線香花火 ~統合失調症の覚めない夢~

桑名 洋

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3.親友交歓

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 統合失調症を発病し入院を経て間借りしていた焼き鳥屋の2階で自殺未遂を図った数日後、その足で久しぶりに地元の親友S
と会うことになる。

「よう、久しぶり元気だった?」
 僕は元気良く挨拶する。

「おっ、おう。てか、その腕どうしたの?」
 久々の再会を、果たした親友Sは動揺を隠せない様子だった。

「いやー、野良のライオンにかまれちゃってさ、なんとか撃退したけど腕はこの有様さ。」
 僕はその時思いついたしょうもない嘘をついた。

 気心の知れたSはおかしそうに笑いながらも少し心配そうでもあった。

 実際は自殺未遂の時、切れない包丁で手首を切り落とそうとしたがあまりに痛く断念した時の傷で五針くらい縫って添木で腕を固定して三角巾のようなもので腕をつっていた。

 こんなめちゃくちゃな再会だったがSは壁を作ることもなく昔と、変わらない馬鹿話しを自然に出来るかけがえのない親友だ。

 もちろんその後少しずつことの経緯を話したりもしたがそれでも引くどころか、S特有のセンスで、面白エピソードとして話しをするたびにに盛り上がっていた。

 今思えばその時の彼がいたおかげであまり後ろめたさを感じずに今まで生きてこれたのではないかとそんな感じもするくらいだ。

 その頃Sは、コンビニの夜勤のバイトをしながら新しいビジネスを立ち上げようと四苦八苦していた、兎に角時間の有り余っていた自分は、Sの横でいつもそのビジョンを聞きながら2人でお酒を飲んだりしていた。

 今になって思うことがある。運とかツキとか、余りに不遇で恵まれない環境にいつも身を置いているような人生だったけど、友達には本当に恵まれていたと。

 そして、その親友の語っていたビジョンは後々、大きなビジネスとして世間にいくばくかの旋風を巻き起こすのだか、それを語るのはまた後の話なので今はここ迄にしようと思う。

人間万事塞翁が馬

僕ら2人を象徴する言葉かも知れない。

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