【完結】クールなイケメンに育った愛弟子は、なぜか俺にそっけない

チョロケロ

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第四話 ここで別れるなんてあり得ない! 再会を祝して飲み明かそうぜ!

 セラピドの頭を満足いくまで撫でた俺は、そのあと真面目に仕事をした。
 一人で結界を修復していたら結構な時間が掛かったろうが、なんせ今回は優秀な魔導士がたくさんいる。しかも、俺が来るまでに他の三人がほとんど修復作業をやってくれていたので、俺は仕上げをちょいちょいっとやっただけで、その日の夕方までには全ての作業が終わってしまった。
 俺たちの仕事を見守っていた騎士団の騎士たちに修復作業が終わったことを告げると、もの凄く感謝され、ぺこぺこ頭を下げられた。褒美は後日用意するので、再びレセナ城に取りに来てくれと言われた。

 無事仕事も終わったので、俺は再びセラピドの元に行く。セラピドは俺に話しかけられる前にさっさと帰ろうとしていたので、肩に手を回して「まぁ、待て待て」と呼び止めた。

「なんですか? 先生」
「へへ。セラピドー! 再会を祝して飲みに行こうぜー!」

 すると、俺の声がカインとアベルにも聞こえたようで、ニコニコとこちらに近付いてきた。

「ドラテナ殿。飲みに行くのですか? 是非我らも参加したいです」
「んー。悪いけど二人で飲みたいんだわ。なんせ久々の師匠と弟子の再会だからな」
「「!」」

 カインとアベルは驚いたような表情をした。

「なんと! 弟子とはセラピド殿のことですか?」
「そう。セラピドを育てたのは、なにを隠そうこの俺だ!」
「それは凄い! この若さでこれほど優秀な魔導士は見たことがないと思っていたのですよ。ドラテナ殿が師匠ならば納得です」
「へへー。まぁな!」

 俺は弟子が褒められて自分のことのように嬉しくなった。
 ペラペラとセラピドとの出会いから別れまでを話し、三年ぶりに再会したから二人っきりで飲みたいんだ、と話すと納得してくれた。

「そうですか。では、二人で楽しんでください」
「あぁ。悪いな」

 そんな会話をして、カインとアベルとは別れた。
 さて、あとはセラピドだ。

「じゃあセラピド。行くかー!」
「私は忙しいのですが……」

 あーこの野郎! 師匠の飲みの誘いを断ろうとしてやがる! 生意気なっ!
 俺はセラピドの腕を掴み、勝手に歩き出した。

「師匠の誘いより重要なことはねーんだよ! お前に拒否権はねーんだ。いいから着いてこい!」

 俺にズルズル引きずられたセラピドは、不服そうな表情をしていたが、諦めたのかハァーっとため息を吐いた。

「先生は相変わらずですね……」
「へへっ。そうかぁ?」

 そんな会話をしながら、俺はセラピドを無理矢理酒場に引っ張っていったのだった。

※※※※

 それから酒場でべろべろになるまで飲んだ。同じ量を飲んでいるはずなのに、セラピドは涼しい顔だ。
 コイツ、酒つえーんだな。などと思いながら手酌でワインを注ぐ。

「それでセラピド! お前マルニル王国で有名な魔導士らしいな」
「まぁ……。王にはお世話になっています」
「そうか。と、言うことはマルニル王国に住んでるのか?」
「はい」
「じゃあ俺に手紙で知らせろよ! 心配したじゃねーか!」
「……。すみません」

 独り立ちをしたらもう俺のことなんてどうでも良くなったんだな!?
 全く……、薄情な弟子だぜ!

「謝って済む問題じゃねーんだよ! お前には人の心が無いのか!」
「……すみません。先生のことを忘れようと必死で、わざと出さなかったんです……」

 な、なんだとー!?
 酷いやつだ! 本当に酷いやつだ!
 恩を仇で返すとはこのことだ!
 俺はセラピドの頭をヘッドロックで締め付けた。

「こ、この野郎!! 俺を忘れようとしただと!? 生意気なやつだ!! お前が忘れても、俺はしつこく覚えてるからな!! なにがあってもお前は俺の可愛い弟子なんだよ!!」
「……」

 俺の言葉を聞いて、セラピドはキョトンと目を丸くした。だが、じわじわと頰が赤くなってゆく。
 なんだぁ? 俺の熱烈な告白に照れてんのか?
 俺はニヤニヤ笑いながらセラピドを揶揄からかった。

「おい、俺が可愛いって言ったのが嬉しかったのかぁ?」
「……別に」

 そう言ってセラピドは、照れたように目線を逸らしたのだった。

※※※※

 それからも俺は一人で盛り上がり、ガンガン飲んだ。
 飲み過ぎて眠くなってきた。
 目をしょぼしょぼさせながらテーブルに突っ伏していたら、セラピドが気遣うように背中を撫でてくれた。

「先生。大丈夫ですか?」
「眠い……。お前家この辺なんだろ? 今晩泊めてくれよ……」

 酔っ払って弟子の家に転がり込もうとする師匠……。
 ハッキリ言って、俺の威厳はゼロだ。
 もしかしてセラピドは、俺のこういうところが嫌いで連絡を絶ったのかも……。などとちょっと心配になった。
 恐る恐るセラピドの顔を覗き込むと、セラピドは困ったような表情をしていた。

「私の家に来るのですか……? 家になんか来たら、さすがの私も我慢できませんよ?」

 なにを我慢するんだ?
 我慢の限界で怒鳴りつけるってことか?
 おー怖い怖い。
 俺はセラピドの体にガシッと抱き付き、うわーんと泣く真似をした。

「そんな冷たいこと言うなよぉー。セラちゃーん!」
「……っ」

 セラピドの顔がみるみる赤くなっていった。
 なんだぁ? コイツ。素面に見えるけど、実は酔っ払ってるのか? セラちゃんと呼ばれたのが恥ずかしかったのかもしれない。

「……分かりました。ですが、どうなっても知らないですからね」
「セラちゃん! ありがとうなぁ!」

 やっぱり俺の言うことは嫌々ながらでも聞いてくれる。昔からセラピドはこうだよなぁ。可愛い弟子だぜ!

 それから俺たちは会計をして店を出た。
 酒が回っているせいで歩くのが面倒くさい。
「セラピドー。おんぶー」と甘えると、セラピドはため息をつきながらも俺をおんぶして歩き始めた。

 マジでセラピドは可愛い弟子だぜ!
 そんなことを思いながら、俺はニヤニヤ笑いが止まらなかったのだった。
 
 
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