【完結】主従関係が崩れるとき

チョロケロ

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第五話 使い魔は悪い遊びを覚えてしまった

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 レイプ未遂事件が起きてから二週間が経過した。

 犯人も自警団に捕まったし、メルテポはダイアスに嫌われなかったし、全てが元通りになった。めでたしめでたし。……と、言いたいところだが、そうはならなかった。

「……っ。ん……っ」

 メルテポのほっそりした指が後孔をかき混ぜる。
 だが、ダイアスに抱かれたときのようなしびれる快感は襲ってこなかった。
 メルテポの後孔は、陰茎を挿れなけば満足できないのだ。ダイアスに抱かれ、そういう身体に作り変えられてしまった。
 達したいのに上手く達することができない。
 仕方がないので後孔から指を引き抜き、達することを諦めた。
 めでたしめでたしと言えない原因、それがこれだ。
 メルテポは最近、悪い遊びを覚えてしまったのだ。
 それは、後孔弄りだ。
 お尻の穴に指を突っ込み、無茶苦茶にかき混ぜるのだ。なぜこんなことをするようになってしまったのかというと、ダイアスに抱かれたのが影響する。
 あのときの快感が忘れられないのだ。
 最初はそんなはしたないとしちゃいけないと我慢していたのだが、だんだん欲求不満になってきて我慢できなくなってしまった。
 性欲が爆発しそうになったメルテポは、ある日勇気を出して自分で後孔を弄ってみた。
 そうしたら、すごく気持ちよかった。それから後孔弄りにハマり、自室にいるときはひっきりなしにお尻をいじるようになってしまったのだ。
 だが、残念なことに自分の指だけでは達することが出来なかった。やはり、ダイアスのあの太くて長い陰茎でなければダメなのだ。
 結果、余計欲求不満になり、メルテポはムラムラした気持ちのまま毎日を過ごしている。

 メルテポは自分が変態になってしまったような気がして苦しかった。自慰をしている姿なんて、絶対にダイアスに見られたくない。そう思うのに、もし見られたらどうなるのだろう? と想像してしまうのだ。
 もしかしたらやり方が下手くそだと手伝ってくれるかもしれない。いいや、それとも情けをかけて抱いてくれるかもしれない。
 そんなことを考えると、再び身体が熱くなってしまうのだ。

――あぁ。僕、これからどうしよう……。

 出口の見えない性的欲求に悩まされて、メルテポは頭がおかしくなりそうだった。
 いやらしい考えを払拭するために頭を振ると、なんとなく時計を確認した。
 もう夕飯の時間だ。
 そろそろご飯を作らなければ。
 メルテポは脱ぎ捨てていた下着とスラックスを身に付けると、悶々とした気持ちで自室を出たのだった。

※※※※

 今日の夕飯はそうめんにした。
 暑い日が続くので、さっぱりしたものが食べたかったのだ。
 つけ汁にはたっぷりの氷を浮かべた。みょうがと生姜を刻み、小皿にのせてテーブルに置くと、ダイアスはゴクリと生唾を飲みこんだ。

「私はみょうがが大好きなのだ。たっぷり入れるぞ」
「そう言うと思ってたくさん切っておきました」
「ありがとう。さすがはメルテポだ。――さぁ、いただこう」

 二人で椅子に座り、「いただきます」と言ってから食べ始める。
 夏バテ知らずのダイアスは、もりもりそうめんを食べてあっという間に完食してしまった。
 だが、メルテポの食は進まない。そうめんも、四分の一ほどしか手をつけていない。
 それを見て、ダイアスは心配そうな表情を浮かべた。

「どうしたメルテポ。食べないのか?」
「あまりお腹が空かないのです」
「夏バテか?」
「違います……」
「ならばどうした。なにか悩みごとがあるのか?」

 まさか欲求不満すぎて悩んでいますとも言えず、メルテポはうつむいてしまった。

「お前に元気がないと、家が静まり返っている。私も寂しい。いつもの元気な姿を見せておくれ」
「……」

 メルテポは顔を上げ、ダイアスに笑って見せた。だが、無理矢理笑ったので引きつった笑顔になってしまった。

「メルテポ……」

 無理矢理笑ったのがバレていて、ダイアスは更に深刻な表情を浮かべた。
 その姿にいたたまれなさを感じたメルテポは、椅子から立ち上がった。

「今日はもう寝ます……」  

 そんな言葉と共に、残ったそうめんを冷蔵庫にしまった。
 それから風呂に入り、ダイアスの心配そうな表情に見守られながら、早々に自室にこもってしまったのだった。

※※※※

 自室に入ると、また自慰がしたくなってきた。
 さっきしたのにもうしたくなるなるなんて、自分の身体はどこかおかしくなってしまったのだろうか?
 そんな不安を抱えながらもパジャマのズボンを脱ぎ捨てる。ベッドに座ると足を大きく広げ、すぐに尻をいじり始めた。

「あっ……! あっ……。ダイアスさま……。ダイアスさま……!」

 ダイアスの顔を思い浮かべながら、夢中で後孔をかき混ぜる。だが、決定的ななにかが足りず、やっぱり達することは出来なかった。
 それでもメルテポは手を止めず、夢中で指を動かす。
 表情は半泣きだ。達したくても達っせないことがこんなに苦しいなんて。

「ダイアスさま……! お願い……おちんちんちょうだい……。ダイアスさま、好き……! ダイアスさま……、ダイアスさまぁっ」

 一心不乱に後孔をいじるメルテポは、気が付かなかった。自分の部屋に向かって足音が近付いてきていることに。
 人の気配を感じてハッとしたときには、もうすでに部屋のドアが開いていた。そこにはニコニコ笑うダイアスが立っていて、メルテポに声をかけてきたのだ。

「メルテポ。街でアイスを買ってきたぞ。お前もアイスなら食べられるだろう? 一緒に食べ――」

『一緒に食べよう』と言おうと思ったダイアスは、メルテポの状態を見て言葉を失った。
 なんとメルテポは半裸でベッドに座り、こちらに後孔を見せつけながら指を突っ込んでいる最中だったのだ。
 これは明らかに、どこからどう見ても自慰だ。誤魔化すことは出来ない。
 二人の間に沈黙が流れた。それは数秒のことだったが、メルテポには何時間にも感じられた。

――見られた。ダイアスさまに自慰を見られた!

 見て欲しいなどと妄想していたくせに、実際に見られるとものすごく恥ずかしくて、メルテポは死んでしまいたくなった。
 ダイアスもすぐに部屋から出ていけばいいものを、あまりの光景に顔を真っ赤にして硬直している。

「メ、メルテポ……。お前……」

 名前を呼ばれたことで、メルテポの恥ずかしさが爆発してしまった。

「うわーーーーん!!!」

 気が付いたら号泣していた。
 メルテポは、本当に今すぐ死んでしまいたいと思ったのだった。
 
 
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