【完結】みにくい魔王は恋をする〜パンツ一丁で召喚されたダメ男は、魔王の救世主だった〜

チョロケロ

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第六話 来客

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 昨日のユートとの情事も激しかった。
 思い出すだけで身体が熱くなってしまう。あぁ……ユートは本当にカッコいいな……。

 そんなことをうっとりと考えていたら、私の横に待機している側近のミストが眉を吊り上げた。

「魔王様! ボーっとしてないで真面目に仕事をしてください!」
「うっ……。分かっている」

 ここは執務室。私の仕事場だ。
 私の仕事は国民の要望書や意見書などに目を通し、決済するかしないか決めること。他には国の予算や条例の見直し、政策の実施など多岐にわたる。
 各国の王と会議をすることもあるが、今日の仕事はデスクワークだ。書類に目を通し、国民の要望に対して承認か否かを決断している。
 ミストは補佐だ。私の隣に立ち、事務仕事や助言などをしてくれる。
 今は私が書類も手に取らずボーっとしていたので、厳しく注意したのだ。

 ユートのことばかり考えてしまうが、私も一応魔王なのだ。余計な雑念は払い、仕事に専念せねば……と思い、それ以降は真面目に仕事をした。

 夕方になり、書類の山がなくなりかけた頃、その者は突然やってきた。

「魔王! いるかー!?」

 執務室の扉が勢い良く開き、筋肉隆々の大男が入って来たのだ。

「……! おぉ、イワルゴスではないか」

 イワルゴスは、龍国を治める王だ。
 龍国は国民の全てが龍族だ。気性が荒く、身体の大きな者が多いのが特徴だ。
 イワルゴスも身体が大きい。歳は400歳を超えていると聞く。赤い髪と黄金の瞳を持った壮年の男だ。
 イワルゴスと会うのは久しぶりだな、などと思っていたら、イワルゴスがドスドス足音を鳴らしながら近付いてきた。
 私の前に立ち、ジィッと顔を見つめる。それから大きな声で笑い始めた。

「こりゃ驚いた!! 噂は本当じゃったのか!! 世界一のブ男が、世界一の美男子になっておる!!」
「……」

 ……そうか。イワルゴスに人型の姿を見せるのは初めてだな。と、言うか魔王城に住む者以外にこの姿を見せたのは初めてだ。
 だって人型になったからと言って、各国の王を集め、自分の姿をわざわざお披露目ひろめするなんて変な話だろう?
 だから私は、人型になってもそれを外に話したりしなかったのだ。
 だが、噂と言うのはすぐに広まるもの。恐らく魔王城の使用人かなにかが外で私のことを話し、それが龍国まで伝わったのだろう。

「イワルゴス。ブ男などと言うな。傷付くだろう?」
「だって本当にみにくかったではないか! みにく過ぎて見るたびに吐き気がしたぞ!?」

 失礼なことを言う。
 だが、私はこの男のことがそんなに嫌いではなかった。
 イワルゴスは面と向かって物事をハッキリ言うが、陰口などは大嫌いなのだ。
 以前、私の陰口を言っていた他国の王を怒鳴りつけていたのを知っている。
 口は悪いが、根は悪いやつではないのだ。

「イワルゴス。それで、何の用だ? 私の人型を見るためだけに龍国から来たのではあるまいな?」
「いいや! お前の顔を見るためだけにわざわざ来んじゃ!!」

 そ、そんな理由で来たのか……。
 私は呆れてしまった。
 そんな私を見ながら、イワルゴスはとんでもないことを言い放つ。

「こんな美男なら、ワシの一人娘の婿むこにしてやってもいい!! お前は顔以外は完璧な魔王じゃからな!!」
「……。冗談はよしてくれ。レイナが私と夫婦になりたいなどと思うわけないだろう?」

 レイナとは、イワルゴスの一人娘のことだ。
 龍族には珍しく、華奢で内気な少女だ。そして、母親ゆずりの美しい顔をしている。
 そんなたおやかな娘が、私を好きになるなんてあり得ない。
 だが、イワルゴスは乗り気のようで、どんどん話を進めようとする。

「いいや! 分からんぞ!? 今のお前を見れば好きになるかもしれん!!」
「ならないよ」
「とにかく、今度レイナをここに連れて来る! そのとき一緒に街へ出掛けてみろ!!」
「嫌だよ」
「元ブ男は消極的でいかん!! もっとガツガツせい!!」
「……」
「では、また来るからの!!」

 そう言ってイワルゴスはドスドス足音を鳴らしながら帰っていった。
 嵐のような男だ。突然来て、突然去っていった……。

 私はどっと疲れが押し寄せてきて、机に突っ伏した。

「なんなのだイワルゴスは……」

 私たちのやり取りを黙って見ていたミストは、フフッと笑った。

「いいじゃないですか。レイナ様は龍国一の美女です。魔王様とお似合いですよ?」
「お前までそんな冗談を言うのか?」

 確かにレイナは美しく性格も良い。妻にするなら理想の女だろう。
 だが、私は今結婚など考えていない。
 私の頭の中は、ユートのことでいっぱいなのだ。

 まぁ、イワルゴスも本気で言ったのではないだろうと思い、今日のことはすぐに忘れてしまったのだった。
 
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