6 / 8
第六話 睨み合い
しおりを挟む
「リズトリア!!」
僕は慌ててソファから立ち上がると、リズトリアに抱き付いた。
「リズトリア! 助けてくれてありがとう。――でも、あれだけぐっすり寝ていたのに、よく僕の声が聞こえたね?」
僕はリズトリアが僕の声に気付いて助けに来てくれたと思ったのだ。
僕の問いに、リズトリアは『当たり前だ!』と叫んだ。
「以心伝心だよ! 寝ててもお前のピンチには必ず駆け付ける! 俺たちは、心で繋がってるんだよ!」
「……。それ本当?」
「……」
リズトリアは気まずそうにぽりぽりと頰をかいた。
「……本当は、ションベン行きたくなって起きたんだよ。そんでトイレ行ったあと寝室に戻ろうとしたら、リビングからお前の叫び声が聞こえて……」
あ……以心伝心じゃなくて、偶然だったんだね。
でも助かった!
このままリズトリアが来てくれなかったら取り返しのつかないことになっていた。
本当に良かった!
僕はさっきよりも強くひしっとリズトリアに抱き付いた。
すると、背後から残念そうなメリーさんの声が聞こえた。
「あーあ。もう少しでクリムさんを抱けたのになぁ……」
恐る恐る声の方を振り返ると、フラフラしながらメリーさんが立ち上がるところだった。
「しかし、効きましたねぇ。さすが体力バカなだけある。もの凄い蹴りでしたね」
「うるせー! それよりテメー、どういうつもりだ!」
「どういうつもりもありませんよ。クリムさんを初めて見たときから、ヤリたいと思っていたんですよ」
メリーさんのあけすけな言葉を聞いて、リズトリアの髪の毛がブワッと逆立った気がした。
た、大変だ……!
リズトリアが怒っている。こんなリズトリア、今まで見たことがない。
「テメー……。殺す」
「ダ、ダメだよリズトリア。落ち着いて!」
「クリム。手を離せ。今からアイツを殺しにいく」
ヒィ!!
腕を話したら本当に殺してしまいそうだ!
リズトリアを殺人者にしないためにも、絶対離れないぞ! そんなことを思いながら、僕は渾身の力を込めてリズトリアに抱き付いていた。
すると、メリーさんが困ったように笑った。
「さすがの私も、戦士の貴方とやり合う気はありません。魔法勝負ならともかく、殴り合いで貴方に勝てるとも思えないので」
「そうか……。じゃあ、今から外に出るか? 外ならお前の得意な魔法が使い放題だぞ?」
「……。遠慮します。魔法が使えたとしても、勝てる見込みは薄いので……」
メリーさんは残念そうにハァー……とため息をつくと、クルッと僕たちに背を向けた。
「今日のところは退散します。貴方に殺されたくないので」
「そうか……。でも、次はねーからな!」
「ふふ……。それはどうでしょう?――クリムさん、そのバカガキに飽きたら教えてください。私がお相手しますよ? 貴方に本当のセックスを教えてあげましょう」
そんなことを言いながら、パチンッと僕にウィンクしたので、ゾォーっと背筋が凍った。
「ぼ、僕はリズトリア一筋です!」
「ふふ……。それは残念ですね。では、また――」
そう言って慌てる様子もなく、スタスタと部屋を出て行ってしまった。
その間もリズトリアはメリーさんに殴り掛かろうと殺気だっていたので、僕は必死に抱き付いてリズトリアの動きを止めていたのだった。
僕は慌ててソファから立ち上がると、リズトリアに抱き付いた。
「リズトリア! 助けてくれてありがとう。――でも、あれだけぐっすり寝ていたのに、よく僕の声が聞こえたね?」
僕はリズトリアが僕の声に気付いて助けに来てくれたと思ったのだ。
僕の問いに、リズトリアは『当たり前だ!』と叫んだ。
「以心伝心だよ! 寝ててもお前のピンチには必ず駆け付ける! 俺たちは、心で繋がってるんだよ!」
「……。それ本当?」
「……」
リズトリアは気まずそうにぽりぽりと頰をかいた。
「……本当は、ションベン行きたくなって起きたんだよ。そんでトイレ行ったあと寝室に戻ろうとしたら、リビングからお前の叫び声が聞こえて……」
あ……以心伝心じゃなくて、偶然だったんだね。
でも助かった!
このままリズトリアが来てくれなかったら取り返しのつかないことになっていた。
本当に良かった!
僕はさっきよりも強くひしっとリズトリアに抱き付いた。
すると、背後から残念そうなメリーさんの声が聞こえた。
「あーあ。もう少しでクリムさんを抱けたのになぁ……」
恐る恐る声の方を振り返ると、フラフラしながらメリーさんが立ち上がるところだった。
「しかし、効きましたねぇ。さすが体力バカなだけある。もの凄い蹴りでしたね」
「うるせー! それよりテメー、どういうつもりだ!」
「どういうつもりもありませんよ。クリムさんを初めて見たときから、ヤリたいと思っていたんですよ」
メリーさんのあけすけな言葉を聞いて、リズトリアの髪の毛がブワッと逆立った気がした。
た、大変だ……!
リズトリアが怒っている。こんなリズトリア、今まで見たことがない。
「テメー……。殺す」
「ダ、ダメだよリズトリア。落ち着いて!」
「クリム。手を離せ。今からアイツを殺しにいく」
ヒィ!!
腕を話したら本当に殺してしまいそうだ!
リズトリアを殺人者にしないためにも、絶対離れないぞ! そんなことを思いながら、僕は渾身の力を込めてリズトリアに抱き付いていた。
すると、メリーさんが困ったように笑った。
「さすがの私も、戦士の貴方とやり合う気はありません。魔法勝負ならともかく、殴り合いで貴方に勝てるとも思えないので」
「そうか……。じゃあ、今から外に出るか? 外ならお前の得意な魔法が使い放題だぞ?」
「……。遠慮します。魔法が使えたとしても、勝てる見込みは薄いので……」
メリーさんは残念そうにハァー……とため息をつくと、クルッと僕たちに背を向けた。
「今日のところは退散します。貴方に殺されたくないので」
「そうか……。でも、次はねーからな!」
「ふふ……。それはどうでしょう?――クリムさん、そのバカガキに飽きたら教えてください。私がお相手しますよ? 貴方に本当のセックスを教えてあげましょう」
そんなことを言いながら、パチンッと僕にウィンクしたので、ゾォーっと背筋が凍った。
「ぼ、僕はリズトリア一筋です!」
「ふふ……。それは残念ですね。では、また――」
そう言って慌てる様子もなく、スタスタと部屋を出て行ってしまった。
その間もリズトリアはメリーさんに殴り掛かろうと殺気だっていたので、僕は必死に抱き付いてリズトリアの動きを止めていたのだった。
18
あなたにおすすめの小説
推しぬいを作って愛でてたら、本人に見られた
チョロケロ
BL
幼馴染の翔平に恋をしている比呂は、その気持ちを伝えるつもりはなかった。その代わりに翔平のぬいぐるみを作って愛でていたら、その姿を本人に目撃されてしまうのであった。
※宜しくお願いします。
※ムーンライトノベルズ様でも公開しています。
顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!
小池 月
BL
男性オメガの「本田ルカ」は中学三年のときにアルファにうなじを噛まれた。性的暴行はされていなかったが、通り魔的犯行により知らない相手と番になってしまった。
それからルカは、孤独な発情期を耐えて過ごすことになる。
ルカは十九歳でオメガモデルにスカウトされる。順調にモデルとして活動する中、仕事で出会った俳優の男性アルファ「神宮寺蓮」がルカの番相手と判明する。
ルカは蓮が許せないがオメガの本能は蓮を欲する。そんな相反する思いに悩むルカ。そのルカの苦しみを理解してくれていた周囲の裏切りが発覚し、ルカは誰を信じていいのか混乱してーー。
★バース性に苦しみながら前を向くルカと、ルカに惹かれることで変わっていく蓮のオメガバースBL★
性描写のある話には※印をつけます。第12回BL大賞に参加作品です。読んでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします(^^♪
11月27日完結しました✨✨
ありがとうございました☆
悪役のはずだった二人の十年間
海野璃音
BL
第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。
破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。
※ムーンライトノベルズにも投稿しています。
大好きな親友に嫌いって言われた。もう生きるのがツライ
チョロケロ
BL
《吸血鬼×人間》
ユーベラスは僕の自慢だ。
美形だし優しいし頭も良い。なにより魔族なのに、人間の僕と仲良くしてくれる。
口に出したことはないけど、ユーベラスのことは親友だと思っている。
そんな親友に大嫌いと言われてしまった。もう生きていくのがツライ……。
愛が重くて鬱気味な吸血鬼となんでも受け入れる人間のお話です。
ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
宜しくお願いします。
初恋を諦めるために惚れ薬を飲んだら寵妃になった僕のお話
トウ子
BL
惚れ薬を持たされて、故国のために皇帝の後宮に嫁いだ。後宮で皇帝ではない人に、初めての恋をしてしまった。初恋を諦めるために惚れ薬を飲んだら、きちんと皇帝を愛することができた。心からの愛を捧げたら皇帝にも愛されて、僕は寵妃になった。それだけの幸せなお話。
2022年の惚れ薬自飲BL企画参加作品。ムーンライトノベルズでも投稿しています。
お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)
給餌行為が求愛行動だってなんで誰も教えてくれなかったんだ!
永川さき
BL
魔術教師で平民のマテウス・アージェルは、元教え子で現同僚のアイザック・ウェルズリー子爵と毎日食堂で昼食をともにしている。
ただ、その食事風景は特殊なもので……。
元教え子のスパダリ魔術教師×未亡人で成人した子持ちのおっさん魔術教師
まー様企画の「おっさん受けBL企画」参加作品です。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる