鼻を鳴らしながら、ポツリとつぶやいた。
「ダイアスさま……。僕のこと嫌いにならないで……」
「え?」
「ダイアスさまに嫌われたら、僕、生きていけない……」
「……。メルテポ……」
ポロリとこぼれた涙を、ダイアスの指先が優しく拭い取ってくれた。それから、壊れものをあつかうようにそっと抱き締める。
「嫌いになんかならないよ。メルテポは、今までもこれからも私の自慢の使い魔だ。だからもう、泣くのはおやめ。可愛い顔が台無しだぞ?」
ダイアスの言葉が嬉しくて、メルテポはポロポロ涙があふれた。それからダイアスにギュッと抱き付く。
「ダイアスさまぁ~!!」
安心してギャンギャン泣くメルテポの背中を撫でながら、ダイアスは長い時間メルテポを慰めてくれたのだった。
目が覚めて時計を確認すると、もうお昼になっていた。媚薬の効果はすっかり消えている。ホッとしたメルテポはキョロキョロ辺りを見回した。
隣にダイアスはいない。どこに行ったのだろう?
とりあえずクローゼットから下着と衣類を取り出して身に付けると、メルテポはリビングに向かった。
「ここにもいない……」
ダイアスはどこかに出かけてしまったのだろうか? ちょっと寂しい気持ちになったが、一人で考える時間が欲しかったメルテポは、とりあえずソファに座る。
それから昨晩のことを思い出してじわじわと赤面した。
「ぼ、僕は……なんて恥ずかしいことをダイアスさまにお願いしてしまったのだろう……!」
たかが使い魔の分際で発情し、乱れに乱れて主人の身体を求めてしまった。その結果、主人とセックスまでしてしまったのだ。
ダイアスはきっと、呆れただろう。
もうこんなバカな使い魔は捨てたいと思ったかもしれない。だから今、ダイアスはいないのではないか? メルテポの顔も見たくないから外に出て行ってしまったのではないか?
メルテポは悲しさと申し訳なさで泣きたくなってきた。
ぐっと唇を噛み涙をこらえる。
「どうしようどうしよう……」
昨日に時間を戻せるなら戻したい。そうしたら、媚薬入りのカクテルなんて飲まなかったのに。
いや、そもそもあの男について行かなければよかったのだ。男に腕を引かれたとき、必死に抵抗して逃げればよかった。
自分のバカさに嫌気がさす。でも、もう後悔しても遅い。結局自分は媚薬を飲み、発情してダイアスに迷惑をかけてしまったのだ。
頭を抱えて「う~う~」後悔のうなり声をあげていたら、突然玄関のドアが開く音が聞こえた。
「!」
ダイアスが帰ってきたのだ。
居ても立っても居られなくなったメルテポは、すぐに玄関に走った。
「ダイアスさまぁー!」
メルテポの声に驚いたダイアスがこちらを見つめる。それから飛びついてきたメルテポを優しく抱きとめてくれた。
「どうしたのだ、メルテポ。そんなに慌てて」
「ごめんなさい! ダイアスさま!」
「え?」
「昨日は迷惑かけてごめんなさいー!」
我慢していた涙がポロポロとあふれてくる。何度も謝りダイアスの広い胸に頭を擦り付けていると、ダイアスは優しく頭を撫でてくれた。
「なぜお前が謝る? お前は悪いチンピラにそそのかされた被害者なのだぞ? 謝る必要はない」
「でも……! でもぉ……!」
「それより安心しろ。もうあのチンピラは二度と悪いことは出来んからな」
「え?」
メルテポは涙の残る瞳でダイアスの顔を見上げた。
大柄なダイアスに比べて、メルテポの身長はかなり小さいのだ。見上げなければ顔が見えない。
ダイアスはニッコリ微笑む。
「今、あのチンピラを自警団に引き渡してきた。メルテポが特徴を教えてくれたおかげだ」
「!」
さすがはダイアスだ。
ダイアスは昨日メルテポが状況を説明したときに、しっかりと男の特徴を覚えていたのだ。
それから今朝、あの酒場に行き酒を飲んでいる男を取り押さえ、自警団に引き渡したらしい。
罪状は、脅迫とレイプ未遂だ。男はメルテポをベッドに連れ込んだとき、妙に手慣れていた。きっと余罪があるだろう。その辺は自警団が取り調べをしてくれているのでのちのち明らかになるはずだ。そうなればあの男は牢屋行きだ。とうぶん外に出ることはないだろう。だからもう、メルテポが怯えることはないのだよと優しく説明してくれた。
メルテポは、昨日の今日なのにすぐに動いてくれたダイアスの行動力に驚いた。と同時に、本当にダイアスはメルテポのことを大事にしてくれていることが分かり感動した。
「ダイアスさま! ありがとう!」
ギュウギュウ抱き付いて感謝の言葉を述べると、ダイアスはニコニコと抱き返してくれた。
これでレイプ未遂問題は解決した。
だが、本当の問題はこれからだ。メルテポがダイアスを求めて、仕方なくそれに応えたダイアスの気持ちを考えるといたたまれない。
メルテポはしょんぼりうなだれてダイアスから離れた。
「ダイアスさま……。昨日は恥ずかしいことをさせてごめんなさい……」
メルテポの言葉に、ダイアスはちょっと動揺した。
ほんのり頬を染め、気まずそうにメルテポから目を逸らす。
「き、昨日のことはいいのだ。あれは仕方がなかったのだ。私も忘れるからお前も忘れろ」
「でも……僕を抱くの嫌だったでしょう? 気持ち悪いことさせてごめんなさい……」
「いや……。非常時とはいえ私の方が美味しいおもいをさせて貰って申し訳なかったと言うか……」
「え?」
「と、とにかく! 昨日のことは忘れろ! いいな?」
ダイアスがそう言うなら、メルテポはそれに従うだけだ。
でも、メルテポには気がかりなことがあった。
それは、今回の件でダイアスはメルテポのことが嫌いになってしまったかもしれないと言うことだ。
ダイアスに嫌われるのはつらい……。
メルテポはグスグス鼻を鳴らしながら、ポツリとつぶやいた。
「ダイアスさま……。僕のこと嫌いにならないで……」
「え?」
「ダイアスさまに嫌われたら、僕、生きていけない……」
「……。メルテポ……」
ポロリとこぼれた涙を、ダイアスの指先が優しく拭い取ってくれた。それから、壊れものをあつかうようにそっと抱き締める。
「嫌いになんかならないよ。メルテポは、今までもこれからも私の自慢の使い魔だ。だからもう、泣くのはおやめ。可愛い顔が台無しだぞ?」
ダイアスの言葉が嬉しくて、メルテポはポロポロ涙があふれた。それからダイアスにギュッと抱き付く。
「ダイアスさまぁ~!!」
安心してギャンギャン泣くメルテポの背中を撫でながら、ダイアスは長い時間メルテポを慰めてくれたのだった。
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