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第七話 パーティ解消
しおりを挟む玄関からバタンと音がして、メリーさんが家から出ていったことを知った。
すると、強張っていたリズトリアの身体からフッと力が抜けた。
良かった。とりあえずリズトリアは殺人者にならなかったぞ。
ホッとした僕も腕の力を緩めた。
「リズトリア、大丈夫?」
僕の言葉を聞いて、リズトリアが痛いくらいに抱き締めてきた。
「それは俺のセリフだ! 怖かっただろう? アイツに変なことされなかったか!?」
「うん、大丈夫だよ。軽くキスされただけだから」
本当は乳首を舐められたし、口内に舌も入れられたけど、それは黙っておこう。心配かけちゃうからね。
だが、それでもリズトリアはキレた。
「なにぃ!? アイツにキスされたのか!? やっぱりぶっ殺しとけば良かった!」
怖いなぁ……。絶対キス以外のことは黙っておこう……。
そんな決意をしていたら、リズトリアがイライラした様子で怒鳴った。
「あんなエロ賢者とはパーティ解消だ!! もう顔も見たくねー!」
「え……。それはマズいんじゃない? 折角気の合う相棒を見つけたのに……」
それに、僕のせいでパーティ解消なんて申し訳ない。
だが、リズトリアは撤回しなかった。
「いいんだよ! 相棒の恋人に手を出す男なんかロクなやつじゃねー。遅かれ早かれこうなってただろうから気にすんな!」
「……。うん……」
リズトリアがそう言うんじゃしょうがない。僕が口出しできることではないのだ。
それにして……。
てっきりメリーさんはリズトリアみたいな男前が好みなのかと思っていたのに……。
まさか僕みたいな平々凡々がタイプだったなんて……。
あのままリズトリアが助けに入らなかったらどうなっていたんだろう?
もしものことを想像して、僕は怖くなる。
ひしっとリズトリアに抱き付くと、安心して身体の震えが止まった。
そんな僕を力強く抱き締めながら、リズトリアは言う。
「クリム。俺、あんなエロ賢者にお前が触れられたのが許せねー」
「うん……」
「だから、俺で上書きしたい」
「上書き?」
「そう……。お前を抱きたい」
「!」
つまり、リズトリアは俗に言う『お清めエッチ』がしたいってこと?
「でも、キスだけだよ?」
「それでもムカつくんだよ! なぁ……いいだろう? それともまだ怖いか?」
もうメリーさんのことなんて怖くないよ。
でも、確かに触れられた箇所が気持ち悪いな。
とりあえずお風呂には入りたい。
そのあとリズトリアが触れてくれるなら、嬉しいかも。
なんせ最近忙しくてリズトリアに触れてもらえなかったのだ。こんな機会にどうかと思うが、抱いてもらえるチャンスを逃したくない。
僕は照れながら、コクンとうなずいた。
「分かった。じゃあちょっとお風呂入ってくるから待っててくれる?」
「うん」
聞き分けよく身体を離してくれたので、おりこうさんだねと頭を撫でてから、僕は急いでお風呂に向かう。
熱いシャワーでメリーさんに触れられたところをゴシゴシ洗い流す。胸の辺りは特に入念に洗った。
それが済むとタオルを巻いて、リズトリアのいる寝室に戻った。すると、ベッドに腰掛けていたリズトリアが立ち上がる。
「俺も酒くせーと思うからシャワー浴びてくる」
「え? そんなの気にしないよ?」
リズトリアは困ったように微笑むと、チョンと僕の唇にキスをした。
「俺が気にすんの。くせー身体でクリムを抱いたら悪いからな」
「そう? 分かった。じゃあ待ってる。早くしてね?」
「おう!」
そう言ってリズトリアもお風呂場に向かった。
五分ほど待ってすぐに戻ってきたので、どれだけ急いだんだろう? と笑ってしまった。
「じゃあ始めようぜ」
「……うん」
なんだか照れ臭くてまともにリズトリアの顔が見れない。リズトリアはそんな僕を躊躇いなくベッドに転がすと、上にのしかかってきた。
クイッと顎を持ち上げられると、唇が重なる。
何度も舌を絡ませると、飲みきれない唾液が口元を汚す。それを構うひまがないほど、僕たちは夢中になってキスをした。
最後にチュッと可愛らしいリップ音を立ててから、リズトリアは唇を離す。
「これで唇は上書きされたな! もうクリムは俺のモノだ!」
ふふ……。独占欲強いんだから。
でも、こういう子供っぽいところも可愛い。
僕は久しぶりにリズトリアとエッチ出来ることが嬉しくて、舞い上がっていた。
だからちょっと大胆に、リズトリアの腰に両足を巻き付けてみた。
「リズトリア……。きて……」
精一杯色っぽく聞こえるような声を出すと、リズトリアのノドがコクンと動いたのが分かった。
「クリム……!」
リズトリアが待ちきれないと言った様子で抱き付いてきたので、僕も興奮しながら抱き返したのだった。
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